AI(人工知能)は、今や私たちの暮らしや仕事のあらゆる場面に入り込む存在となっています。その原動力となったのが、2000年代後半から始まった「第3次AIブーム」です。

AIが囲碁でプロ棋士に勝利したり、自動運転や画像認識などの技術が急速に発展したりと、現実の生活やビジネスに直接影響を与える事例が次々と登場しました。

この記事では、第3次AIブームの始まりと特徴、技術的背景、そして過去のAIブームとの違いについてわかりやすく解説します。

AIの歴史に興味がある方、そして現在進行中のAIブームに追いつきたい方は、ぜひ参考にしてください。

それでは、早速始めていきましょう!

第3次AIブームとは?

第3次AIブームとは?

第3次AIブームとは、2000年代後半から始まった人工知能の急速な発展の時代を指します。

特に、2010年代に入ってからは、AI技術が学術研究から産業応用へと広がり、多くの実用的な成果を生み出しています。

このブームの原動力となったのが、「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術の登場です。画像認識、音声認識、自然言語処理といった分野でAIの精度が飛躍的に向上し、医療・金融・教育・エンタメなど、あらゆる分野への導入が進みました。

特に象徴的なのが、2015年にGoogle DeepMind社が開発した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」が、プロ棋士を破ったニュースです。

人間の直感や経験が重要視される囲碁において、AIが人間に勝利したことで、人工知能の進化が世界に広く認識されるようになりました。

第3次AIブーム最大の特徴は?

第3次AIブームの最大の特徴は、「実用化が現実となったこと」です。

過去のAIブームでは、研究レベルの成果や限られた分野での活用にとどまっていましたが、第3次ブームでは、現実の課題解決にAIが本格的に使われ始めました。

たとえば、スマートフォンの音声認識、ECサイトのレコメンド機能、チャットボットによる顧客対応など、日常的に使っているサービスの多くにAIが導入されています。

第3次AIブームの火付け役は何?

第3次AIブームの火付け役とされているのが、2012年に開催された画像認識コンペ「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge(ILSVRC)」での出来事です。

この年、トロント大学のチームが開発したディープラーニングモデル「AlexNet」が圧倒的な精度で優勝し、従来の画像認識技術を大きく上回る成果を示しました。

この出来事をきっかけに、世界中の研究者や企業がディープラーニングに注目し始め、AIの研究が爆発的に進展していったのです。

現在のAIは第何次ブーム?

一般的には、現在も第3次AIブームの延長線上にあると考えられています。

ただ、ChatGPTなどの「生成AI」の登場によって、新たなブームである「第4次AIブーム」に突入したという見方も増えつつあります。

文章や画像、音楽などを自動で生成できるAIは、これまでの「分析するAI」とは異なり、「創造するAI」としての側面を持っています。

この進化は、ビジネスや教育、芸術分野にも大きな影響を与えており、今後のAIのあり方を変える可能性を秘めています。

第3次AIブームの特徴

第3次AIブームの特徴

第3次AIブームがここまで大きなインパクトを持ったのは、いくつかの技術的な進化が同時に起こったからです。

ここでは、ブームを支えた4つのキーワードについて、順に詳細を確認していきましょう。

ディープラーニング(深層学習)の登場

第3次AIブームにおける最大の技術的ブレイクスルーは、「ディープラーニング(深層学習)」の実用化です。

これは、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」を何層にも重ねることで、複雑なデータを高精度で処理できる仕組みです。

ディープラーニングにより、AIは画像を見て「猫か犬か」を識別したり、音声を文字に起こしたり、言葉を理解して自然な返答を返したりできるようになりました。これにより、AIが日常の様々なタスクに使えるレベルに進化したのです。

ビッグデータの活用

ディープラーニングが十分な成果を発揮するには、大量のデータが必要とされます。そこで重要な役割を果たしたのが、「ビッグデータ」の存在です。

インターネットやSNS、スマートフォンの普及によって、私たちの日常の行動や選択が膨大なデータとして蓄積されるようになりました。このデータをAIに学習させることで、より賢く、的確な判断ができるようになったのです。

たとえば、ECサイトでの「おすすめ商品」の表示や、動画配信サービスの「あなたへのおすすめ」は、こうしたビッグデータとAIの組み合わせによって実現しています。

クラウドコンピューティングの利用

AI開発には、膨大なデータ処理を行うための計算資源が必要です。第3次AIブームでは、「クラウドコンピューティング」の普及がそれを支えました。

従来は高価な専用サーバーが必要だった演算処理も、クラウドサービスを使えば、インターネット経由で誰でも高性能な環境にアクセスできるようになりました。

これにより、スタートアップ企業や大学の研究者でも、AI開発に挑戦しやすくなったのです。

コンピュータの演算処理能力の向上

第3次AIブームにおけるAI進化を物理的に支えたのが、「GPU(グラフィック処理装置)」などの演算処理能力の大幅な向上です。

ディープラーニングのような膨大な計算が必要な処理でも、最新のGPUを使えば短時間で学習を終えられます。

これにより、以前までは何日もかかっていたモデルの学習が、数時間から数分で完了するようになり、AI開発のスピードが飛躍的にアップしました。

過去2回あった第1次、第2次AIブームとは?

過去2回あった第1次、第2次AIブームとは?

第3次AIブームは突然始まったわけではなく、これまでにもAIには2度の大きなブームがありました。

ここでは、第1次と第2次AIブームの詳細について、簡単に振り返っておきましょう。

第1次AIブーム

1950年代後半から1960年代にかけて起こった最初のAIブームでは、「人間のように考える機械を作ろう」という理想が追求されました。

推論や探索といった基本的なアルゴリズムが開発され、簡単な会話プログラム「ELIZA(エライザ)」なども登場しました。

しかし、現実の複雑な問題には対応できず、「AIには限界がある」と判断され、第1次ブームは失速し、「AIの冬」と呼ばれる停滞期を迎えることになります。

第2次AIブーム

1980年代に起こった第2次AIブームでは、「エキスパートシステム」と呼ばれる特定分野に特化したAIが登場しました。

医療や工業分野などで、専門家の知識をルールとして登録し、診断や判断をAIによって自動化する試みが進められました。

一時は実用化に近づいたものの、ルールの登録作業が膨大で、変更にも柔軟に対応できないという問題に直面しました。さらに、当時のコンピュータの性能不足もあり、再びAIへの期待は下火になり、冬の時代を迎えました。

しかし、これらのブームと停滞期があったからこそ、現在の第3次AIブームが実現しています。

第1次・第2次ブームで培われた基礎理論や反省点が、ディープラーニングやビッグデータの活用と結びつき、現代のAI技術の大きな飛躍へとつながりました。

過去の挑戦と失敗があったからこそ、今の私たちは、より実用的で生活に根ざしたAIの恩恵を受けられているのです。

AIは英語学習にも役立っています

AIの進化は、英語学習の方法にも大きな変化をもたらしています。近年では、AIを活用することで、より効率的でパーソナライズされた学習が可能になっています。

たとえば、発音チェック機能を使えば、自分の発音のクセを自動で判定し、どこを改善すればよいかが一目でわかります。また、英文法や語彙の間違いを修正してくれるライティングサポートや、AIとの会話練習ができるアプリも登場しており、スピーキング力の強化にも役立ちます。

学研のオンライン英会話「Kimini英会話」でも、AIと講師を組み合わせたハイブリッド学習が可能です。

英語学習用のAIチャットBotが、会話の相手や文法の質問対応など、あなたの「学習パートナー」としてサポートしてくれます。

さらに、スマホのホーム画面に登録すれば、アプリのようにワンクリックでアクセスできる「らくらくログイン設定」も便利です。

スキマ時間を活かして、もっと気軽に、もっと効率的に英語を学びたい方は、AIを活用した英語学習をぜひ取り入れてみてください。

アプリのようにワンクリックでログイン可能に!らくらくログイン設定のご案内

まとめ

今回は「第3次AIブーム」について、その背景や特徴について確認してきました。

第3次AIブームは、ディープラーニング技術の進化と、ビッグデータやクラウド、コンピュータの性能向上によって実現した、AI実用化の本格的な時代です。

画像認識や音声認識、言語処理といった分野でAIの精度は大きく向上し、医療や金融、教育、そして日常生活にも広く活用されるようになりました。

AIの進化を知ることは、これからの社会や働き方、学び方を考えるうえでも大切です。今回の内容を参考にしながら、AIと上手に付き合い、未来の可能性を広げていきましょう。