日本では受験シーズンの結果が出て、それぞれの進路が決定する季節ですね。
受験の形も時代とともに変化していきますが、海外の受験事情はどうなのでしょうか?
今回は、 世界各国の受験事情に迫ってみました。
アメリカ – SATとACT共通テスト
US – SAT and ACT Common Test
アメリカでは、大学入学には高校の成績と共通テスト(SATまたはACT)の成績が重視されます。
アメリカの受験事情は多様で、大学入学を目指す学生にとっては非常に重要な段階です。
その中でも、SATとACTは最も一般的な大学入学試験ですが、それぞれ異なる特性を持っています。
SAT
SATはCollege Boardによって管理され、主に数学、読解、文章構造などの能力を測定します。推論と論理的思考を重視し、文章の理解力を問う問題が多いので、文章を読むことが得意な学生に適しています。
ACT
ACTは別の組織によって管理され、英語、数学、読解、科学の分野での能力をテストします。より実践的な問題が多く、数学や科学の問題がSATよりも少し複雑な場合があります。また、ACTにはオプショナルのエッセイセクションがありますが、SATにはそれがありません。
受験生は一般的に、どちらか一方の試験に焦点を当てて準備しますが、両方を受験することも一般的です。
大学は一般的に、SATとACTの両方のスコアを受け入れる傾向がありますが、特定の大学はどちらか一方を好む場合もあります。
そのため、受験生は目指す大学の要件を事前に確認することが重要です。
しかし、近年ではSATやACTの重要性が相対的に低下しており、志願者の総合的なアカデミックレコードやエッセイ、推薦状などの要素も大学入学において重要な役割を果たしています。
そのため、受験生は単に試験のスコアに頼るのではなく、自己表現やアウトオブザボックス(創造的で型にはまらない)な考え方を示すことも重要です。
アメリカの受験事情は多様であり、SATとACTはその一部に過ぎません。個人の人間性なども大きく評価されます。
ドイツ –「アビトゥーア」を中心に構成される
Germany – Composed Mainly of “Abitur”
ドイツの受験事情は、独自の特色と歴史的な背景を持っています。
その中でも、特に重要な試験が「アビトゥーア」という試験になります。
ドイツの受験事情はアメリカなどとは異なり、高等教育への進学はアビトゥーア試験の結果に大きく左右されます。
アビトゥーアは、高等学校(ギムナジウム)での最終試験であり、一般教養や専門分野に関する幅広い科目をカバーするものです。
アビトゥーアは通常、3年間の高等学校教育の終了時に受験され、試験科目には、言語、数学、自然科学、社会科学、美術などが含まれ、学生はそれぞれの科目で試験を受けます。
特に、言語や文学、哲学などの人文科学における試験は、ドイツの教育システムにおける重要な要素です。
アビトゥーアの合否は、大学入学や職業進路の決定に影響を与え、合格することで、大学や専門学校への進学が可能になります。
一方、不合格の場合は進学の道が限られることがありますが、再受験の機会もあります。
アビトゥーアは、ドイツの教育システムの中核をなす試験であり、学生の学力や能力を総合的に評価します。
また、アビトゥーアの結果は個々の学生の将来に大きな影響を与えるため、受験に向けての取り組みは非常に真剣に行われます。
ドイツの受験事情は、アビトゥーアを中心に構築されていると言えるでしょう。
イギリスーGCSE試験が中心
UK – GCSE Examinations are the Main Focus.
イギリスの受験事情は、その教育システムの特色や歴史的な背景によって形成されています。
その中でも、特に重要な試験の一つがGCSE(General Certificate of Secondary Education)試験です。
まず、イギリスの受験事情は、学校教育における重要なマイルストーンであるGCSE試験を中心に構築されています。
GCSE試験は通常、生徒が15歳から16歳の間に受験し、中等教育終了証明書としての役割を果たします。
GCSE試験は、幅広い科目をカバーし、英語、数学、科学、歴史、地理、言語などの科目が含まれます。
これらの科目は、生徒の基本的な学力や幅広い知識を測定するためのものであり、将来の進路に影響を与える重要な要素となります。
また、GCSE試験の結果は、生徒が進学する高等教育機関や職業訓練プログラムを選択する際に重要な指標にもなります。
特に、高等教育機関や雇用主は、生徒のGCSEの成績を参考にして、適切なプログラムやポジションを選択する傾向があるそうです。
GCSE試験は、学校教育の重要な部分を形成しており、生徒にとっては準備期間が非常に重要なのです。
一般的に、生徒は数年間にわたってGCSE試験の準備を行いますが、その過程で、生徒は各科目のカリキュラムに沿った教育を受け、試験に向けて準備を進めています。
この試験は、生徒の学力や知識を総合的に評価し、将来の進路に影響を与える重要な要素となります。
フランス – 国家試験「バカロレア」
France – National Examination “Baccalauréat”
フランスの受験事情は、その独自の教育システムと歴史的な背景に基づいています。
その中でも、特に重要な試験の一つが「バカロレア(Baccalauréat)」です。
*世界共通の大学大学入学資格及び成績証明書を与えるプログラムの国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)とは全くの別物です。
フランスの受験事情は、教育の柱であるバカロレア試験を中心に構築されています。
バカロレアは、高等教育への進学や就職における重要な要素となる終末試験であり、一般的に17歳から18歳の生徒が受験します。
バカロレアは、文科や理科などの様々な分野において試験を行い、一般的には、言語・文学、数学、科学、歴史・地理などが含まれます。
さらに、文科や理科の専門的な科目もあり、生徒は自分の興味や能力に応じてそれらを選択することができます。
バカロレア試験は、生徒の学力や総合的な能力を測定するための厳しい試験であり、合格率は比較的低いと言われています。
試験は書面試験だけでなく、口頭試験や実技試験も含まれる場合があります。これにより、生徒は幅広い能力を示すことが求められます。
バカロレアには以下の3種類が存在し、大学進学を目指すものは「普通バカロレア」です。
- 普通バカロレア
- 技術バカロレア
- 職業バカロレア
バカロレアの合否は、大学進学や職業選択に大きな影響を与え、バカロレアを取得することで、多くの大学や専門学校への進学が可能となります。
また、高い成績を収めた生徒は、優れた大学や職場への道を開くことができます。
中国 -「ガオカオ」試験で運命が左右される
China- “Gaokao” Test will Determine Fate
中国の受験事情は、その厳しい競争と大学入試制度である「高考(ガオカオ)」に大きく影響されています。
ガオカオは、中国の高校生が大学に入学するために受験する国家統一試験であり、その重要性は非常に高いです。
ガオカオは、中国の高校生が大学入試に向けて準備する最終段階であり、試験内容は高校教育で学んだ科目をカバーします。
一般的に、中国の高校生は3年間の高校教育を修了し、その後ガオカオを受験します。
試験科目には、中国語、数学、外国語、理科、社会科学などが含まれ、それぞれの科目について厳しい試験が行われます。
ガオカオの合否は、大学入学における生徒の運命を左右する重要な要素となります。
中国の大学は、一般的にガオカオの成績を重視して入学生を選抜し、特に上位の大学は高い成績を求める傾向があり、
そのため、生徒やその家族は、ガオカオに向けて数年間にわたって非常に厳しい準備を行います。
彼らは通常、学校外の補習や予備校に通い、模擬試験や過去問題の解答を繰り返し、試験に備え、多くの生徒は受験のために家族や教師からのサポートを受け、受験に向けて全力を尽くします。
ガオカオを終えた後、合格した生徒は大学に進学し、自分の将来のキャリアや目標に向かって歩み始めます。
一方、合格できなかった生徒は再受験の機会を求めるか、他の進路を模索することがあります。
しかしその裏で、カンニングや不正入学などの過熱化、また「親の期待に応えることができなかった」と自殺する子どもが増加するなどの大きな社会問題となっています。
まとめ
日本では長い間受験戦争が話題になっていますが、海外でも子どもたちの将来を決める、大きなターニングポイントであるのは同じです。
子どもたちが過剰なストレスに悩むことなく、将来の選択肢が増えるような受験体制になって欲しいものですね!