ギリシャ南部ペロポネソス半島。アルカディア山脈の斜面、標高約1160 mの地点に位置するのが、バッサイ(Bassae)の聖域にある「アポロ・エピクリオス神殿(Temple of Apollo Epicurius at Bassae)」世界文化遺産にも登録されています。

この記事では、神殿の歴史、構造、世界遺産としての価値などを英語を交えながら学んでいきましょう。

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿とは?

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿とは?

バッサイ(Bassae)という地名は「岩々の小さな谷間(little vale in the rocks)」を意味すると言われています。

神殿の歴史

この神殿は、紀元前5世紀半ば(およそ 紀元前420-400年)に、フィガリアの人々が、ペストや疫病からの救済を祈って、アポロ・エピクリオスに捧げて約30年かけて建てたと伝えられています。建築家には、アテネのパルテノン神殿を設計したと言われるイクティノスの名が挙げられています。

その後、長い間ほとんど忘れられた場所にあったものの、18世紀中ごろに偶然の発見があり、19世紀から英国・ドイツ・ロシアの発掘活動が展開されました。1812年に英国の考古学者チャールズ・コックレルらが発掘を行い、フリーズ(彫刻パネル)22枚が英・大英博物館に移されたという記録もあります。
20世紀に入ると、1902年からの修復、さらに耐震・保護工事が行われ、現在も大規模な保存・修復活動が続いています。

神殿の構造

この神殿の特徴は、「古代ギリシャ建築の三大建築様式」をひとつの建物で併用している点です。いわゆるドーリア式(Doric)、イオニア式(Ionic)、コリント式(Corinthian)の三様式が組み込まれています。 外周の円柱列/ペリスタイルがドーリア式、内部のナオス(本殿)周囲にイオニア式の柱・半柱が使われ、さらには中央部に配置された1本のコリント式柱(最古のコリント式柱頭の例)が確認されています。

天井はすでに失われており、中心部は「青天井」状態になっています。使用された材料は、地元アルカディア地方産の灰色石灰岩が主で、彫刻部分には大理石が用いられています。現在は、白いテントで覆われ保全作業が行われています。

世界遺産としての価値

「バッサイのアポロ・エピクリオス神殿(Temple of Apollo Epicurius at Bassae)」は、1986年ユネスコ の世界文化遺産リストに登録されました。

登録された理由

世界遺産登録理由として、主に以下の点が挙げられています。

  • 古代ギリシャ建築の際立った特徴を表現している。また、ドーリア式・イオニア式・コリント式を一体的に用いた独特の建築様式である。
  • 世界最古のコリント式の建造物のルーツであり、その後に続くコリント式のモデルである。
  • 郊外にあるため、かつて存在したギリシャの聖域の顕著な例が今でもみられる。

UNESCO World Heritage Convention:Temple of Apollo Epicurius at Bassae

覚えておきたい英語

この記事で登場した英語の語彙・表現の中から、特に覚えておくと役立つものをピックアップします。これらの単語・表現は、旅先で英語の説明を聞いたり、英語で感想を言ったりするときにも活用できます。

sanctuary:聖域
The temple stands within a remote mountain sanctuary.
その神殿は人里離れた山中の聖域に建っています。

architectural style:建築様式
This temple is unique for combining three architectural styles: Doric, Ionic and Corinthian.
この神殿はドーリア式・イオニア式・コリント式という三つの建築様式を組み合わせていることでユニークです。

preservation:保存
Preservation efforts continue to protect the temple from weather damage.
天候による損傷から神殿を守る保存努力が続けられています。

remote:離れた
The site is in a remote part of the Peloponnese, high on a mountain slope.
その遺跡はペロポネソス半島の人里離れた高い斜面にあります。

旅先で使える英会話フレーズ

この神殿を訪れ、英語で会話をするときのフレーズを紹介します。

Aさん
Look at how the columns stand against the mountain backdrop.
訳)山を背景にそびえる柱を見て。
Bさん
It’s incredible — the architecture still speaks after 2,500 years.
訳)信じられないよね。2,500年以上経った今も建築が語りかけてるみたいだね。
Aさん
Did you know this temple uses Doric, Ionic and Corinthian styles together?
訳)この神殿がドーリア式・イオニア式・コリント式を一緒に使ってるって知ってた?
Bさん
Really? That’s a first for ancient Greek architecture!
訳)本当?それって古代ギリシャ建築の初めての試みじゃないか!
Aさん
Being up here at 1,131 metres gives a sense of peace.
訳)標高1,131メートルのこの場所にいると静けさを感じるね。
Bさん
Yes — remote locations like this help preservation, I guess.
訳)うん ― 人里離れた場所だからこそ保存が進んだんじゃないかな。

建築様式のミニ知識

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿とは?

古代ギリシャ建築には3つの主要な様式があり、神殿ごとに個性を生み出してきました。バッサイのアポロ・エピクリオス神殿では、「古代ギリシャ建築の三大建築様式」をひとつの建物で併用しています。様式の違いを知れば、遺跡巡りがもっと深く、もっと楽しくなります。

ドーリア式(Doric)

古代ギリシャ建築様式の一つ。柱は太くエンタシスが強く、頭に鉢形装飾を持たず柱台はありません。代表的な建造物に、ギリシャのパルテノン神殿があります。

イオニア式(Ionic)

柱頭に特徴的な渦巻きがあり、繊細な印象の様式です。代表的な建造物に、ギリシャのエレクテイオンがあります。

コリント式(Corinthian)

三大様式の中で最も装飾的。細身の柱身とアカンサスの葉を模した柱頭を持ち、彫刻的要素が強い形式です。

おわりに:英語で世界遺産を旅しよう!

この記事でご紹介したバッサイのアポロ・エピクリオス神殿は、「建築の素晴らしさ」と「歴史の深さ」を感じられる場所です。このような場所を訪れたら、思わず英語で驚きや感動を言葉にして人と共有したくなりますね。

神殿を訪れた際には、ぜひこの記事で覚えた英単語・表現を思い出して、「I can see the three architectural styles…」のように英語で話してみてください。