卒園式やお別れ会は、子どもたちが「ありがとう」「がんばるよ」という気持ちを言葉にして伝える大切な節目です。
近年、英語活動を取り入れている保育園・幼稚園では、日本語だけでなく短い英語スピーチに挑戦する園も増えています。
今回は、保育園生活の思い出や感謝の気持ちを英語で伝えるスピーチの構成を紹介していきます。
スピーチをすることは何に役立つのか?

卒園式やお別れ会でのスピーチは、「上手に話す」ことが目的ではありません。
人前で言葉を発する経験そのものが、子どもの成長に多くの力をもたらします。
自分の気持ちを言葉にする力が育つ
スピーチでは、「ありがとう」「楽しかった」「がんばりたい」といった気持ちを、言葉として外に出す必要があります。
この経験を重ねることで、子どもは次第に
- うれしい
- かなしい
- 感謝している
といった感情を、言葉で整理し、伝えられるようになります。
これは、友だち関係や小学校以降の学びの土台になる力です。
人前で話すことへの抵抗感が減る
多くの大人が「人前で話すのが苦手」と感じるのは、幼少期に安全な場での経験が少なかったことも一因です。
保育園という安心できる環境で、
- 短くてもいい
- 間違えてもいい
- 先生や家族が見守ってくれている
そんな中でスピーチをすることで、
「人前で話しても大丈夫」という感覚が、自然と身についていきます。
達成感と自己肯定感が育つ
スピーチを終えたあと、
- できた
- ちゃんと伝えられた
- 拍手してもらえた
この経験は、子どもにとって大きな成功体験です。
自分の声で場をつくれたという感覚は、自己肯定感を育て、次の挑戦への意欲につながります。
英語でスピーチすることは、将来にどうつながるのか
英語は「特別なもの」ではなくなる
幼児期に英語スピーチを経験すると、英語は「テストのための教科」ではなく、「気持ちを伝えるための道具」として認識されます。
Thank you や I will do my best を使って気持ちを表現した経験は、「英語は使っていいもの」「話していいもの」という感覚を育てます。
間違えても伝わる、という成功体験
英語スピーチでは、完璧な文法や発音は求められません。
それでも、
- 相手がうなずいてくれた
- 拍手してもらえた
- 伝わったと感じた
この体験は、「間違えても大丈夫」「伝えようとすれば伝わる」という、コミュニケーションの本質を学ぶ機会になります。
将来、英語を使う場面でも、臆せず話そうとする姿勢につながります。
多様な人とつながる力の芽が育つ
英語は、世界中の人とつながるための共通言語です。
幼い頃から英語で気持ちを伝える経験を持つことで、
- 国籍や文化の違う人と話すことへの抵抗が減る
- 言葉が違っても「伝え合える」という感覚が育つ
これは、将来の国際交流や多文化共生社会を生きる力の基礎になります。
「話す英語」への前向きな姿勢が残る
卒園式での英語スピーチは、将来の英語力を直接決めるものではありません。
しかし、
- 英語で話したことがある
- 人前で英語を使ったことがある
という記憶は、長く心に残ります。
小学校・中学校で英語学習が本格化したとき、
「英語は怖くない」「やったことがある」という感覚が、学びを前向きに支えてくれます。
スピーチは、子どもが自分の声で世界とつながる第一歩です。
それを英語で行うことは、語学習得以上に、
- 伝える勇気
- 挑戦する姿勢
- 違いを受け入れる心
を育てる経験になります。
卒園式の短い一言が、子どもの将来に続く大きな力へとつながっていくのです。
英語スピーチは「長さ」より「伝わること」が大切
卒園前の子どもにとって、長い英語スピーチは負担になりがちです。
大切なのは、覚えやすく、意味がわかっていて、気持ちがこもること。
おすすめの構成は、以下の3ステップです。
- あいさつ
- 感謝・思い出
- これからの気持ち(がんばる宣言)
あいさつ:まずは堂々と一言
最初は、声を出すこと自体が成功体験になります。
例文(どれか一つでOK)
- Hello everyone.
- Good morning.
- Thank you for coming today.
短く、はっきり言えるものを選びましょう。
感謝と保育園の思い出を伝える
「ありがとう」は卒園式の中心メッセージです。
主語+Thank you の形を使うと、とてもシンプルになります。
先生への感謝
- Thank you, teachers.
- Thank you for playing with me.
- Thank you for teaching me.
お友だちへの気持ち
- Thank you, my friends.
- I like my friends.
- We had fun together.
保育園生活の思い出
- I love my school.
- I like playing outside.
- I like singing songs.
すべて言う必要はありません。
1〜2文でも十分に気持ちは伝わります。
これからの気持ち:「I will do my best」
卒園式らしさを出すなら、「これから」の一言がおすすめです。
とても使いやすい定番フレーズ
- I will do my best.
- I will try my best.
- I will do my best in elementary school.
意味を日本語で理解したうえで言うと、表情や声にも自信が出ます。
すぐ使える!園児向け短文スピーチ例

最短・年少〜年中向け(2〜3文)
Hello everyone.
Thank you, teachers.
I will do my best.
標準・年長向け(4〜5文)
Hello everyone.
Thank you, teachers.
Thank you, my friends.
I love my school.
I will do my best.
少しチャレンジ(余裕のある子向け)
Good morning.
Thank you for playing with me.
I like my friends.
I will do my best in elementary school.
英語でスピーチする際に、緊張してしまう子どもへのフォローの仕方
卒園式やお別れ会での英語スピーチは、多くの子どもにとって「はじめての人前での挑戦」です。
緊張するのは当然であり、決して克服すべき弱さではありません。
大切なのは、緊張しても大丈夫だと子どもが感じられるフォローです。
「緊張しているね」と気持ちを言葉にしてあげる
まず大人ができることは、子どもの気持ちを否定しないことです。
- 「緊張してるね」
- 「ドキドキしてるんだね」
と、状態をそのまま言葉にしてあげるだけで、
子どもは「わかってもらえた」と安心します。
「大丈夫」「平気でしょ」と励ますよりも、
気持ちを受け止める言葉が、緊張を和らげます。
「全部言わなくてもいい」と伝える
緊張の原因の多くは、「失敗してはいけない」「忘れたらどうしよう」という不安です。
事前に、こんな声かけをしておきましょう。
- 「1文言えたら100点だよ」
- 「Hello だけでも大成功」
- 「止まっても先生が助けるよ」
ゴールを低く設定することで、子どもの心はぐっと軽くなります。
立ち位置と視線で安心感をつくる
スピーチ中、子どもは「どこを見ていいかわからない」ことでも緊張します。
- 視線を向ける場所を決めておく
- 担任の先生や安心できる大人が、目の前に立つ
- 軽くうなずいたり、笑顔を送る
言葉をかけなくても、視線や表情のサポートは大きな支えになります。
一緒に言ってもよい、という選択肢を残す
どうしても声が出ないときのために、
- 先生と一緒に言っていい
- 最初の一言だけ先生が言ってもいい
という「逃げ道」を用意しておくことが大切です。
逃げ道があると、子どもは不思議と一歩踏み出しやすくなります。
ジェスチャーや動きを使ってOKにする
言葉だけに集中すると、緊張は強くなります。
- Thank you のときにおじぎをする
- I will do my best のときにグーを作る
体の動きがあると、気持ちが前向きになり、言葉も出やすくなります。
練習では「本番っぽく」しすぎない
何度も立たせて、本番同様に練習すると、かえって緊張が強まることがあります。
おすすめは、
- 座ったまま
- 友だちと一緒に
- 遊びの中で言う
など、力を抜いた練習です。
「英語=楽しい」という感覚を保つことが最優先です。
練習のポイント:暗記より「気持ち」を大切に
「伝えようとしている姿」そのものが、卒園式では何より心に残ります。
- 一文ずつ区切って練習する
- ジェスチャーやうなずきを入れてもよい
- 完璧な発音を求めすぎない
本番後の声かけが、次への自信になる
スピーチが終わったあとは、結果よりも挑戦したことを認めます。
- 「ドキドキしたのに立てたね」
- 「声が出たね」
- 「前に出たのがすごいよ」
たとえ言葉が途中で止まっても、その経験は子どもにとって大きな一歩です。
おわりに
卒園式・お別れ会の英語スピーチは、英語力を披露する場ではありません。
「ありがとう」「がんばるよ」という気持ちを、英語でも伝えられた」という経験が、子どもたちの自信につながります。
短くても、拙くても大丈夫。
Thank you と I will do my best は、子どもたちの未来への大切な第一歩です。
