日本語では「重量が重い」というだけでなく、「気が重い」や「関係が重い」、「動きが重い」など、さまざまな現象を同じ「重い」で表せますが、英語の場合はどうなのでしょう。
日本語と同じように1単語で済むのか、それぞれで違う表現を使うのか、気になりますね。
ということで、今回のテーマは「重い」です。
英語で「重い」を表す表現について、ニュアンスごとの違いを詳しく確認していきます。
これを読めば、さまざまな重さを英語でも表現できるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「重い」は英語で何て言う?
「重い」を表す英語で最も一般的なのは “heavy” です。発音記号は「hévi」、カタカナだと「ヘヴィー」と読みます。
heavy が表すのは、主に「物質的な重さ」です。天秤に乗せて計れる重さだと考えれば問題ありません。そのため、対義語は “light(軽い)” になります。
This table is so heavy that I can’t move alone.
訳)このテーブルはとても重いので、私1人では動かせません。
heavy の比較級、最上級は?
heavy の比較級は “heavier”、最上級は “heaviest” と綴ります。er と est を付ける際、語末の y が i に変わるので注意してください。
This stone is heavier than that one.
訳)この石はあの石より重いです。
heavy の語源は?
heavy の語源を遡ると、古代ゲルマン語で「持っている」を表す “habjana” に行き着きます。なぜ「持っている」が「重い」の意味になったかというと、持てば持つほど密度が増すから。
たとえば、同じ大きさの綿と鉄球があった場合、より重いのは鉄球の方です。その理由は、鉄球の方が中にたくさんの成分を持っている(含んでいる)から。
ここから、heavy の「重い」という意味は、「密度が高い」の結果生まれたたくさんの意味のうちの1つに過ぎないということがわかります。
heavy の基本イメージ=「密度が高い」
heavy の基本的な意味は、「重い」というより「密度が高い」にあります。
そのため、heavy は以下のようにさまざまな意味合いで用いられます。
程度が激しい
Trains are halted due to the heavy rain.
訳)大雨の影響で電車が止まっています。
※一度に降る雨の密度が高いということです。
量が多い
My father is a heavy smoker.
訳)私の父はヘビースモーカーです。
※ヘビースモーカーとは、たくさんタバコを吸う人のこと。1日の摂取密度が高いということです。
つらい、きつい
What a heavy schedule!
訳)なんてきついスケジュールなんだ!
※カレンダーが仕事で埋め尽くされ、密度が高くなっているイメージです。
以上のように、heavy の意味の基本はあくまで「密度が高い」です。そのため、日本語で「重い」と言われるものの中には、heavy では表しにくいものがいくつか存在します。
次の見出しからは、そんな heavy で表しにくい、または表せない「重い」について詳しく確認していきましょう。
「気が重い」は英語でどう表す?
ここでは、「気が重い」を表す代表的な表現として、以下の4つを取り上げます。
- be heavy hearted
- feel depressed
- gloomy
- under the weather
「気が重い」と一括りに言っても、それぞれに原因や気分の種類が異なります。1つずつ詳しく確認していきましょう。
be heavy hearted
“be heavy hearted” は、心に悩みなどが多くて「気が重い」状態を表します。
先述の通り、heavy の基本的な意味は「密度が高い」なので、心の中に悩みなどが溜まって「いっぱいいっぱい」になっているイメージです。
feel depressed
“feel depressed” は、「鬱っぽく気が重い」ことを表します。
depress は「落ち込ませる」という意味の動詞で、depressing とすると「気を滅入らせる〇〇」という意味でも使われます。
gloomy
“gloomy” はもともと「空模様が暗い」という意味。そこから「心に雲がかかったような気の重さ」を表します。
depressed ほど深刻ではないものの、なんとなく顔色が曇っているイメージです。
under the weather
“under the weather” は、「気分などが優れない気の重さ」を表します。
なぜ天気(weather)の下なのかには諸説ありますが、一説によると船乗りたちが荒れた空の下で気分が悪くなった際、甲板からデッキの下に移動したことが由来だとされています。
恋愛関係の「愛が重い」は英語でどう表す?
恋愛関係における「愛が重い」を表す際は、”needy”、”clingy”、”too much” がよく使われます。
どれも愛情表現が強過ぎる点では同じですが、アプローチの仕方が少しずつ異なります。詳細を確認していきましょう。
needy
“needy” は「必要とする」を表す need の形容詞版で、「必要以上に愛情などを求める重さ」を表します。
双方が同じ程度求めているぶんには問題ありませんが、片方だけが求め過ぎると「重い」と言われてしまうので注意が必要ですね。
I want to hear your “I love you” 100times a day.
訳)あなたの「愛してる」を1日に聞きたいの。
You’re so needy.
訳)重い…。
clingy
“clingy” は、「しがみつく」を意味する cling の形容詞版で、「いつも一緒に居たがる重さ」を表します。
こちらも needy の場合と同様、双方が一緒に居たがるぶんには問題ありませんが、そこにギャップが生まれると「重い」に転じてしまいます。
What do you want to do in this weekend?
訳)今週末は何したい?
I wanna be with you for 24 hours.
訳)24時間君と一緒に居たいよ。
You’re so clingy…
訳)重い…。
too sweet
“sweet” はもともと味覚の「甘い」を表しますが、恋愛での「甘い関係」にも使うことができます。
しかし、その甘さも度を過ぎればもたれてしまうもの。too sweet になるとネガティブな「ベタベタ、女々しい」などの重い意味合いとして使われます。
My ex-boyfriend was too sweet.
訳)私の元カレ、超重かったんだよね。
「パソコンが重い」は英語でどう表す?
日本ではパソコンの動作がゆっくりになることを「重い」と表現しますが、英語だと “slow” を用いるのが一般的です。
実際のところ、パソコンの処理速度が落ちている状態を表すので、英語の方が理にかなっているといえるでしょう。
日本でなぜ「重い」と表現するか明確な由来は明らかではありませんが、おそらくデータが多過ぎて処理し切れないというイメージなのだと推察されます。その意味では、日本語の「重い」は heavy のイメージに近いといえそうです。
My computer is running so slow.
訳)パソコンがなんだかとっても重い。
まとめ
今回は「重い」を表す英語表現について、詳しく確認してきました。
「重い」は英語で heavy ですが、すべての重さを heavy が表せるわけではありません。気分の重さや関係性の重さ、動きの重さなど、重さの種類に応じて適切な表現を使い分ける必要があります。
今回ご紹介したことを参考に、身の回りの重さを的確に表現していきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!