「え、それってそう読むの?」
アメリカで子育てをしていると、そんな一言を“子どもから”言われる瞬間があります。特に現地校に通い始めると、親の英語力が試されるのが「宿題」の時間です。日本ではあまり馴染みのない「フォニックス」や「サイトワード」、さらには毎日の「読み聞かせ」。英語が苦手な日本人の親にとっては、どれもなかなかのハードルです。

この記事では、実際にありがちなエピソードや例文を交えながら、「親が英語力を試される瞬間」とその対処法を紹介します。

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • フォニックスは「音と文字のルール」、サイトワードは「ルールでは読めない頻出語」と理解すると、子どもの英語学習の全体像がつかめる。
  • 海外の宿題では発音・読みが重視されるため、日本人の親は発音・読み聞かせ・サイトワードで苦戦しやすい。
  • 親も一緒に学び、フォニックスの基礎理解・サイトワードの習得・完璧を求めない読み聞かせを行うことが効果的な対策となる。

フォニックスとは何か?

フォニックスとは何か?

まず子供と英語を学ぶ際の最初の壁が「フォニックス(phonics)」です。フォニックスとは、アルファベットと発音の関係をルールとして学ぶ方法のことです。たとえば、

  • a → /æ/(ア)
  • b → /b/(ブ)
  • cat → /k/ + /æ/ + /t/ = キャット

日本の英語教育では「cat=キャット」と丸暗記することが多いですが、フォニックスでは音の組み合わせで読む力を養います。

ただ、フォニックスについての歌もあり、”A says /æ/, /æ/, apple, B says /b/, /b/, ball, C says /k/, /k/, cat”と楽しい歌詞で歌えます。ぜひ検索してみて下さい。

サイトワードとは何か?

もう一つ重要なのが「サイトワード(sight words)」です。これは、発音ルールに従わない、または頻出で“見た瞬間に読めるようにする”単語のことです。

例:

  • the
  • said
  • come
  • one
  • have
  • do
  • go
  • know
  • take

これらはフォニックスだけでは読めないため、「暗記」が必要になります。

大人向けには「日常・仕事・ニュースなどで即座に理解できる重要語」として整理すると役立ちます。例えば、ビジネスなどでよく使う以下のような単語は見た瞬間に発音が理解されている前提で発語することが求められます。

  • manage(管理する)
  • provide(提供する)
  • develop(開発する)
  • improve(改善する)
  • increase(増加する)
  • reduce(減らす)
  • support(支援する)
  • report(報告する)
  • decide(決定する)
  • achieve(達成する)

親の英語力が試される瞬間① フォニックスの宿題

ある日、子どもが宿題を持って帰ってきます。

Aさん
Mom, can you help me read this?
訳)お母さん、これを読むのを手伝ってくれる?

と子どもに聞かれます。宿題のプリントにはこう書かれています:

  • ship
  • sheep

親は自信満々で読みます。「“ship(シップ)、 sheep(シープ)!」

すると子どもが「ママ、 ‘ship’ は /ɪ/, not /iː/だよ」と発音指導が入りました。

よくある間違い

  • ship /ʃɪp/(短いイ)
  • sheep /ʃiːp/(長いイ)

日本語ではどちらも「シー」に聞こえがちですが、英語では明確に区別されます。

親の英語力が試される瞬間② サイトワードの罠

サイトワードは「理屈ではなく暗記」が基本。しかし親はついルールで読もうとしてしまいます。

子どもに「”said”(sayの過去形)はどうやって読むの?」と聞かれた際、セイド…?」とカタカナ英語で答えると、「違うよ! “sed”と読むんだよ」と指摘されます。この瞬間、親の頭の中はこうなります。「え、aiってエイじゃないの?」

そう、サイトワードはルール破りの代表格なので、暗記しないといけません。

親の英語力が試される瞬間③ 読み聞かせで撃沈

親の英語力が試される瞬間③ 読み聞かせで撃沈

アメリカの小学校では、毎日の「読み聞かせ(reading aloud)」が宿題になることも多いです。

ある夜の出来事。私が“Once upon a time, there was a bear…”と順調に読んでいたはずが、

“through”という単語で「スルー」と言ったら、子どもに“ ‘through’ (/θruː/).”だよ、と指摘されてしまいました。

さらに別の日。“enough”という単語を「イナフ」と言ったら、子どもに“/ɪˈnʌf/”だよ、と指摘されてました。

読み聞かせは、親にとっても発音テストのような時間になります。また、気が緩むと日本人の私はついついカタカナ英語になってしまうので毎回気を引き締めて英語を読まないとなりません。

外出先で発音を直される屈辱(でも成長)

一番ダメージが大きいのは「子供に人前で訂正されること」です。

ある日、カフェでレジのオーダーをしようと思って“I’d like a large coffee, please.”した際、(店員には通じた)子どもが一言。

Aさん
Mom, it’s not ‘coffee(コーフィー)’, it’s ‘coffee(カーフィー寄り).
訳)ママ、コーフィーじゃなくてカーフィだよ。

周囲に聞こえる声で修正され、少し恥ずかしかったです。

さらにスーパーで

Aさん
Let’s buy some vegetables.
訳)「ベジタブルズ」を買おうね。

と言ったら、子供に

「/ˈvedʒtəblz/だよ。ベジタブルズじゃない。」と指摘されてしまいました。子どもは純粋に正してくれているだけですが、親としてはなかなかの衝撃です。

“L” “R”はやっぱり言い間違える

日本語には英語の「R」と「L」のような明確な区別がないため、多くの日本人学習者にとって聞き分け・発音ともに難しく感じられます。

  • right(右) / light(光)
  • road(道路) / load(積み荷)
  • rock(岩) / lock(鍵)
  • rice(米) / lice(シラミ)
  • glass(ガラス) / grass(草)
  • fly(飛ぶ) / fry(揚げる)
  • play(遊ぶ) / pray(祈る)

これらは日常で間違えると相手に「?」と思わせてしまうことがあるかもしれないので、気を付けたほうが良いでしょう。

日本語の「ら行」は R と L の中間音に近いためRもLも同じように発音してしまいがち。

  • L → 「ラ」ではなく「ル」に近い意識+舌を上につける
  • R → 口をすぼめて「ウ」に近い響きから入る

のがポイントです。ぜひ参考にしてみてください。

なぜ子どもに指摘されるのか?

なぜ子どもに指摘されるのか?

理由はシンプルです。

  • 日本の英語教育 → 単語暗記・文法中心
  • アメリカの教育 → 音・読解中心

つまり、親と子どもで英語の学び方が違うのです。その結果、子どもは 発音・読みが得意になり、親は文法・意味は分かるが発音が弱くなってしまうのです。

という逆転現象が起きます。

親ができる対策

ではどうすればいいのでしょうか?

① フォニックスを一緒に学ぶ

子ども任せにせず、親も基本を押さえましょう。

例:

  • short vowel(短母音)
  • long vowel(長母音)
  • digraph(sh, ch など)

YouTubeや教材を使えば、大人でも十分習得できます。

② サイトワードは割り切って覚える

ルールを考えすぎないことが重要です。親子でクイズ形式にすると効果的です。例えば、

Aさん
How do you read ‘one’?
訳)”one”はどやって発音する?

Bさん
/wʌn/!
訳)/wʌn/だよ!

のように、ゲーム感覚で覚えるとストレスが減りますし、子供の教育にも良いでしょう。

③ 読み聞かせは「完璧」を目指さない

読み聞かせは、間違えてもOKです。

むしろ子どもに直してもらい、一緒に確認することで、学習が深まります。

英語力を試されるのは「チャンス」

子どもの宿題は、親にとってプレッシャーでもありますが、同時に大きなチャンスでもあります。フォニックスで「音」の理解を深め、サイトワードで英語のクセを知り、読み聞かせで実践力を鍛えることが伝わるあ英会話力のスタートです。そして何より、「親も学び続ける姿」を見せることが、子どもにとって最高の教育になります。親子で一緒に英会話を楽しんでいきましょう。

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Ayana1225 英語翻訳者・コンテンツライター / Translator & Content Writer
翻訳とライティングを専門とするフリーランス。早稲田大学院修了後、百貨店での実務経験や海外生活を通じて英語力を磨き、企業向け翻訳やPRコンテンツ制作を多数手がけている。TOEIC915点、英検準1級を保持。