1980年代後半でしたでしょうか?空前の「エスニックブーム」が起こり、日本にアジア旋風が巻き起こりましたね!その中でも神秘さを秘めたインドは人気で、当時は女性グループでインドに旅行に行くことが、おしゃれだと言われていました。その後あらゆる文化が日本にも伝わり、定着しているインドですが、一方では厳しい教育制度やカースト制としても知られています。そんなインドはどうやってグローバルに発展してきたのでしょうか?

英語を第二外国語として学習する国々の教育法 ~インド~

インド共和国。 英語表記はRepublic of Indiaです。元々「ヒンズー」と呼ばれていましたが、のちにポルトガル語化して「インド」となりました。首都は「ニューデリー」です。

ヒンズー教の話

キリスト教、イスラム教に続いて、人口の上で世界で3番目の宗教が「ヒンズー教」です。

三神一体(トリムールティ)と呼ばれる、ブラフマー(宇宙、世界に実存する、実在の場を与える神)、ヴィシュヌ(宇宙、世界の維持、平安の神)、シヴァ(宇宙、世界を司り、またその破滅も司る神)の三体が一体をなしてできていると言われています。

輪廻転生(蘇り)を説いていて、また4つの身分差別からなる「カースト制度」が有名です。

インドの人々の生活

インドはヒンズー教を中心とし、イスラム教、キリスト教、シーク教、ジャイナ教など、様々な宗教が混在しています。

仕事中でも、礼拝の時間が義務付けられていますので、仕事を中断してお祈りを始めます。

宗教によって苗字が違ったり、カースト(身分)がわかってしまうこともあります。

宗教的に、あまり肌を露出することはタブーとされ、特に女性はサリーを着ていると言いますが、最近ではオフィスなどで仕事するときはジーンズなどを履くことが多いのだそうです。

食事のルールも多様で、例えばイスラム教は豚肉食べませんし、ヒンズー教は牛肉を食べません。そして、人口の半分近くがベジタリアンというのも驚きです。

このように、人々の生活は宗教を中心に回っているのです。

インドの言語

インドの人口は10億人を超えると言われていますが、公用語のヒンズー語が母国語である人口は5億人ほどです。

憲法で定められた州の言語は21以上で、方言は800種類を超えるというのです!

インドの言語は北部のインド・ヨーロッパ語族インド語派と、南部のドラヴィダ語族に大きく分かれていて、州によって言語が異なります。

インド全体では英語とヒンズー語が広く使われていて、紙幣には英語とヒンズー語、さらに約15言語で額面が記してあります。

そして、インドの学校では州の公用語、ヒンズー語、英語が教えられています。

インドの教育

インドの教育

インドの教育は大別すると、初等教育、中等教育、高等教育の3つに分かれます。

6歳から14歳までの8年間が義務教育です。

インドの特徴である「カースト制度」は教育にも大きく反映されていて、「指定カースト」および「指定部族」は特別な進学の優遇を受けていると言われます。

費用については、2010年に無償義務教育権法が制定されたように、義務教育の歴史は長くありません。

中等教育は14歳から18歳までの4年間になっていますが、実際初等教育から中等教育へ進学するのは、全体の3割程度と言われています。

高等教育(大学以上)への進学は中等教育学校就労時の成績で振り分けられ、基本的に大学入試制度はありませんが、卒業時に行われる全国共通試験で進学が決まることになります。

インドの私立校と公立校の大きな格差

インドの中流以上の家庭の子供は、幼稚園から12歳までの一貫教育を行う私立学校に通うことがステータスになっています。

幼稚園から高校までの私立校もあり、校舎や施設が充実しており、教育レベルが非常に高いため、幼稚園入園から受験戦争になると言われます。

私立校は、基本的に英語での授業がメインになり、コミュニケーション能力を育てるディベート、英語の朗読コンテスト、プレゼンテーション力をつける活動など、かなりハイレベルな教育を受けることが出来ます。

一方、公立校は学費は無償で、給食、制服から学用品まですべて支給されます。

教育は州の言語かヒンズー語で行われますが、生徒100人につき先生が2人ほどしか割り当てられていません。

設備は図書館や音楽室などもなく、トイレの数もわずかで、生徒は机や椅子もないので床に座って授業を受けるのです。

義務教育化になったとはいえ、貧困層の子供たちは、中退や中学校への進学をあきらめざる負えないという厳しい現実が、まだまだ続いています。

世界トップの数学レベル

インドはずいぶん前から算数や数学に長けていて、「インド式計算」などが世界的に有名です。

しかし、学校ではインド式計算は特にやっているわけではないそうで、幼いころからそろばん(アバカス)を使ったり、数字が並んだ数字チャートを使用して計算力をつけたり、数学の基礎概念を作ります。

日本でやる九九の暗記のようなものではなく、例えば2の倍数なら4、6、〇、〇、12 などの問題を見て、数字が2づつ増えるのだという認識を持たせます。

また、コンピューターを使用して図形を描いたり、プログラミングを学んだりすることを比較的早い段階から導入していることが、インド人の数学のレベルアップにつながっているようです。

インドの英語教育

インドの英語教育

ヒンズー語、州の言語、そして準公用語が英語になるインドは、現在は英語があらゆる国々や場面で使われるツールであることから「英語至上主義社会」になろうとしているそうです。

英語教育を早期から始めるのは、私立校に通うことができる中流家庭以上の子供達ですが、その特徴として次のようなことがあげられます。

1. アルファベットよりもフォニックス(発音)にフォーカス

3~4歳ごろから英語の音を文字に結び付ける、「フォニックス」に焦点を当てた授業を行っています。私立の英語教師のレベルは高く、厳しいトレーニングを受けた高学歴の教師が教えていて、子供たちの英語の発音はネイティブに近いといいます。

2.間違いを恐れずにどんどん話しかける

インド人はとてもおしゃべりがすきな国民で、外国人と出会うと、文法などめちゃくちゃでも、とにかく話し続けます!そんなメンタルの強さも、英語のレベルアップに繋がっているのでしょう!

3.プレゼンテーション教育のすごさ

小学校低学年から、友達同士でテーマに沿ってディスカッションをして、それをみんなの前で自分の意見をしっかり話す授業が行われます。そういう訓練も、英語教育に大きく影響していると言えるでしょう。そうして子どもが努力している姿や成果を、とにかく「褒める」そうです。そうして子どもたちの自己肯定感や自信を育んでいくのもインドの教育の素晴らしい点であると言えます。

聞き取りづらいインド英語

インド人の英語レベルが高いのはわかりましたが、実際インド人の英語はかなりなまりが強く、アクセントに特徴があります。

インド人の英語は「ヒングリッシュ」と呼ばれることからもわかるように、ヒンズー語の訛りが強く残っています。そのうえ、インド人はとても早く話します。そのため、ネイティブスピーカーでも聞き取りが難しいということです。

インド英語の代表的な特徴として、「R」の発音が「ルルル」と巻き舌になります。rain=ルルィング  といった風でしょうか?他にも、「TH」はネイティブの発音は「ス」になりますが、インド人は「ティ」のように発音し、例えば、think=ティンク といった具合ですね。まだほかにもたくさんありますが、インド人独自の文法やいい回しなどが加わると、かなり聞き取りづらい「ヒングリッシュ」と言えますね。

しかしながら、最近ではYoutubeなどで学習する子供たちが増えてきたため、ネイティブ級のきれいな発音をするインド人もたくさんいるということです。

番外編 : インド人は毎食カレーを食べるの?~

インド人と言えばカレー、カレーと言えばインド。のように、大抵の日本人が同じように持つ疑問がこれ!インド人は毎回カレーを食べるのでしょうか?

インドでは、日本のしょうゆに当たるくらい、「マサラ」という香辛料を使います。この香辛料がほとんどの料理に入っていて、スープや野菜料理、煮込みや炒めた料理にも使うのですが、この味がざっくりいうと「カレー味」になるようです。米もよく食べるので、日本の定食のようにバラエティに富んだおかずが並ぶこともあります。

私が経営しているインターナショナルスクールにインド人の子供がいますが、その子のお弁当のおかずが、「カレー味のいり卵」や「カレー味の豆」などだったのもうなずけます!

しかし、宗教的にヒンズー教は牛肉が禁止、イスラム教も豚肉とアルコールが禁止だったりするように、広いインドでは地域によって食べていいものと食べてはいけないものがあります。もしインド人と食事する機会があったら、気をつけましょうね。

まとめ

私の知るインド人は、人当たりが良く、社交的な印象の人が多かったです。しかし考えてみると、日本で仕事をしたり留学をしている人たちは、ほとんどが富裕層なので、学力も財力も十分に持っていた人たちだったのかもしれません。カースト制による身分差別は現在でも大きな問題であり、大国の厳しい現実を考えさせられます。