論文やレポートを書いたことはありますか?論文やレポートでほかの人の文章を参考にしたり、引用することはよくあることですよね。
その参考や引用で、客観的な根拠が示され、論文やレポートの信頼性がさらに増しますが、参考や引用の方法にはさまざまなルールがあります。
今回は、参考文献の書き方について確認しましょう。日本語と英語、どちらの場合も説明するので、ぜひ参考にしてください。
一般的な規則
参考文献の規則を確認する前になぜ参考文献が必要なのかを確認しましょう。
参考文献が必要な理由
そもそも参考文献とは、論文やレポートの中で参考にした文献や引用した文献をまとめたもの。
参考文献が必要とされるのは主に次の3つの理由からです。
■理由1 著作権を守るため
気持ちや考えが表現された文章や絵画は著作物と呼ばれ、そこには著作権があります。著作物は無断で使用したり、変更することはできません。
ただし、一定の条件を満たした「引用」であれば利用できることになっており、その条件のひとつが出典の明示。
そのため、出典を明らかにする参考文献が必要なのです。
■理由2 文章の信頼性を高めるため
第三者のデータや意見などを引用すると情報の信頼性が増します。しかし、どこからどこまでが自分の意見でどの部分が引用なのかはっきりさせておかないと、主張する意見の根拠がわからなくなってしまいます。
そのため、参考文献でどこが引用であるかを明確にする必要があります。
■理由3 あとから資料を探せるようにするため
どこの資料を使ったかがはっきりしていると、あとから確認や修正が容易にできます。参考文献は誰もが同じものにアクセスできるようわかりやすくまとめることが大切です。
しっかりと参考文献を記載しないと、盗作や無断引用とみなされる可能性があり、せっかく書いた論文やレポートの信用性が損なわれてしまうため、注意しましょう。
参考文献の基本的なルール
参考文献の基本的なルールを確認しましょう。
ルール1 書き方は統一する
参考文献にはいくつかのスタイルがあります。どのスタイルを使っても間違いということはありませんが、ひとつの論文やレポートの中で使うのは同じスタイルにし、一貫性を持たせましょう。
ルール2 自分の文章と、はっきり区別できるようにする
どの部分が自分の意見で、どの部分がほかの人の著作物の引用や参考にした部分なのかが誰が読んでも明確にわかるように書きましょう。
ルール3 参考文献として必要とされる項目を書く
参考文献として最低限必要な項目は以下のとおりです。
- 著作者
- 書籍名
- 書籍を発行した出版社
- 書籍の発行年
では、実際に参考文献とはどのような書き方をするのかを確認しましょう。
邦文文献の記載例
邦文文献では、次のように記載します。
著者の氏名、発行年、「本のタイトル」、出版社
【例】 遠藤周作、1998年、「深い川」、講談社
英文文献の記載例
英文文献では、次のように記載します。
著者の名字, 著者の名前, 著者のミドルネームのイニシャル. 発行年. 本のタイトル. 発行地: 発行社名
【例】 Hemingway, Ernest. 1957. A Farewell to Arms. London: Arrow Books
名前は名字から、作品名はイタリックで表記するところがポイントです。
英語の論文での引用(citation)の書き方
英語の論文やレポートでは引用した文献を2カ所、表記する必要があります。その場所は文章中と論文の最後。
文章中に引用した資料を表記する方法を”in-text citation(文中引用)”と、文献を記した最後の章は” references(参考文献)”と言います。
in-text citation(文中引用)の書き方
引用にも直接引用と間接引用があります。直接引用は他の文献から一字一句変えず、全く同じ言葉を引用するケース、間接引用は文献の言い換えです。
引用によってin-text citationの表記の仕方が異なります。
直接引用
引用した文を“ ”で囲み、( )内に著者の名字,出版年,ペ―ジを書きます。
(著者の名字, 発行年, p. ページ番号)
【例】 (Dickens, 1962, p.248)
間接引用
言い換えをした文の前後に著者の姓(出版年)を書きます。
:(著者の名字, 発行年)
【例】 :(Dickens, 1962)
reference(参考文献)の書き方
reference(参考文献)では、使用した文献をすべて記載します。その際には次の様なルールがあることに注意しましょう。
■著書の名字からアルファベット順に並べる
■名字が同じ著者がいる場合は、名前(ファーストネーム)のアルファネット順に並べる
■著者が複数いる場合は、一人目の著者の氏名で順番を決める
■同じ著者の複数の文献を用いた場合は、発行年が古いものから並べる
孫引きは避ける
孫引きとは原典ではなく、どこかに引用された文章を参考にし、それを引用すること。
基本的に孫引きは禁止されており、レポートや論文で引用する文献は,必ず元論文を確認する必要があるので、注意してください。
“el al.”とは?
たくさんの論文を見ていくと「et al.」という言葉に出会うはず。これは、ラテン語で「その他」を意味する略語です。
参考文献に複数の著者がいる際に用いられます。
【例】 Taro Yamada et al.
「山田太郎 他」のように書き、文末でなくともピリオドがつくこと、とet al.はイタリック体にすることに注意してください。
文献の引用方法:文献著者名の書き方
英語の論文には大きく引用スタイルが3種類あります。学部の専攻などにより、使用する引用方法が異なります。
それぞれ、書き方が異なりますが、ここでは著者名の書き方の違いを確認しましょう。
APA形式
APA形式とはアメリカ心理学会の公式スタイルの引用方法です。
主に教育、社会、心理などの文系の学部の論文で多く使用されます。
基本は著者の名字と発行年を記載します。著者が2人以上いる場合は「&」を、3人以上の著者の場合には「et.al.」を使用します。
MLA形式
MLA形式とは現代言語協会の公式スタイルの引用方法です。
主に人文系の論文で多く使用されるフォーマットです。
APA形式と違い、発行年を表記せず、著者の名字と引用ページ番号を表記します。著者が2人以上いる場合は「&」を、3人以上の著者の場合には「et.al.」を使用します。
Harvard形式
Harverd形式とはハーバード大学のエドワード・ローレンス・マーク教授が考案した引用形式。
この形式は、経営学や会計などビジネス学部で多く使用されます。
著者の名字と発行年を記載します。著者が3名までは「&」を使い、4名以上いる場合に「et.al.」を使用します。
まとめ
今回は参考文献の書き方についてご紹介しました。
引用は書いたものに客観性を与え、信頼性を強めますが、引用した文献は参考文献に必ず記載しなくてはいけません。
参考文献や引用のルールはさまざまあり、最初は戸惑いますが、少しずつ覚えていきましょう。
たかが引用と軽んじず、しっかりとルールを守りましょう。
せっかく書き上げた論文やレポートを盗作扱いされてしまう可能性すらあります。
正しく引用をして、根拠がしっかりした論文やレポートを作成しましょう。