大人の保護なしでは生きていけない、小さかった赤ちゃんも、1歳を過ぎるとよちよちと一人で歩きだし、いよいよ一人の人間として人生を歩みだしていくかのようです。1歳から2歳までの身体的、情緒的発達の目安、そしてそれぞれを英語で何というのか、海外の子育ての情報を交えながら一緒に考えてみましょう!!

身体的発達

様々な運動機能の発達や新しい行動が見られる

赤ちゃんが「初めの一歩」を歩き始める。この感動はとても大きいものですよね!これは大変個人差があり、早い子がいれば遅い子もいます。満1歳を過ぎると、赤ちゃんの体は生まれた時と比較すると、身長はおよそ1.5倍、体重は約3倍になります。そして平均して12か月ごろに歩き始めると言われていますが、早い子で9~10か月くらいから、遅めの赤ちゃんでは1歳半を過ぎてからという場合もあります。
身体運動能力もしかりですが、それよりも育つ環境や個々の性格が大きく影響すると言われています。握ることしかできなかった赤ちゃんが、1歳を過ぎるころから、手をぱちぱちしたり、掴んで振ったり、そしてそれは指先への複雑な動きへと発展していきます。「見る」「聞く」「触る」「味わう」「嗅ぐ」の五感の発達を促す遊びや生活を積極的に行うことがこの時期の子どもの豊かな情緒や発想力を養います。

  • 初めて歩く・・・・to take one’s first step
  • 五感・・・five senses

箱の中のものを出し入れする、積み木などを積むことが出来る

積み木を組み立てたり、箱に出し入れしたりする遊びは「構成遊び」といい、手先の器用さや思考力、想像力を養う効果がある遊びになります。最初は2~3個しか積めなかった積み木を、どんどん高く積めるようになり、崩れないように集中してそっと力を加減して置いたりすることで、集中力や指先の使い方の訓練になります。
このような遊びにはほかに、パズル、マグネットボード、ブロックなどがあり、素材も豊富で、アルファベットのものだと英語に触れることもできます。作ったものを壊す、といったのも遊びのうちなので、自分なりの遊びを楽しんでいる姿を見守ってくださいね!

  • ・積み木遊び・・・Playing with blocks
  • ・指でつまむ・・・Pinch with one’s fingers

ボールを蹴ったり、投げたりする

ボール遊びは手軽で、大人になるまでずっと関わっていける、大変優れた遊びです。ころころと転がるさま、ポンと跳ねていく様子を見て、赤ちゃんは目をキラキラさせてボールを追ったり、つかまえようとします。
遊び方として、まずコロコロ転がしてキャッチをする、少し上手になってきたら、ポーンと高く投げてみます。キャッチできなくてもキャッキャッと笑いながら、延々と遊ぶ様子はとても愛らしいものですよね!ボールをどんどん活用して、親子のコミュニケーションを図りましょう!!

その場でジャンプすることが出来る

1歳も後半になってくると、筋力がついてバランス感覚が優れてきて、ジャンプをするようになります。ジャンプには「飛び降りる」と「飛び跳ねる」の二通りがあって、飛び降りるジャンプのほうが早くできるようになります。「飛び降りるジャンプ」は体全体をタイミングよく動かす力や瞬発力を高める効果があります。また、飛び降りた時の衝撃に耐え、転ばないように体のバランスをとる力も育てていきます。
「飛び跳ねるジャンプ」は体やひざを曲げ伸ばしすることで柔軟性を育てたり、地面を蹴る筋力も育てます。まだ初めのころは足がバラバラだったりしますが、これも毎日の訓練で次第に上手になっていきます。こうした動きをすることが出来るようになると、思わぬ事故を引き起こすことがありますので、エスカレートして高いところから転倒しないように見守ることも必要になってきます。

  • 飛び降りる・・・jump off
  • バランス感覚・・・a sense of balance

絵本をめくる、クレヨンでなぐり描きをする

ママがせっかく絵本を読んであげているのに、子どもが絵本をめくりたがって、ちゃんと順番通りに読めないことがあります。赤ちゃんにとっては「めくる」という行為が面白くて遊んでいるわけで、その行為をついつい叱ってしまいがちですよね。(お気持ちよーくわかります!)絵本に興味があることには変わりないので、「一緒に読もうか?」とか「ゆっくりめくってね」と優しく促してあげましょう。
クレヨンで紙を叩いたり、ぐるぐると乱暴に書き殴るのがこの時期です。これを「なぐり描き期」というそうです。これは絵を描いているのではなく、「手の運動」をしているのです。手首を動かして点を描き、そして線が引けるようになります。そして、ひじや肩を使って、グルグルと円が描けるようになるわけです。充分になぐり描きが出来るように、新聞紙などをテーブルに広げたりして、手の動きがどんどんスムーズになるように促してあげましょう!

  • 絵本をめくる・・・turn(over) the book
  • なぐり描き・・・scribble

情緒的発達

情緒的発達

大人の言うことがわかるようになる

「~とって」などの簡単な指示が理解できるようになります。「おいしいね」「かわいいね」「気持ちいいね」「お口あーんして」などの語りかけも理解し、それにこたえようとします。また、大人に呼びかけたり、イヤイヤと拒否したりし始めます。言うことを聞かない「イヤイヤ期」の始まりですね!無理にさせようとしたり、抑えつけたりせずに、子どもの意思を尊重して見守る余裕が欲しいものです。

指さし、身振り、片言を使うようになり、二語文を話す

指さしや身振り手振りで伝えようとしたり、「ワンワン」「イタイイタイ」「これちょうだい」などの二語文を話すようになります。言語のアプローチをするチャンス!英語でも同様に積極的に行い、バイリンガルキッズを育ててみては?

  • 片言で(幼児が)しゃべる・・・prattle

人見知りをするようになる

赤ちゃんは1歳を過ぎるころになると、急に人見知りが始まり、知らない人を見ると泣いて怖がるようになります。これは、赤ちゃんが毎日の生活の中で特定の大切な人を「認識する」という能力が育ってきた証拠でもあります。これもかなり個人差がありますが、早くて6か月ごろから始まり、長い子で2歳ごろまで続くこともあるようです。
抱っこしようとする知らない人や、たまにしか会わないおじいちゃんやおばあちゃんにまで、赤ちゃんに激しく泣かれて気まずい思いをしたことはありませんか?またこの時期に、たくさんの知らない人がいる場所に行った夜に、夜泣きが起こったりする困ったケースもあります。人見知りは赤ちゃんの脳が発達している成長段階の一つなので、成長に伴っていろんな人に接したり、経験を積んでくると自然に克服していくものですから、何より赤ちゃんを安心させる環境を作り、無理に抱っこさせたりしてかえって悪化させないように気をつけましょう!

  • 人見知り・・・shy around strangers

相手に対する抵抗、不満を訴えるなどの行動が出てくる

この頃から「自分のもの」に対する執着心が芽生えてきます。以前は自分のおもちゃを取られても「目の前から消えた」という感覚だったのが、自分の好きなものや欲しいものは「すべて自分のもの」と思い、他人に譲ろうなどはできません。まだ「貸して」という言葉の意味も分からないので、おもちゃの取り合いは仕方のないことでしょう。また、おもちゃの取り合いを通して、おもちゃを取ったら相手が泣いて悲しい気持ちになるとか、自分も取られたら同じ気持ちになるのだということがわかってきますし、だんだん自分のものと他人の物が違うという区別もついてきます。
おもちゃの取り合いは、子供が良い人間関係を築くための社会性を学ぶチャンスでもあるのです。ですので、つい相手に迷惑をかけてはいけないと親が先回りして取り上げたり、相手のほうへ向かっていく前に阻止したりすると、子どもはなぜそういうことをされるのか理解できず、心の成長を妨げてしまいます。いきなり叱るのではなく、他のものに気をそらせたりしてみましょう。言葉で言えない年齢だと、噛みついたり叩いたりといった行動に出ることがあるので危険なことはしてはいけない、と根気よく教えていくことが大切です成長とともにいろんな悩みも増えていきますが子供も親も学びの場だということで、ともに成長できるといいですね!

  • おもちゃを取り合う・・・fight over a toy

自我が芽生え「自分でやりたい」という意欲が出始める時期

自我を形成し始めるこの頃は、大人が手伝おうとするのを拒み、「何でも自分でやる」という気持ちを持つようになります。これを「自我の芽生え」といい、やがてこれが「自立」へと繋がっていきます。「第一次反抗期」の始まりでもあり、イヤイヤと泣きさけんだり、物を投げつけたり・・・ついつい大人のほうもイライラして感情的になってしまいます。言葉が少ない子供にとって、自分の欲求がうまく伝えられずに癇癪を起してしまう、その気持ちを冷静に受け入れてあげることが大切といえるでしょう。
「○○しなさい」ばかりでなく、「○○できるかな?」「できるね、すごいね!」と、子供の気持ちを認めてあげて、時間や気持ちに余裕をもって接することを心がけてみてくださいね。育児の最初の試練かもしれません、ママ、ファイト!!!

海外の育児はこうする

海外の育児はこうする

アメリカでは多くの場合、泣き止むまで泣かせます親が子供のわがままには振り回されない!という毅然とした態度をとるようです。ご近所さんの迷惑を考えている日本とはずいぶん違いますよね!
イタリアでは、この時期に豊かな人格生計ができるとされ、ママが過剰に手を貸したり、大人の都合でせかしたりすることが反抗の一因であると考えられています。そのため、大人が子供が一人でできる環境を整えてあげることで、この時期をうまく乗り越えているそうです。
欧米では子供がやりたいことを尊重し、ひとりの個人として扱っていて、子ども自身で解決するように促すことが多いようです。なかなか日本ではなじめないやり方ですが「こうしなさい!」と頭ごなしではなく、「どうしたいの?」と考えさせる接し方ができるといいですね!

まとめ

1歳から2歳までの子供は、体も心も大きく成長し変化をしていきます。スポンジのようにすべてを吸収する時期なので、五感をフルに刺激する生活を工夫しよう!また、「イヤイヤ期」は親も子学びの時期と考え、子供の気持ちを受け入れて、あまり真面目に悩まずに、心のゆとりをもって接していきましょう。