西アフリカに位置し、大陸でもっとも小さな国のひとつがガンビア。旧イギリス植民地であることから、公用語は英語です。1977年に制作・放送されたアメリカのテレビドラマ「ルーツ」が大ヒットしましたが、主人公の故郷はガンビアにあるクンタ・キンテ島でした。このクンタ・キンテ島が世界遺産に登録されていることをご存知ですか?
この記事では、ガンビアの世界遺産「クンタ・キンテ島」を紹介します。世界遺産に指定された理由や、社会現象を巻き起こした「ルーツ」から見る黒人奴隷問題など英語で説明をしていきます。
ガンビア「クンタ・キンテ島」の基本情報
ガンビアのジュフレ村やアルブレダ村に近くにガンビア川があります。このガンビア川に浮かぶ島がクンタ・キンテ島です。クンタ・キンテ島は世界文化遺産に登録されています。
クンタ・キンテ島の概要
クンタ・キンテ島は旧称ジェームズ島といい、ガンビア川中流にある島です。島の大きさは0.0035平方キロメートルという小島にもかかわらず、歴史を今に伝える重要な世界遺産となっています。
クンタ・キンテの意味
クンタはマンディンカ語で「生まれる・誕生」、キンテはジュフレ村に実在した家系の名前で、これはマンディンカ族の尊敬される一族の名前です。このことから、クンタ・キンテとは「クンタ一族に生まれた者」や「クンタ家の子孫」という意味合いを持つと言われています。前出のテレビドラマ「ルーツ」も、ジュフレ村で生まれたマンディンカ族の若者としてクンタ・キンテという主人公が描かれています。
クンタ・キンテ島の役割
クンタ・キンテ島は奴隷貿易の拠点でした。1807年にイギリスが奴隷貿易を廃止するまで、多くのアフリカ人がこの島から新世界へ送られたのです。新世界とは新しく発見された地域を指し、特に南北アメリカやオーストラリアの称になります。
世界遺産「クンタ・キンテ島」の英語フレーズを紹介
次に、クンタ・キンテ島は英語でどう表現するかについてみていきます。
クンタ・キンテ島の英語を紹介
クンタ・キンテ島は英語でKunta Kinteh Islandです。
訳)ガンビアのクンタ・キンテ島は以前はジェームズ島として知られており、ガンビア川の河口から約30キロメートル離れた場所にあります。
例文で、ガンビアをGambia、ガンビア川をthe Gambia Riverで表現しています。
なお現在のクンタ・キンテ島は、絶え間ない侵食によって、かつての面積のわずか6分の1にまで縮小してしまっているということです。
クンタ・キンテ島が世界遺産になった年や理由
世界遺産登録は遺跡や建造物だけでなく、忘れてはならない歴史を含みます。まさしくその一例であるクンタ・キンテ島が世界遺産に登録された年や理由をみていきます。
クンタ・キンテ島が世界遺産になった年
訳)クンタ・キンテ島は、2003年にユネスコの世界遺産に登録されました。
厳密には、登録は「クンタ・キンテ島と関連遺跡群」となっています。関連遺跡群とは、ポルトガル礼拝堂跡、マウレル・フレール、バレン要塞や六連砲台などです。
クンタ・キンテ島が世界遺産になった理由
忘れてはならない歴史的な出来事が起こったクンタ・キンテ島、それは奴隷貿易です。ここで、クンタ・キンテ島が世界遺産に登録された理由を英語で紹介します。
訳)奴隷貿易の拡大と終結の両方において、この遺跡が果たした具体的かつ重要な役割により、クンタ・キンテ島と関連遺跡群は、人類史におけるこの重要かつ痛ましい時代を記憶する傑出した場所となっています。
クンタ・キンテ島が世界遺産に指定された理由で、苦しくて辛い痛ましい時代(painful period)という点が大きな理由でしょう。こういった悲惨な歴史を繰り返してはいけないという目的です。
引用:UNESCO World Heritage Centre
クンタ・キンテ島の歴史
ポルトガル人がガンビア川流域に到達した15世紀、ここからこの地域はヨーロッパとアフリカの交易の場になっていきます。この後オランダ、さらにイギリスが支配を広げます。この時点でイギリスがこの島をジェームズ島と名付け、奴隷貿易の拠点として利用しました。1807年に奴隷貿易を廃止するまで、300万人がこの島から送られました。クンタ・キンテ島では当時に関連する遺跡が点在しています。
訳)イギリスは17世紀にクンタ・キンテ島にジェームズ砦を築き、ガンビア川と利益の多い奴隷貿易に対する支配を強化しました。
アメリカのテレビドラマ「Roots」
1977年、アメリカのテレビドラマ”Roots(ルーツ)”が放映されました。この原作は、1767年に奴隷としてアメリカに連れてこられた若者クンタ・キンテが主役の小説「ルーツ」です。
社会現象を起こした”Roots”
Rootsは日本でも放映されましたが、全米ネット局ABCで放送されると平均視聴率約45%、1億3,000万人が視聴した空前のヒット作となりました。世界遺産登録が2003年ですので、Rootsはそれよりもかなり早い時期に制作、放映されたのです。
ドラマでクンタ・キンテは、アメリカで過酷な奴隷生活を余儀なくされましたが、自らの名前と文化的アイデンティティを守り抜きました。ドラマの終わりでは、新しい土地で家族と家を持つという描かれ方をされています。過去の苦難を乗り越えたゆえの新しい希望が多くの人を惹きつけました。
まとめ
本記事では、ガンビアの世界遺産「クンタ・キンテ島/Kunta Kinteh Island」を紹介しました。英語学習者にとって、世界遺産登録の意味や歴史を少しでも考える機会になっていれば幸いです。
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