スペイン北部にある「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」は、キリスト教徒の巡礼地として知られ、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
歴史ある石畳の街並み、美しい大聖堂、多様な文化が交差するこの旧市街は、人々の信仰や希望が詰まっています。
世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラ(旧市街)」とは?

サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)は、スペイン北西部・ガリシア州の州都。キリスト教の三大巡礼地のひとつであり、エルサレムやローマと肩を並べる神聖な場所です。
サンティアゴ・デ・コンポステーラとは
町の中心にある壮麗なサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂には、イエスの使徒の一人、聖ヤコブ(スペイン語で「サンティアゴ」)の墓があると信じられています。
旧市街には、ロマネスク様式、ゴシック様式、チュリゲラ様式(スペイン独自のバロック様式)、新古典主義の建物が並び、時代ごとの美を重ねながら今日に至ります。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの起源と巡礼路
この地の歴史は9世紀にさかのぼります。聖ヤコブの遺骸がこの地で発見されたことを受けて、当時の王アルフォンソ2世が巡礼聖堂を建設。やがてこの聖堂を中心に町が築かれ、多くの巡礼者を受け入れる「信仰の街」として発展しました。
ちなみに「コンポステーラ」とは、「星の野原(campus stellae)」という意味が語源とも言われています。
アクセス
最寄りの空港は「サンティアゴ・デ・コンポステーラ空港(SCQ)」で、市内中心部から約13kmの場所にあります。スペイン国内外の複数都市から定期便が運航されています。
旧市街はコンパクトで、ほとんどの場所は徒歩で回ることができます。車の乗り入れは制限されている区域もあるため、徒歩が基本です。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ(旧市街)の歴史
古代ローマ時代から交通の要衝であり、9世紀以降はキリスト教の聖地として発展。特にレコンキスタ(イスラム勢力からの領土回復運動)の時代には、キリスト教徒の希望の象徴となりました。
10世紀以降、町は芸術と宗教の中心地として発展し、多くの教会や修道院、病院が建てられました。巡礼者たちは、信仰だけでなく建築や文化の魅力にも惹かれ、この地に集まってきたのです。
世界遺産としての価値
「サンティアゴ・デ・コンポステーラ(旧市街):Santiago de Compostela (Old Town)」は、1993年、ユネスコ世界遺産に登録されました。
訳)サンティアゴ・デ・コンポステーラ(旧市街)は、1993年にユネスコの世界遺産に登録されました。
登録された理由とは?
ユネスコ世界遺産に登録された理由は、宗教的な価値と都市計画・建築の融合にあります。具体的には、下記のような点が評価されました。
- 中世ヨーロッパのキリスト教三大巡礼地のひとつで、ロマネスク様式の傑作である大聖堂のように芸術作品が多く残る
- イベリア半島北部の建築や芸術の発展に影響を与えた
- 聖地は何世紀にも渡って栄え、中世においては重要な地であった
UNESCO World Heritage Convention:Santiago de Compostela (Old Town)
覚えておきたい英会話フレーズ
旅先で使える英語表現をいくつかご紹介します。
訳)この町を歩くのは、まるで魂の巡礼のようです。
訳)何千人もの巡礼者の足跡を感じます。
訳)すべての石や通りに神聖な雰囲気を感じます。
訳)大聖堂での巡礼者のミサには鳥肌が立ちました。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ(旧市街)の見どころ

旧市街は「石の迷宮」とも呼ばれ、狭い路地と石畳、歴史的な建物がぎっしりと詰まったエリアです。キリスト教、芸術、巡礼の歴史がひとつに融合し、歩くだけで時空を旅しているような感覚に。以下に、特に訪れておきたい代表的な見どころを紹介します。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
この大聖堂は、サンティアゴ巡礼のゴール地点であり、まさに街の心臓部です。聖ヤコブ(サンティアゴ)の墓が祀られている場所として、何世紀にもわたって巡礼者たちの信仰を集めてきました。
大聖堂の建築様式は多様で、ロマネスク、ゴシック、チュリゲラ様式などが融合しています。特に西側のオブラドイロのファサードは、豪華で荘厳な装飾が見どころ。内部には、聖ヤコブ像や、かつての銀の祭壇もあり、神聖な雰囲気に包まれます。
訳)これまでにどれだけの巡礼者がここに立ったのか、想像するとすごいね。
オブラドイロ広場(Praza do Obradoiro)
大聖堂前のこの広場は、巡礼者にとっての「到着の瞬間」を迎える場所。喜び、涙、拍手など、さまざまな感情が交差します。巡礼者が寝転んで大聖堂を見上げる光景も名物。
広場の周囲には、王立施療院(現・パラドール)、サン・ジェロニモ大学、ガリシア州庁舎など歴史的建物が立ち並び、まさに街の中心となる場所です。
旧王立施療院(現在はパラドールホテル)
1499年に「巡礼者のための病院」として建てられた建物で、現在は高級ホテル(パラドール)として営業しています。ゴシックとルネサンスの融合した中庭や礼拝堂も見学可能。
宿泊しなくても、カフェ利用やガイドツアーで歴史を感じることができます。
サンタ・マリア・デル・コンソ修道院
旧市街の南側にひっそりと佇む修道院。観光客にはあまり知られていませんが、静寂の中に信仰の深さを感じられる穴場スポット。ガリシア地方の宗教建築の素朴な美しさを感じられます。
プラテリーア広場、マサレロス広場
それぞれ銀細工師や市場に由来する広場で、歴史ある建物が囲みます。
ガリシア民族博物館
旧市街の北側にあるこの博物館では、ガリシア地方の文化や民族、生活様式を学ぶことができます。螺旋階段や修道院跡を利用した展示スペースも魅力のひとつ。時間に余裕がある方にはぜひおすすめです。
旧市街全体
どこを歩いても歴史と芸術があふれています。石畳の道、アーケード、古い教会や噴水。タイムスリップしたような気分になります。
まとめ:英語で世界遺産を旅する楽しさ
旅は、「見る」だけでなく「感じる」「学ぶ」ことでもっと深まります。英語を使って歴史を学び、現地の人と交流し、自分の視野を広げてみませんか?
サンティアゴ・デ・コンポステーラは、「心で歩く旅」の象徴です。そして英語は、その旅をより豊かにしてくれることでしょう。
