「自分の子どもには、英語がペラペラになってほしい」、「国際感覚をもってグローバルに活躍できるひとになってほしい!」
そういう夢をもって、お子さんをインターナショナルスクールで学ばせることを検討していらっしゃる親御さんも多いと思います。
何かと話題になるインターナショナルスクールですが、そもそも「インターナショナルスクールってどんなところ?」なのでしょうか。
また、「学費が高いと聞きましたが、いくらくらいなの?」「(親・子どもが)英語が話せなくてもだいじょうぶ?」など、具体的に入学を検討するとわからないことがいろいろ出てきます。
この記事では、気になるインターナショナルスクールに迫ります!
インターナショナルとは?
インターナショナルスクール(international school)は、日本語では「国際学校」などと訳出されます。schoolが「学校」なのはさておき、「インターナショナル」(international)には、どのような意味があるのでしょうか。
international は「国際的な」「国際間の」という意味の形容詞です。
「最大多数の最大幸福」で知られるイギリスの法学者・哲学者ジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham)による造語で、national「国民の」「国家の」という形容詞に接頭辞のinter-(~の間に)をつけたものです。
初めて登場したのは1789年に刊行されたベンサムの著書『道徳と立法の原理序説』だそうです。
「インターナショナル」は他に、固有名詞のThe internationalとしての用法もあります。
*「プロレタリア国際主義に基づく労働者、労働運動、社会主義運動の国際組織、団体」を意味する言葉で、省略して「インター」と呼ぶこともあります。
「インターナショナル」と「グローバル」の違い
「インターナショナル」と似たようなことばに「グローバル」があります。両方ともよく耳にすることばで、なんとなく「国際的」といったイメージでとらえられていることが多いのですが、実はこの2つには大きな違いがあるのです!
インターナショナル
前述の通り、internationalはinter-とnationalを組み合わせた造語です。
自分の国を中心として考えたときに、nationalには「国民の、国家の、国家全体の」という意味があり、interは「~の間、~の中で、相互に」として他国との関係性を示します。
アメリカの代表的な英語辞書『ウェブスター辞典』(Merriam-Webster Dictionary)は、internationalをこのように説明しています。
international
1: of, relating to, or affecting two or more nations
2: of, relating to, or constituting a group or association having members in two or more nations
3: active, known, or reaching beyond national boundaries
1. 2つ以上の国の、2つ以上の国に関係する、または2つ以上の国に影響を与える
2. 2つ以上の国に会員を有する団体または協会の、団体または協会に関する、または団体または協会を構成する
3. 国境を越えて活動している、知られている、または国境に達している
international(形容詞)から派生した語として、以下のことばもよく使われます。
internationalize(動詞):~を国際化する、~を国際管理下に置く
internationalization(名詞):国際化、国際管理化
グローバル
一方、「グローバル」は「国」という人間がつくった、ひとつひとつの単位を超えて、より大きな「地球」という惑星を想起させる、地球全体を一つの存在としてとらえている表現です。
global (形容詞)は、globe(名詞)+alで形容詞化したものです。
globe (名詞):球、球体、地球儀、天体儀、the globe :地球
同様に、『ウェブスター辞典』の定義を確かめてみましょう。
global
1a: of, relating to, or involving the entire world : worldwide
b: of or relating to a spherical celestial body (such as the moon)
1a: 全世界の、全世界に関連する、全世界にかかわる
b: 球形の天体(月など)の、または球形の天体に関連した
globe (名詞)、global (形容詞)などから派生した語として、以下のことばもよく使われます。
globalize(動詞):世界的に拡大する、グローバライズ
globalization(名詞):世界的規模化、グローバリゼーション、グローバル化
「インターナショナル」と「グローバル」の違いを示す一例を挙げてみましょう。
日本と、古くから交流を続けてきた中国や朝鮮、オランダなどとの関係は国の枠組みを越えた「インターナショナル」な交流でした。
これに対し、通信技術や交通手段の発達に伴って、ひと・モノ・情報が目まぐるしく世界を飛びまわり、もはや国と国との境を越えて地球規模に流通するようになった現代は、「グローバル化」が進んできている、ということになるでしょう。
インターナショナルスクールの歴史
世界初のインターナショナルスクール
世界で初めてのインターナショナルスクールは、1924年に開校した「ジュネーヴ・インターナショナル・スクール」(International School of Geneva)で、スイスにあります。
スイスは、フランス革命(1789~1795年)とナポレオン戦争(1803~1815年)の後に行なわれたウィーン会議(1814~1815年)で「永世中立国」として認められました。
他国の戦争にかかわらず、軍事同盟や軍事援助などを行なわず、将来にわたって中立を宣言したことによって、スイスのジュネーヴ州の州都ジュネーヴには、第一次世界大戦後の1920年に設立された「国際連盟」(League of Nations)の本部と、さまざまな国際機関が置かれました。
ジュネーヴ・インターナショナル・スクールは、国際連盟と国際労働機関(International Labour Organization:ILO)の職員、そして地元の教育者によって創設され、開校時にはわずか8人の生徒だったそうです。
参考:Our History, International School of Geneva
日本のインターナショナルスクールのはじまり
それでは、日本で最初のインターナショナルスクールは、いつ、どこで始まったのでしょうか?
もっとも古くからあるインターナショナルスクールは、神奈川県横浜市にある「サンモール・インターナショナルスクール」( Saint Maur International School)で、1987年(明治5年)に創立されました。なんと、明治維新からわずか5年後のことであるのは驚きです!
日本はもちろん、アジア地域でももっとも古いインターナショナルスクールで、現在も横浜の地で145年の歴史を誇っています。
設立当初は、「ダーム・ド・サンモール校」(Dames de Saint Maur)という名前で、カトリックの「サンモール修道会」(1991年に名称を変更し、現在は「幼きイエス会」)が運営していました。
開国と外国人の来日
江戸時代、幕府はキリスト教を禁じ、日本人の海外渡航・帰国を禁止、外国との交易・往来も朝鮮と中国、オランダなどわずかな国に限ってきました。
しかし、1853(嘉永6)年のアメリカの使節ペリーの来航によって開国を迫られた江戸幕府は、1854(安政元)年に「神奈川条約」(日米和親条約)で開国に転じ、続く1858(安政5)年の「日米修好通商条約」によって神奈川・長崎・箱館(はこだて)・新潟・兵庫の開港を約束します。
開港場になった横浜は、貿易港として整備され始めます。貿易などのためにやってきた外国人は、幕府が外国人居留地として定めた関内地区に住むことになりました。開港して以来、この地には外国人が多く住んでおり、フランスやイギリス国籍の外交官や財界人が多くいたようです。
外国人の子どものための学校
しかし当時、日本には外国人のための学校はなく、長期にわたって滞在する外国人家族には「子どもをどこで教育するか」という問題が生じました。
多くの場合、男の子には本国の親戚を頼るか、全寮制の学校に入るかして出身国の教育を受ける進路が選択されました。女の子については、親と一緒に日本に留まることが多かったため、外国人家族が増えるにつれ、「外国人のための学校がほしい」という声が次第に高まりました。
横浜のカトリック教会は、こうした親の要望を受けて、1872年にマザー・マチルダ・ラクロットと4人のフランス人とひとりのアイルランド人修道女を横浜に迎え、学校を始めました。マザー・マチルダは、イギリス統治時代のマラヤ(現在のマレーシアとシンガポール)で学校を運営した経験があり、ダーム・ド・サンモール校は最初、ヨーロッパのさまざまな国出身の15人の生徒から始まりました。
*二重国籍、三重国籍の生徒もいて、すべて合わせたら36か国くらいになるそうです。
1899年からは、ダーム・ド・サンモール校は日本人の女の子も受け入れるようになりました。
最初は国籍や言語、宗教が違う外国人の子どものための「外国人学校」でしたが、国籍条件をなくしたことで「インターナショナルスクール」(国際学校)に変化していったといえます。
インターナショナルスクールの展開
第二次世界大戦後、日本でも新たなインターナショナルスクールが続々と開校します。
ほとんどは首都東京、歴史的に外国との関係が深い横浜、神戸の三都市に集中していました。
戦争の痛手から復興し始めた1956(昭和31)年の経済白書には「もはや戦後ではない」という一文が搭乗します。
1960年には池田勇人内閣が経済に重点を置いた「国民所得倍増計画」を閣議決定し、日本は高度成長を始めます。勢いを増す経済を背景に、全国にインターナショナルスクールが創設されるようになりました。
京都、沖縄、広島、北海道、福岡などに、続々と新しいインターナショナルができました。
そして、昭和50(1975)年から平成にかけて新たな動きが出て、個人が私財を投じて開校するインターナショナルスクールも増えてきて、平成にかけて「インターナショナルスクール・ブーム」が巻き起こっています。
日本の教育制度
戦後の教育改革
第二次世界大戦後、連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters: GHQ)のもとで、アメリカの教育専門家によるアメリカ教育使節団が、日本でさまざまな調査と勧告を行い、この勧告を基にさまざまな改革が行われました。
義務教育
日本では1886(明治19)年から義務教育が行われてきました。
戦後の1947年には「教育基本法」が施行、これに基づいた「学校教育基本法」により、義務教育期間はそれまでの6年から、小学6年間と中学校3年間を合わせた9年間に延長されました。
進学率
日本の義務教育は中学校までですが、中学卒業後、現在ではほぼ99%が高等学校(定時制・通信制を含む)へと進学します。また、高校卒業後に大学、短期大学、専門学校などに進学する割合(進学率)は84%で、その他に就職する学生もいます。
学年・学期
学校教育法の施行規則では、小・中・高等学校の「学年」は4月1日から翌年3月31日までの1年間に定められていますが、「学期」は多くの小・中・高等学校が3学期制を採用、公立校については各都道府県の教育委員会、私立校については都道府県知事が定めることになっています。
日本の学校とインターナショナルスクールの違いって?
日本の学校には、大きく分けて国が設置した「国立学校」、都道府県または市町村が設置した「公立学校」、学校法人が設置した「私立学校」があります。
日本におけるインターナショナルスクールは、国立・公立学校ではない私立の学校ですが、法律上の定義や規定がなく、位置づけはさまざまです。
<公立学校> Public school
- 公費によって運営される。
- そのため授業料が無料もしくは低額
- 小学校・中学校については学区(校区)の規制がある。
- 授業は日本語で行われる。
- 高校・大学については入学時に試験がある。
- 保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学がある。
<私立学校> Private school
- 学区(校区)の制限がない。
- 授業料によって運営される。
- そのため授業料は公立学校の約5~7倍になる(学校によって異なる)。
- 入学時に試験がある。
- 英語などの外国語で授業を行うところもある(学校による)。
- 保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学がある。
<インターナショナルスクール>International school
- 学区(校区)の制限がない。
- 入学者の国籍は制限がない(一部外国人学校を除く)。
- 授業料によって運営される。
- そのため授業料は、公立学校・一般的な私立学校に比して高額になる。
- 授業は英語などの外国語で進められる。
- 保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校がある。
- 所在地は都市部に多く、地方によって偏在が大きい。
学校教育法とインターナショナルスクール
日本の学校は、先に述べた学校教育法によって規定されています。
第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。(法令リード「学校教育法」)
インターナショナルスクールの法的な位置づけ
現状では、日本にあるインターナショナルスクールは、以下の3種類の位置づけに分かれています。
- 学校教育法1条で認可を受けた「一条校」
- 「各種学校」
- 法的な認可を受けていない「無認可校」
このうち、「各種学校」とは学校教育法では以下のように定義されています。
第134条 第1条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるもの及び第124条に規定する専修学校の教育を行うものを除く。)は、各種学校とする。(法令リード「学校教育法」)
義務教育修了と保護者の就学させる義務
日本では、インターナショナルスクールは、一般的には主に英語で授業が行われ、外国人の児童・生徒を対象とする教育施設であるとされています。
しかし、日本の国公立・私立学校と同様の「一条校」の認可を受けたインターナショナルスクールを除くと、多くのインターナショナルスクールは、国が定めたカリキュラムを履修しているわけではないので、卒業しても、日本の義務教育を修了したとはみなされません。従って、国公立の中学校・高校・大学への進学ができなくなります。
また、義務教育は
「法律によって、国民がその保護する学齢児童・生徒に義務として一定期間受けさせなければならない普通教育」(「義務教育」『精選日本国語大辞典』)
であり、子どもではなく、その保護者に教育を受けさせる義務があります。
つまり、日本人の子どもを「一条校」以外のインターナショナルスクールに就学させても、保護者は日本の法律で規定された就学義務を履行したことにはならないのです。
(参考)11. 学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について(文部科学省)
日本国内のインターナショナルスクールのうち「一条校」は限られていて、そのほとんどが無認可校です。一部が学校教育法第134条にも基づく「各種学校」として都道府県知事の認可を受けているだけという状態で、認可校以外は文部科学省としても数や実情を把握しきれていないといいます。
インターナショナルスクールとプリスクールの違い
前章で、インターナショナルスクールの多くは、
・日本の法律上で「学校」の位置づけになっていないために、卒業しても義務教育を修了したことにならないこと
また、
・子どもに教育を受けさせる義務を負う親(または保護者)は、その義務を果たしたことにならないこと
を述べました。
このため近年、「小さいうちに英語に触れさせておきたい」「義務教育と関係のない、就学前にプリスクールに通わせたい!」という親御さんが増えてきました。
「プリスクール」(preschool)は「保育園」や「幼稚園」などを指す語で、アメリカを中心に使われます(イギリス英語圏ではnurseryなど)。
さて、日本の「プリスクール」とはどういう施設なのでしょうか? そしてプリスクールは、いわゆるインターナショナルスクールとはどう違うのでしょうか?
インターナショナルスクール
- もともとは「英語(などの外国語)が母語の子どもが通う」場所で、日本における「外国人が学ぶ学校」として歴史が古い。
- 小学校、中学校、高校のほか、保育園、幼稚園がある。
- 授業は英語(などの外国語)で行われ、英語が主体の学校生活を送る。
- 外国人ばかりでなく、日本の子どもたちも受け入れ始めた。
- 子どもばかりでなく、保護者にも英語(などの外国語)力を要求する場合もある。
プリスクール
- 本来の意味は「幼稚園」「保育園」
- 日本においては、「英語保育を行う保育施設」を指す。
- インターナショナルスクールに比べて歴史が浅く、せいぜいここ10年ほどである。
- 対象は小学校に入る前の未就学児
- 母語が英語ではない、日本人の未就学児が英語を習得することを目的にしている。
- 外国人講師と、英語が話せる日本人講師・スタッフが保育に当たる。
- 近年増加傾向にある。
しかしながら、日本のプリスクールは、インターナショナルスクールと、はっきり分かれていません。
実際にはプリスクールであっても、「インターナショナルスクール」を冠した名称のところもあれば、インターナショナルスクールとプリスクールの二つの意味をもたせて、「インターナショナルプリスクール」と名付けているところもあったりと、最近では両者の違いはほぼなくなってきています。
英語教育熱が高まるにつれて、日本の子どもをめぐる教育環境も非常に多様化しているといえるでしょう。
インターナショナルスクールについての気になる質問Q&A
これまで、さまざまな角度からインターナショナルスクール、およびプリスクールについて説明してきました。それでもやっぱりインターナショナルスクールを検討するみなさんが、気になることは??
Q:日本国籍でも入学できますか?
A: 英語などの外国語を使って授業をする関係上、学校によっては(英語が自由に話せない)日本人の割合を10~30%ほどに制限してあるところもあります。一方で、児童・生徒のほとんどが日本人というインターナショナルスクールも増えてきています。
Q:親が英語ができなくても大丈夫?
A: 一部の学校では、両親の海外滞在経験などが入学条件になっているところもあります。
学校行事など家庭への連絡がすべて英語で行われたりするインターナショナルスクールもあり、これも学校によって違います。
より重要なのは、インターナショナルスクールの授業が英語(などの外国語)で行われていることです。親がまったく英語ができなければ、たとえば子どもが授業でわからないことがあったときに先生に質問する手助けをしたり、宿題を見てあげたりすることができないかもしれません。
また、インターナショナルスクールには外国人教師が多数在籍します。学校で子どもが仲よくなる友だちが外国人ということもあり、子どもの友だちやその子の親と話す機会もあるかもしれません。
子どもをめぐる人間関係を考えると、子どもをインターナショナルスクールに通わせるなら、親もある程度英語ができるのが理想的です。
Q: 子どもにも高い英語力が必要ですか?
A: 年少の子どもが通うプリスクールなどでは、生活をしながら日本語と英語を同時に覚えられる年頃でもあります。過度に心配する必要がありませんが、先生やお友達に外国人が多い環境の場合、意思の疎通が難しくて負担を感じるタイプの子どももいます。
また、年齢が上がるにつれて語彙は増えます。インターナショナルスクールは英語を学ぶところではなく、英語で学科を学ぶ場所です。英語圏の子どもに比べて言語のハンディがあることは考えておいた方がよいでしょう。もし入学後も英語力が伸びなければ、学科でよい成績を収めるのは難しく、試験などでも低い点しか取れないこともあるかもしれません。
Q: 家庭ではどんなサポートが必要ですか?
A: あまり強制的にならないように、親も子どもも楽しみながら家庭でも英語を取り入れてほしいものです。
たとえば、英語のCDをBGMのように流して、お母さんと一緒に歌ったり、簡単な英語の本を一緒に読んだりすることで、毎日の生活に英語を取り入れていく方法があります。いずれも、親も英語と向き合う時間を取るのが前提です。
「英語が身につく」と評判のインターナショナルスクールですが、英語が母語でない日本人の子どもが入学した場合、誰でも自然に話せるようになるわけではなく、個人差もあります。
都合のよい時間に、自宅など好きな場所からレッスンを受けられるオンライン英会話は、インターナショナルスクールに通っているお子さんや、お子さんを支えるご家族が英会話力をつける手段として利用することができます。
インターナショナルスクールに通うメリット・デメリット
「うちの子がバイリンガルになったらかっこいい!」と思っているだけでは、実際にインターナショナルスクールに入って困ってしまうこともありますよ! ここでは、インターナショナルスクールに通うメリットとデメリットを考えてみます。
メリット
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実践的な英語が習得できる
授業と学校生活が英語(などの外国語)で行われるため、実践的な英語力を身につけることができます。英語が母語の子どもたちに混じるので、本人が努力することが前提ですが、週1回程度の英語学校や英会話教室に通うのとは、比べものにならないレベルの英語力が身に付きます。
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公教育とは違うカリキュラムで教育を受ける
インターナショナルスクールのカリキュラムは、アメリカやイギリス、オーストラリア、国際バカロレア(IB)など外国の教育カリキュラムに準じています。高校、大学、大学院などで海外に留学する場合、国際的に通用する卒業資格を得ているのは、英語力があることに加えて有利です。
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日本人以外の友人ができる
インターナショナルスクールには多国籍の子どもが通っているので、いろいろな国の友達ができます。日常的にコミュニケーション能力を用いることで、自分の主張をしながらも多様性を受け入れる、グローバルで個性的な人間に成長することが期待できます。
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日本にいながら違う視点がもてる
日本でインターナショナルスクールに通う場合、日本にいながら外国のカリキュラムで学び、外国人の教師や友達と日常を共にすることにより、一般的な日本人とは違った視点をもつことができる可能性があります。
デメリット
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学費が高い
インターナショナルスクールの授業料は、小学校段階で年間150~200万ほどかかるといわれ、有名校になるとさらに高額になります。学校にもよりますが、公費で運営される国公立学校の学費がほぼ無償なのに比べると、親の経済的負担は大きくなるといえます。
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国内で国公立への進学が困難になる
前述したように、インターナショナルスクールへの就学は、日本の義務教育課程を履修したことになりません。このため、日本国内の国公立高校、大学などの受験資格が得られないことが多くなります。
しかしながら、最近は「国際バカロレア」という国際的な教育プログラムによる試験によって資格を与える学校も増えてきています。よって、こうした資格を認める学校には受験・入学が可能になります。 -
日本語能力の保持が必要になる
インターナショナルスクールの授業や学校生活は英語(などの外国語)が中心です。
従って、家庭内の会話が日本語であっても、抽象概念を伴うレベルの日本語の語彙が育たなかったり、日本語の読み書きが苦手になったりすることが考えられます。また、学校内のルールや常識が外国の価値観に基づいていることにより、日本の学校に通う場合に比べて、日本の文化・習慣を知る機会が減ります。本当の意味でのバイリンガルに育てるには、学校で英語の学科や日常の英語力を身につけるのと同じように、意識して家庭でしっかりと日本語を教えるか、インターナショナルスクールとは別に、日本語の塾(予備校の海外帰国生クラスなど)に通わせる必要が出てきます。 -
日本人の友人が少なくなる
インターナショナルスクールで「日本人以外の友人ができる」ということは、裏を返せば、日本の学校に通うのに比べて、学生時代を共に過ごす幼なじみや同級生といった親しい日本人の友だちが少なくなる可能性もある、ということです。
インターナショナルスクールの場合は、地元の公立校に通うのに比べて自宅から遠距離になる場合がほとんどでしょうから、学区外通学と同様、家の近所に友だちがいない、ということも考えられます。
学年が上がるに従い、日本の学校では部活動やサークルなどの先輩―後輩、チームメイトといった人間関係が育ちます。こうした交友関係が中学校や高校などで上級校に進学したり、就職したりするときに支えになるケースもあるので、子どもの生涯を通じて、どこを拠点にして生きていくかということも一考の余地があります。
まとめ
知っているようで、知らないことも多いインターナショナルスクール。いかがでしたか?
インターナショナルスクールは、主に英語力を身につける面から注目されています。しかし、単に流行っているからブームに乗るのではなく、自分の子どもにはどのような能力が必要か、どんなことが向いているのかをしっかり見すえて、将来につながる、賢い選択をしていきたいものですね!