「自由」を表す英語と聞いて、みなさんはどのような単語が思い浮かびますか?
「自由の女神(the Statue of Liberty)」で知られる「リバティ(liberty)」でしょうか。
それとも、日本語としてもなじみのある「フリーダム(freedom)」を想像した方もいるかもしれません。
今回は、自由を意味する「リバティ(liberty)」の正しい使い方と、「フリーダム(freedom)」との違いを解説していきます。
「リバティ」の意味
「リバティ」は、英語の”liberty”をカタカナ表記した言葉です。
圧力や暴力、権力などによる支配からの「自由」または「独立」、拘束や抑制といった状況からの「解放」を意味します。
行動や言論、思想などの自由を表して「権利」「特権」を指して使われることもあります。
”liberty”は、権利や機会が平等に与えられている状況を示しており、おもに政治や社会的な文脈で使用されることの多い単語です。
辞書に載っている以下の定義からも、個人の権利や選択肢が制限されず、自由に行動できる状態であることがわかります。
- the freedom to live as you wish or go where you want
望むように生活したり、行きたい場所に行く自由- to be allowed to do something
何かをすることが許されること
”liberty”の語源は、14世紀の古フランス語”liberte”と、ラテン語の”libertatem”です。
「政治的な自由」「自由な状態」「制限のない状態」などを意味する言葉から派生しました。
15世紀後半には、「恣意的・独裁的な支配から自由である状態」という意味も表すようになりました。
現在の「支配や制限がない自由なさま」や「自分が望むように行動できるさま」を意味するようになったのも、語源をさかのぼると一層理解しやすくなりますね。
「リバティ」と「フリーダム」の違い
「リバティ」と「フリーダム」は、どちらも英語に由来したカタカナ言葉であり、「自由」という同じ意味を持った単語です。
「フリーダム」は、英語で以下のように定義されています。
the condition or right of being able or allowed to do, say, think, etc. whatever you want to, without being controlled or limited
制御されたり制限されたりすることなく、やりたいことを何でもしたり、言ったり、考えたりできる、または許される状態または権利
”liberty”も”freedom”も「自由」や「解放」を表現するのですが、じつは使い分けには明確な違いがあると知っていましたか?
liberty | 支配・抑圧などから解放され、自ら勝ち取った行動の自由や権利のこと
後天的で能動的な自由、社会に認められた自由を表す |
freedom | 何事にも規制されていない、ありのままの自由な状態のこと
先天的で受動的な自由、個人的な立場での自由を表す |
”liberty”が、支配や束縛など外部の抑圧された環境からの解放を表すのに対し、”freedom”は、もともとある開放的で自由な状態、あるいは生まれながらにして持っている権利などを指します。
2つの違いを踏まえると、アメリカの独立を象徴する自由の女神像が”The Statue of Liberty”と呼ばれるのも納得できますね。
わたしたちは普段、法律に守られた自由の中で暮らしていますよね。
訳)わたしたちには自由があり、大抵のことを好きなように選択できる権利がありますが、ただやみくもに何をしてもいいということではありません。
上記の例文は、不自由なく過ごしているようで、じつは社会の秩序を守るために作られた「法のもとにある自由」を謳歌しているにすぎないことを上手に表現しているといえるでしょう。
なお、”liberty”と”freedom”には、個人の権利や価値観を尊重するという意味も含まれているため、「言論の自由」や「思想の自由」など、基本的人権を表現する場合にはどちらを用いても問題ありません。
”liberty”を使った例文
”liberty”の使い方を、おもな意味に分けた例文とともに紹介します。
束縛のない自由・解放・釈放
訳)多くの市民にとって、自由とは宗教や政治的信条を実践する自由を意味します。
訳)アメリカ独立革命の前、ほとんどのアメリカ人は自由ではありませんでした。
訳)世界中の人々は誰もが自由と幸福を望んでいます。
行動の自由・行動する権利
訳)憲法は表現の自由を保障しています。
訳)これらの法律は私たちの古くからの権利と自由を制限することになります。
訳)この文書は、わたしたちの最も基本的な自由の一つを侵害しています。
勝手・気ままなふるまい
訳)頼みもしないのに、わたしの代わりに招待を断るとは、なんと無礼なんでしょう!
訳)他のアーティストがメロディーを勝手に改変したために、法的な衝突が何度か起きています。
訳)彼らの中には、その政治家がスタッフに対して勝手な態度を取ったと不満を漏らす者もいました。
まとめ
自由を意味する「リバティ」について、英語”liberty”の正しい使い方、「フリーダム」との違いも合わせて解説しました。
「リバティ」は、英語の”liberty”をカタカナ表記した言葉です。
抑圧された環境から解放を意味しており、闘いや苦難を乗り越えて手にした「自由」や「独立」を指して使われます。
「リバティ」と同じような意味を持つ「フリーダム」は、自由な状態までの経緯、意味するニュアンスに違いがあるため、文脈によって適切な使い分けが必要です。
なお、「行動の自由」や「言論の自由」のような場合は、”liberty”でも”freedom”でも、どちらを使っても構いません。
使用場面と含まれる意味合いの違いを意識して、正しく使い分けられるようになっておきましょう。
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