「No!」子どもが何かをしようとしたとき、親の口から一番先に出てくる言葉です。日本で子育てをしていた頃の私は、気づけば一日に何度も「ダメ」「やめて」「無理」と言っていました。もちろん、子どもを危険から守るためには必要な「No」もあります。でも、子どもとLAで暮らすようになって、少しずつ私の子育ての「声かけ」が変わっていきました。きっかけは、アメリカの幼稚園や公園で出会ったママたち、先生たちの言葉でした。そして何より大きかったのは、5歳になった娘の変化です。
ここでは、LAでゆるっと子育てをする私が現地で学んだ、子どもを褒めて伸ばす方法、そのための声かけを紹介していきます。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 結果より「プロセス」を言葉にする:“You kept trying.”のように子どもの行動や努力を具体的に伝えると、「自分で頑張った」という感覚が育ちます。
- 反射的な「No」を「どうしたらできる?」に変える:危険なこと以外は、禁止する前に”How can we make this safe?”と問いかけ、子ども自身に考えさせます。
- 「yet」で失敗を前向きに捉える:“You can’t do it yet.”と「まだできないだけ」を伝えることで、失敗しても大丈夫と思える自己肯定感を育てます。
LAの子育ては、とにかくポジティブです

LAで子育てをしていると、日本とはちょっと違う「空気感」に驚くことがあります。公園で子どもが走れば、
“Good job!”
何かに挑戦していれば、
“You got this!”
転んでも、
“You’re okay. Try again.”
初めて会った人からでも、
“Wow! I love your drawing!”
なんて声をかけてもらいます。
もちろん、全員がいつでもポジティブというわけではありません。でも、「できた・できない」という結果だけではなく、「挑戦したこと」や「自分で考えたこと」を肯定する言葉を、日常的に耳にする機会は多いと感じます。
特に印象的なのが、
“I like how you…”
という言い方です。例えば、子どもが一生懸命おもちゃを片付けていたら、
“I like how you’re putting everything away.”
「ちゃんと片付けようとしているところ、いいね」
絵を描いていたら、
“I like how you chose those colors.”
「その色を選んだところ、素敵だね」という具合です。ただ”Good job!” と言うだけではなく、子どもの行動を具体的に見て、それを言葉にするのです。これを知ってから、私も家で少しずつ取り入れるようになりました。
「すごいね!」をやめてみました
以前の私は、娘が何かをすると、「すごいね!」「上手!」「えらい!」と、とにかく褒めていました。でも、あるときから少し意識を変えました。例えば、娘が自分で靴を履いたときです。以前なら、「わぁ、すごい!自分で履けたね!」と言っていました。それを、
“You put your shoes on all by yourself.”
「自分で靴を履いたね」に変えてみました。さらに、
“How does that make you feel?”
「できてどんな気持ち?」と聞いてみました。すると、
“I’m proud of myself!”
「誇らしい!」と答えました。そのとき、ちょっとした衝撃を受けました。今まで私は、子どもの「評価」を私がしていたのです。でも、本当に育てたいのは、「ママがすごいって言ったから嬉しい」ではなく、「自分で頑張った自分って、すごい」という感覚なのではないかと思いました。
それから我が家では、結果を褒めるよりも、プロセスを言葉にすることを意識するようになりました。
“You kept trying.”
「何度も挑戦したね」
“You didn’t give up.”
「あきらめなかったね」
“You figured it out!”
「自分で方法を見つけたね!」
“I saw how hard you worked.”
「一生懸命やっていたの、ちゃんと見ていたよ」
これらの言葉は、子どもに「成功したかどうか」ではなく、「自分の行動」に目を向けさせてくれます。
「Noを言わない」を始めてみました

もう一つ、我が家で大きく変わったのが「No」の使い方です。正確には、「Noを一切言わない」ということではありません。危険なことや、人を傷つけることにはもちろん「No」を使います。
ただ、それ以外の場面では、「ダメ!」と反射的に言う前に、「どうしたらできる?」に変換してみることにしました。
ある日のことです。LAの公園で、娘がかなり高い遊具に登ろうとしていました。日本にいた頃の私なら、「危ない!やめて!」と言っていたと思います。
でも、その日は一度立ち止まりました。「No」と言う代わりに、
“Hmm… How can we make this safe?”
「どうしたら安全にできるかな?」
と聞いてみました。娘はしばらく考えて、
“I can go slowly.”
「ゆっくり行く」と言いました。
そこで、
“Good thinking.”
「いい考えね」
と返しました。そして、近くで見守りました。結果的に娘は、自分で慎重に登っていきました。もちろん、危険があれば止めます。「登るな」と禁止するのではなく、「安全に挑戦するには?」と考えさせる。
その小さな違いが、親子の空気を変えていきました。
「失敗しても大丈夫」が口癖になりました
5歳になると、できることが一気に増えます。その分、「できないこと」への悔しさも強くなります。パズルが完成しない。靴ひもが結べない。ゲームで負ける…。以前の娘は、すぐに、
“I can’t!”
「できない!」
と言っていました。そのとき私が、
“You can’t do it yet.”
と言うようになりました。
「今はまだできないだけよ」この “yet”という言葉が、我が家ではかなり大きかったです。「できない」で終わらせない。「まだできない」にするのです。
すると娘が、
“Not yet?”
と聞いてくるようになりました。
「まだ?」そうです。今じゃなくてもいい。今日できなくてもいい。練習したらできるかも。できなくても、それで自分の価値が下がるわけではありません。そんな感覚を、少しずつ身につけてほしいと思っています。
「結果」ではなく「努力」を見つけます

最近よく耳にする「プロセスを褒める」「具体的に褒める」という考え方。これを実際にやってみると、親の側にも変化があります。子どもの行動をよく見るようになるのです。例えば、LEGOで何かを作っている娘。完成したものだけを見て、
“Wow! That’s amazing!”
と言うのではなく、
“You tried three different ways to build that.”
「3つも違う方法を試したね」
と言ってみます。すると娘は、
“Yeah! This way worked!”
と嬉しそうに話します。
「完成した作品」ではなく、「そこに至るまでの自分」に自信を持てるようになるのです。これは、これから先の学校生活でも、スポーツでも、仕事でも、大切になる力だと思います。
“You’re so smart!”を減らした理由
もう一つ、最近意識しているのが、
“You’re so smart!”
「頭いいね!」
という褒め方を減らすことです。
もちろん、言ってはいけないわけではありません。でも、こればかり言われていると、「頭がいい自分でいなきゃ」「間違えたら、頭がよくないと思われる」と感じることがあるのではないかと思います。
だから、
“You worked really hard on that.”
「一生懸命がんばったね」
“You found a different way.”
「違う方法を見つけたね」
“I love how curious you are.”
「何でも知りたがるところ、素敵だね」
というように、「能力」より「姿勢」を見つけて伝えるようになりました。
LAの「個性を大切にする」空気
LAに住んでいると、「みんな違って当たり前」という感覚を、日常の中で感じることが多いです。肌の色も、話す言葉も、家族の形も、好きなものも、子どもの性格も、本当にさまざまです。
幼稚園でも、公園でも、”Be yourself.”「あなたらしくいてね」というメッセージを感じる場面があります。
だからこそ、我が家でも、「みんなと同じようにできるか」より、「あなたはどう思うか?」を聞くようになりました。親が答えを教えるのではなく、子ども自身に考えてもらうのです。もちろん5歳なので、毎回素晴らしい答えが出てくるわけではありません。でも、「自分の意見を言ってもいい」という経験を積み重ねることが大切なのだと思います。
よくある質問
子どもを褒めるとき、”Good job!”以外にどんな英語が使えますか?
“I like how you…”(〜するところ、いいね)や”You kept trying.”(何度も挑戦したね)のように、子どもの行動を具体的に言葉にする表現がおすすめです。結果よりもプロセスに目を向けられます。
「Noを言わない」子育てとは、何でも許すことですか?
いいえ。危険なことや人を傷つけることには「No」を使います。それ以外の場面で、反射的に禁止する前に”How can we make this safe?”(どうしたら安全にできるかな?)と子どもに考えさせる方法です。
子どもが”I can’t!”と言ったら、どう声をかければいいですか?
“You can’t do it yet.”(今はまだできないだけだよ)と、”yet”を添えて返すのがおすすめです。「できない」で終わらせず、練習すればできるかもしれないという前向きな感覚を育てられます。
自己肯定感は「すごいね」の数ではない
5歳児とのLA生活で、私が一番感じたこと。自己肯定感というのは、「あなたはすごい」と毎日言われることで作られるものではないのかもしれません。失敗しても、「大丈夫。もう一回やってみよう」と思えること。自分と誰かを比べなくても、「私は私でいい」と思えること。自分の気持ちを、「こう思った」と言えること。それが、私が5歳の娘に育ててあげたい力なのだと思います。そして私自身も、子どもに「完璧」を求めるのではなく、”You’re doing great.”と自分自身にも言える母親でいたいと思います。
