2025年、英語教育は「早期に始めること」よりも「家庭のなかでどのように自然に取り入れるか」が大きなテーマとなっています。
保育士として日々子どもと接していると、英語がスムーズに身についている子には共通した家庭環境や関わり方が見えてきます。ここでは具体的な8つの特徴をご紹介します。

目次

「英語が自然と身につく」家庭の特徴

自然に英語を身につけても出てくる問題点とその解決法

「特別な勉強」ではなく「日常の遊び」として英語がある

英語が自然と身につく家庭では、英語を机に向かって学習するものと位置づけていません。
たとえば、

  • 朝の準備のときに英語の歌を流して一緒に口ずさむ
  • 公園で「Ready, go!」の掛け声で競争を始める
  • 絵本を日本語と英語の両方で楽しむ

こうした「遊びや生活の中で英語が出てくる」工夫があるのです。

親が「完璧な英語」よりも「一緒に楽しむ」姿勢を持っている

うまくいっている家庭では、親が「正しく話さなきゃ」と身構えません。
例えば、発音がネイティブのようでなくても「Good job! 」と笑顔で言う、子どもが間違っていても「そう言えたんだね」と認めるなど、失敗を楽しむ姿勢があります。
保育現場でも「大人が自信を持っていないけれど一緒に楽しむ姿勢」を見せると、子どもは安心して挑戦しやすいのです。

英語に触れる「小さな時間」が毎日ある

1日10分でもよいので、英語が生活に入っていることが大切です。
具体的には、

  • 朝ごはんの間に英語の短い動画を見る
  • お風呂で数字を英語で数える
  • 寝る前に英語の絵本を1冊読む

など。長時間やる必要はなく、むしろ短くても「毎日続く」ことが大きな効果を生みます。

家の中で「使う場面」がつくられている

子どもが「伝わった!」という経験をすると、一気に自信がつきます。
例えば、

  • おやつをもらうときに「Can I have a cookie? 」と言う
  • 冷蔵庫に貼ったカードを指して「Apple, please」とお願いする
  • 片付けのときに「One, two, three」と数えながら進める

こうした「英語を言ったら通じた」という実感が、英語を使いたい気持ちを育てます。

親が学び続ける姿を見せている

子どもは親の背中をよく見ています。
英語が自然に定着している家庭では、親も学びを止めていません。
例えば、

  • 親が英語学習アプリで毎日数分取り組む
  • 家族で海外の映画を字幕付きで観る
  • 親が「この単語知らないから調べてみよう」と子どもと一緒に調べる

「大人も挑戦している」という姿勢を見せることが、子どもの意欲につながります。

英語と日本語を「切り替える柔軟さ」がある

成功している家庭では「日本語禁止!」といった極端なやり方はしません。
シーンに応じて自然に英語を混ぜる形で進めています。
例えば、遊びのときは英語、気持ちを伝えるときは日本語、といった柔軟な切り替えです。
その結果、子どもは「日本語も英語も大切」と感じながら両方を吸収していきます。

成功体験を積み重ねる工夫をしている

「わかった」「言えた」という小さな体験を積み重ねることで、英語が好きになります。
例えば、

  • 英語で色を当てるゲームをして「You’re right! 」と喜ぶ
  • 動物カードを見て「Dog!」と答えたらすぐ褒める
  • 保育園や園外で英語を使えたら家で「よくできたね!」と振り返る

この小さな承認が、学びを前向きにします。

英語を「テストのため」ではなく「人とつながる道具」として見せている

英語を楽しむ家庭では、点数や評価よりも「コミュニケーション」を重視しています。
例えば、

  • 海外旅行で「Hello!」と店員さんに声をかけてみる
  • オンラインで外国の子どもとゲームをする
  • AI翻訳機を一緒に使って「こんなふうに通じるんだ」と体験する

「人とつながるための英語」という実感を持った子は、自分から学び続ける力が育ちます。

【2025年版】英語が自然と身につく家庭チェックリスト

英語を「勉強」としてではなく「日常の一部」として楽しむご家庭には共通点があります。
以下14のチェックリストに✓がいくつ当てはまるか、ぜひ確認してみてください。

チェックリスト

日常に英語の遊びがある

☐ 公園で「Ready, go!」と合図している
☐ 英語の歌や絵本を自然に取り入れている

親が一緒に楽しむ姿勢を持っている

☐ 英語が完璧でなくても、子どもと声に出して楽しんでいる
☐ 子どもの「間違い」も認めて笑顔で受け止めている

短い時間でも毎日触れている

☐ 朝食やお風呂などで、毎日5〜10分英語に触れる時間がある
☐ 「毎日少しずつ」が習慣になっている

家庭の中に“使う場面”がある

☐ おやつや遊びのときに英語でお願いしている
☐ 片付けや数数えなど生活に英語を取り入れている

親も学び続けている

☐ 親自身も英語学習アプリや動画を少しでも続けている
☐ 知らない単語は一緒に調べる」姿勢を見せている

日本語と英語を柔軟に使い分けている

☐ 遊びでは英語、気持ちを伝えるときは日本語など切り替えている
☐ 「日本語禁止!」といった極端なルールはない

小さな成功体験を意識している

☐ 子どもが言えた言葉をすぐに褒めている
☐ 英語を使えた場面を家族で一緒に振り返っている

英語を“人とつながる道具”として見せている

☐ 海外の人に「Hello!」と声をかける体験をしている
☐ AI翻訳やオンライン交流などを一緒に試している

結果をチェック!

6個以上✓がついた方

→ 英語が自然に身につく環境が整っています!今のペースで楽しく続けましょう。

3〜5個✓がついた方

→ 無理なくできるところから1つずつ増やすと、英語がもっと日常に根付きます。

0〜2個✓の方

→ まずは「英語の歌を流す」「英語で数を数える」など小さな習慣から始めてみましょう。

保育士の目から見ても、英語が自然に身につく子は「家族と一緒に英語を楽しんでいる子」です。
チェックリストを参考にしながら、無理のない形で「英語がある暮らし」を取り入れてみてください。

自然に英語を身につけても出てくる問題点とその解決法

自然に英語を身につけても出てくる問題点とその解決法

問題1:思春期に入り「英語を話すのが恥ずかしい」

小さい頃は積極的に発話できていた子でも、成長するにつれ「発音を笑われるかも」「友だちと違う」といった恥ずかしさを感じやすくなります。

解決法

  • 家族の中で「英語を使うのが普通」という環境を継続する
  • 学校外で「同じように英語を楽しむ仲間」と出会える場をつくる(オンライン英会話、英語イベント、留学生との交流など)
  • 親が「発音や間違いを気にせず話す姿」を見せて、安心できるモデルになる

問題2:学校の英語授業が「難しい・つまらない」と感じる

自然な英語体験と、学校での文法中心・テスト重視の学習とのギャップで、「英語ってこんなに退屈なの?」と感じる子がいます。

解決法

  • 家庭では引き続き「実際に使う英語」を楽しむ場を確保する(歌、映画、海外の友だちとのチャットなど)
  • 学校英語を「得点のため」ではなく「自分の体験とつながるもの」として理解できるようにサポートする
    例:「学校で習った過去形を、昨日のことを英語で話すときに使ってみよう」
  • 苦手意識を持ちやすい文法は、アプリやゲーム形式の教材で補う

問題3:英語よりも日本語や他教科の学習が優先される

高学年になると漢字や算数などの学習量が増え、家庭での英語時間が削られてしまうことがあります。

解決法

  • 英語を「学習時間」ではなく「生活時間」に溶け込ませる
    例:料理をしながら食材を英語で言ってみる、車内で英語の歌を聴く
  • 短時間でも継続できる「ながら英語」を工夫する
  • 勉強としての負担感を減らし「日本語も英語も生活の一部」と位置づける

問題4:英語が「評価対象」になり自信をなくす

中学生になるとテストや成績が重視され、「できない」と感じて英語嫌いになる子もいます。

解決法

  • 点数以外の価値を家庭でしっかり伝える(「旅行で話せる」「好きな歌詞がわかる」など)
  • 小さな「できた!」を家庭で意識的に褒めて自信を維持する
  • 必要であれば、学校の勉強に合わせて家庭教師や塾を取り入れ、基礎固めを早めにサポートする

問題5:家庭での英語が「子どもだけの負担」になる

親は「自然に身についていていいな」と思っても、子ども本人が「やらされている」と感じると逆効果です。

解決法

  • 「子どものやりたい」を優先する(英語の歌・映画・ゲームなど、子どもの好みに合わせる)
  • 英語だけでなく「親子で楽しむ時間」として扱うことで「一緒にやっている」感覚を持たせる
  • 子どもが選んだ題材(好きなキャラクターやスポーツ)を英語で楽しめるよう環境を整える

家庭で「英語は楽しむもの」「人とつながるための道具」という価値観を継続的に伝えていけば、このような壁を乗り越えられます。
子どもの成長段階に合わせて柔軟にサポートすることが、英語を一生使える力につながっていくのです。

まとめ

英語が自然に身についている家庭には、

  1. 遊びや生活の中で英語を取り入れている
  2. 親が完璧さより一緒に楽しむ姿勢を見せている
  3. 短くても毎日触れる時間を確保している
  4. 英語を実際に使う場面を家庭でつくっている
  5. 親も学び続ける姿を子に見せている
  6. 日本語と英語を柔軟に切り替えている
  7. 小さな成功体験を積ませている
  8. 英語を人とつながる道具として体験させている

という共通点があります。

保育士として子どもたちの成長を見ていると、「英語が特別な教科」ではなく「日常のなかの小さな楽しみ」として存在している家庭こそ、もっとも自然に英語が定着していると強く感じます。