近年、インターネットを通じて子どもたちが海外の友だちとつながる機会が急速に広がっています。
その中でも注目されているのが、「国際交流型オンライン英語遊び」です。
ZoomやTeamsなどのオンラインツールを使い、異なる国や文化を背景に持つ子どもたちが、英語を通して自然に交流する活動が増えています。
ここでは、その可能性と実際の事例を紹介します。
国際交流型オンライン英語遊びとは?
オンライン英語遊びとは、英語の歌・ゲーム・絵本・クイズなどを通じて、子どもたちが楽しく英語に触れる活動のことです。そこに「国際交流」という要素が加わると、相手は日本の友だちではなく、海外の子どもたち。英語は“勉強する言葉”ではなく、 “通じ合うための言葉”になります。
子どもたちは、違う言葉を話す相手に自分の気持ちを伝えたり、文化の違いを発見したりすることで、多文化理解や共感力を自然に育みます。
実際に行われている国際交流の事例

日・フィリピン間の「英語で歌おうプロジェクト」
日本とフィリピンの幼稚園をZoomでつなぎ、英語の童謡を一緒に歌う活動が行われています。たとえば「Head, Shoulders, Knees and Toes」などの動作付きの歌を通して、言葉だけでなく表情やジェスチャーでも交流。最後には「How are you? 」「I’m happy! 」といった簡単な会話も自然に生まれます。
日本・アメリカの小学生による「オンライン絵本リレー」
アメリカの小学校と日本の小学校が共同で行う絵本リーディング活動では、英語と日本語を交互に読み聞かせ、物語の感想を共有します。アメリカの子どもたちは日本の文化を学び、日本の子どもたちは本場の英語表現を聞き取る体験ができます。お互いの絵本文化を紹介し合うことで、読書を通じた国際理解も深まります。
アジア各国を結ぶ「オンライン英語クイズフェス」
シンガポール、タイ、日本、韓国の子どもたちが参加する英語クイズ大会では、動物・食べ物・世界遺産などをテーマに出題。チーム戦で協力しながら英語で答える形式のため、チームワークとコミュニケーション力の両方を育てます。異なる国の子どもたちが同じ問題に挑戦することで、「違っても仲間」という感覚が芽生えます。
多文化・国際理解が育つポイント

国際交流型の英語活動では、ただ英語を使うだけではありません。子どもたちは以下のような学びを得ます。
- 文化の違いを楽しむ心
食べ物、あいさつ、衣装、遊びなど、相手の国の文化を知ることで、自分の文化への理解も深まります。 - 多様な価値観の受け入れ
英語を話すスピードや発音の違いを感じながら、「間違ってもいい」「伝えようとする気持ちが大切」という国際的な考え方を体験的に学びます。 - グローバルな視野の芽生え
子どものうちに「世界にはいろんな暮らし方がある」と実感できることが、将来の国際感覚の土台になります。
家庭や保育現場での導入の工夫
保育園や小学校では、いきなり海外の子どもたちと交流するのはハードルが高いと感じるかもしれません。そんなときは、次のようなステップから始めてみましょう。
- まずは英語での自己紹介や好きなものの紹介を練習する。
- オンライン交流の前に、相手国について簡単な文化紹介をする。
- 終了後に「どんなことが楽しかった?」「どんな発見があった?」とふりかえりの時間を設ける。
これらを丁寧に行うことで、英語が「テストのため」ではなく、「つながるためのツール」だと実感できるようになります。
これからの可能性
国際交流型オンライン英語遊びは、都市部だけでなく地方でも実施しやすいのが大きな魅力です。インターネットさえあれば、世界中どことでもつながることができます。今後は、英語学習とともに、SDGsや地球市民教育といったテーマと結びつける動きも広がるでしょう。
子どもたちが「英語で遊ぶ」ことを通じて、「世界とつながる楽しさ」「違いを認め合う喜び」を感じられる。そんな新しい学びの形が、オンラインの空間から生まれています。
実際のオンライン国際プログラム・交流事例

以下は、現在または過去に行われている、オンラインでの国際交流やグローバル教育プログラムの具体例です。
文部科学省事例:高等学校によるオンライン国際交流(佐野高校 × 台湾・花蓮女子高級中學)
群馬県立佐野高校は、修学旅行が中止になった年度に代替案として、台湾の高級中学とオンラインで国際協働課題研究を行いました。各グループ(3名ずつ日台混合)で SDGs をテーマに英語で議論し、週1回ほど SNS や Zoom/オンラインツールで打ち合わせを重ね、最終成果を発表する形式です。(文部科学省)
このプログラムでは、生徒が企画・準備・司会・発表を担う機会が設けられ、主体性を育む構成となっていました。
ICT活用による小学校交流(日本 × 韓国)
ある日本の小学校では、韓国の小学校と Skype や Zoom 等を使って複数回の交流を行う授業が実践されました。事前に「自分の地域の給食」「お菓子」「のり巻き」などのテーマで紹介準備をし、交流時に英語で互いに質問・紹介を行います。文化の違いや共通点を発見する機会になったとの報告があります。(バイリンガル教育の研究機関〖バイリンガルサイエンス研究所〗)
このような活動は、児童の味覚表現や感想表現、異文化への興味を刺激する点で効果があったとされています。
英語 ICT 教育と国際交流を組み合わせた中学校/高校事例
- 兵庫県の川西小学校では、事前学習でマレーシアについて調べたうえで、Zoom を通じてマレーシアの児童と自己紹介・ゲームなどを実施。英語だけでなく文化理解の視点も取り入れられました。(WithTheWorld)
- 鳥取県の青翔開智中学校では、SDGs や社会課題をテーマに、現地の映像・バーチャルツアーを用いて現地の状況を見せつつ、オンラインでディスカッションするプログラムが行われました。フィリピンのスラム街問題などを扱い、現地の声を聞く場面も設けられていました。(WithTheWorld)
- 岡山県立勝山高校や静岡聖光学院中高では、オンライン国際交流を含む探究型・課題解決型学習と組み合わせ、日豪/海外校とのディスカッション・プロジェクトを実践する例があります。たとえば静岡聖光は、Jamboard を使ったブレインストーミングや LINE による学習支援も合わせて使うなど、ICTツールを駆使していました。(WithTheWorld)
AFS のオンラインプログラム
公益財団法人 AFS 日本協会では、完全オンラインの異文化理解プログラムを複数展開しています(例:AFS Global You、Global Up Teen など)(日本協会)。これらは異文化理解・英語コミュニケーションを軸とし、世界中の若者と「言語+文化を学び合う」構成になっています。
Mimmyアドベンチャー
ファシリテーターのMimmyちゃんやMimmyフレンズとともに海外ガイドとライブで交流するオンラインセッションです。お子様の興味のあるもの、好きなもの、学んでみたいことなど、自由に参加できます。コンテンツ内容は5〜10歳程度の年齢が対象になっています。
発展版プログラム案:国際交流型オンライン英語遊びを組み込むカリキュラム

以下は、幼児~小中学生を対象に、オンライン英語遊びをベースとしながら国際交流を取り入れる発展的なプログラム案です。学校や保育現場で応用できる構成です。
プログラム構成例(全6~8回を想定)
| 回 | 内容 | ねらい / 活動例 |
|---|---|---|
| 第1回 | ウォームアップ・自己紹介 | 英語で名前・好きなものを言う練習。簡単なアイスブレイクゲーム(例:English name chain) |
| 第2回 | 自国紹介(文化・日常) | 日本(地域・学校・食べ物・遊びなど)をスライドや写真で紹介。英語フレーズの準備(例: “In my town, we …” ) |
| 第3回 | 相手国の紹介資料を見て質問 | 海外の子どもたちが準備した紹介ビデオ・スライドを視聴。「How do you ~? 」など質問タイム |
| 第4回 | 英語遊び・ミニゲームで交流 | 絵カードゲーム、クイズ、動作ゲーム、歌などを混合。互いに交互に出題・参加 |
| 第5回 | 共同ワーク(ミニプロジェクト) | 共通テーマ(例:好きな食べ物、環境、夢など)をもとに英語でポスター、スライド、発表準備 |
| 第6回 | 発表・交流セッション | グループごとに発表、相手への質問タイム、振り返りと感想共有 |
| (第7~8回) | フォローアップ・拡張活動 | 手紙やカード交換(英語+母語併用)、SNS 交流(安全な環境下で)、写真交換、共同日記など |
まとめ
インターネットの普及で、海外の人たちとリアルタイムで話ができるなんて、昔では考えられない時代が来ました。
わざわざ海外に行かなくても、居ながらにして世界を知ることができるオンライン国際交流がもっと広がって
日本のすばらしさを伝えたいものですね!

