普段会話をしていると、「どうぞ」という言葉を何気なく使っている方も多いのではないでしょうか。日本語の「どうぞ」は便利な言葉の一つであり、一言でさまざまな意味を表現できます。

英語で「どうぞ」を表現する場合、「Please」を思い浮かべるでしょう。しかし「Please」は「どうぞ」の中の一部の意味しか表現できません。

つまり「どうぞ」を英語で表現する場合は、ニュアンスやシーンに応じてさまざまな英単語・フレーズを使い分けなければならないのです。

そこで今回は、「どうぞ」の英語表現を解説していきます。
会話で使える例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

日本語の「どうぞ」は複数の意味がある

普段何気なく使っている「どうぞ」という言葉。
実は一言でさまざまな意味を表現できる便利な言葉の一つです。

ここでは、「どうぞ」という言葉がどのような意味で使われているのか紹介します。

・どうぞよろしくお願いします。→どうか、何卒
・はい、どうぞ→モノを渡すとき
・どうぞ~してください。→許可
・どうぞお食べください。→勧める

このように、「どうぞ」には「何卒・譲渡・許可・勧める」などさまざまな意味があるのです。

英語では日本語の「どうぞ」の意味を一つの単語で表現することができないため、伝えたいニュアンスに応じて単語・フレーズを使い分ける必要があります。

「はい、どうぞ」モノを渡すとき

「はい、どうぞ」モノを渡すとき

プレゼントを渡すとき、目の前にあるペンを渡すとき…など人にモノを渡すシーンがあるでしょう。その際に使える「どうぞ」の英語表現を紹介します。

「Here you are. 」「Here you go. 」

モノを渡すときのどうぞの基本表現は「Here you are.」「Here you go.」です。「Here you go.」の方が「Here you are.」よりもカジュアルな印象がありますよ。

Aさん
Can you pass me the salt?
塩を取ってくれる?
Bさん
Here you are.
はい、どうぞ。

「This is for you.」

プレゼントを渡すときのどうぞとしてよく使われるのが「This is for you.」です。

“これはあなたへのものです”というニュアンスを表現できます。お土産を渡すとき、ビジネスシーンで書類を渡すときなどにも使われます。

「どうぞこちらに」案内するとき

人が家に来たとき、レストランで店員として顧客を席に案内するときなど、人を案内するときに「どうぞ」を使うシーンがあるでしょう。

「This way, please.」

人を案内するときに使える基本のフレーズが「This way, please.」です。「こちらです、どうぞ。」という意味になります。

Aさん
Where’s my seat?
わたしの席はどこですか?
Bさん
This way, please.
こちらです、どうぞ。

また、道を案内するニュアンスを強くする場合は「Please come this way.」が使われることもあります。「こちらの道に来てください。」という意味合いを伝えられます。

「いつでもどうぞ」準備ができているのを伝えるとき

「いつでもどうぞ」準備ができているのを伝えるとき

「今、電話できる?」「いつでもどうぞ」といった、準備が整っている様子を伝えるときにも「どうぞ」が使われますよね。

「Anytime. 」「Anytime is okay. 」

「Anytime.」は一言で「いつでも」という意味があるので、「いつでもどうぞ」と同様の意味を伝えられます。

そのほか「Anytime is okay.」も同じ意味として使えるフレーズです。

Aさん
May I go home now?
今家に行ってもいい?
Bさん
Anytime is okay.
いつでもどうぞ。

「Whenever you’re ready.」

準備が整っている様子を伝えるときの中でも、“相手の準備が整ったら”というニュアンスを伝えられる表現が「Whenever you’re ready.」です。

Aさん
What time shall we meet?
何時に待ち合わせをしますか?
Bさん
Whenever you’re ready.
あなたの準備ができているならいつでもどうぞ。

「どうぞ」譲るとき

「どうぞ」譲るとき

「先にどうぞ」「最後のひとつをどうぞ」といった、相手に何かを譲るときにも「どうぞ」が使われますよね。

「After you.」

「お先にどうぞ」は「After you.」というフレーズを使って表現できます。「After you.」を使うときのポイントは、相手の後に自分もやりますという意味が含まれることです。

Aさん
Can I have a shower?
シャワーを浴びてもいいですか?
Bさん
After you. I’m not in a hurry.
お先にどうぞ。わたしは急いでません。

「Go ahead.」

カジュアルなシーンでは「Go ahead.」が使われることもあります。「Go ahead.」は「どうぞどうぞ!」と相手に促すように許可しているニュアンスが伝わります。

Aさん
Can I watch this movie?
この動画を見てもいいですか?
Bさん
Go ahead.
どうぞどうぞ。

「ごゆっくりどうぞ」相手への気遣いを伝えるとき

相手に対する気遣いを込めて、「ごゆっくりどうぞ」と伝える場合、英語では何と表現するのでしょうか。

「Take your time.」

時間はあるからどうぞごゆっくりというニュアンスを伝えられるのが「Take your time.」です。レストランやカフェで注文するメニューを悩んでいる相手に対して使える表現です。

Aさん
Sorry, I haven’t decided yet.
すいません、まだ決まっていません。
Bさん
Take your time.
ごゆっくりどうぞ。

「Please」は使い方に注意しよう

「Please」は使い方に注意しよう

許可を出すときや、「どうぞ~してください」のように何かを促すときに使えるのが副詞のpleaseです。

たとえば許可を出すときは以下のように表現します。

Aさん
May I take this seat?
この席に座ってもいいですか?
Bさん
Yes, please.
はい、どうぞ。

また、「どうぞ~してください」のように何かを促すときは以下のように表現します。

Aさん
Please come in.
どうぞお入りください。

「Please+動詞」が基本の形で、多くの人が知っている表現ですよね。pleaseを文末に用いるパターンもあります。

ただし「please」を使いすぎると相手に対して失礼な表現になることがあるので、注意しなければなりません。「please」は相手がその行動をすることを前提としている表現のため、場合によっては行動を強制しているようなニュアンスになってしまうのです。

Aさん
Please read this book.

これは「どうぞこの本を読んでください」というニュアンスよりも、相手が “本を読んでくれるででしょ” と伝えたことをするのが前提となっている意味合いで伝わります。

そこで目上の人やフォーマルなシーンでは「もしよろしければ、どうぞ~して下さい」という意味で伝わるよう「Would you like ~?」などの丁寧な表現を使うようにしましょう。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は「どうぞ」の英語表現を紹介しました。

さまざまな表現があってややこしく感じるかもしれませんが、「Please」だけに頼らずシーンに応じて表現を使い分けてくださいね。

ぜひ今回の記事を参考に、「どうぞ」の英語を会話で活用してみてください。