「応用させる」や「応用が利く」など、さまざまなシーンで使われる「応用」という言葉。
口語より文章で使われることが多く、少しフォーマルなイメージがあるため、「応用」の英語での表現を知らないという方もいるかもしれませんね。
そこで今回は、「応用」を英語での表現と「応用」に似た意味を持つ表現をご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
そもそも応用とは?
「応用」とはそもそも「既にある知識や具体例をさまざまな事例やほかの分野の事柄に当てはめて用いること」です。
似た意味を持つ単語である「活用」「適用」「適応」の意味もここでご紹介しますね。
「活用」は「ものや人がその機能や能力を存分に生かし、効果的に利用すること」です。
「適用」は「法律や規則にあてはめて用いること」で、「適応」は「その状況や環境などに合わせること、あるいは合うこと」。
これらの単語は、英語ではこれから紹介する1語に訳せますが、英語から日本語にする場合に、「応用」「適用」「適応」など、上記の意味合いの違いによって訳し分けることになるので、紹介しました。
なんだか少しややこしいですが、しっかり確認しておきましょう。
ちなみに英語では日本語ほど明確な意味の違いはなく、同じ単語で「応用」や「活用」、「適用」などを持つ場合も少なくありません。
「応用」はapplication
「応用」は、英語で”application”です。
Applications of virtual reality can be found in a variety of fields.
訳)バーチャルリアリティの応用はさまざまな分野で見られる。
There were no applications of the research.
訳)その研究の応用はなかった。
“application of A to B”の形で「AのBへの応用」という意味になります。
The application of science and technology to medicine is a major challenge.
訳)科学技術の医療への応用は大きな課題だ。
We have to think about the application of psychology to marketing.
訳)わたしたちは心理学のマーケティングへの応用について考えなければならない。
さまざまな意味を持つapplication
“application”には、「応用」以外にもたくさんの意味があります。
「応用」以外の意味は主に次の4つです。確認しましょう。
applicationの意味①応募、申請、申請書
大学への出願、仕事への応募やビザの申請などに使う単語です。
Did you fill in the application paper?
訳)申込用紙に記入しましたか?
applicationの意味②アプリ、プログラム
いわゆるスマートフォンの「アプリ」といえば、イメージしやすいのではないでしょうか。”application”はスマホだけでなく、パソコンのプログラムも意味します。
ちなみにスマホのアプリ、英語では”app”と略して使われることが多いので、一緒に覚えておきましょう。
He has been developing web applications for ten years.
訳)かれはウェブアプリケーションの開発に10年間携わっている。
applicationの意味③(薬やペンキなどを)塗ること、塗布
“application”には薬やペンキなどを「塗ること」「塗布」という意味もあります。
クリームや薬を塗るときによく使われる単語です。
External application only.
外用のみ。(塗り薬などの注意書きにあることば)
「外用」って何?と思う方もおられるかもしれないので、念のため解説しておきますが、「外付けのみ」という意味になります。”external”の逆の意味は “internal”「内側の」です。
「内服のみ」を英語にすると、”Internal use only”となりますね。
applicationの意味④努力
努力というと英語では“effort”が思い浮かびますが、”application”にも「努力」という意味があります。
少しフォーマルなイメージがあり、文書で使われることの多い単語です。
He made in by application to his study.
訳)勉学へ奮闘することによって、彼は成功した。
「応用する」「応用の」「応用できる」を解説
「応用する」はapply
次に動詞「応用する」の英語表現を確認しましょう。
“application”の動詞である”apply”は「応用する」を意味します。
“apply”の意味を英英辞典で調べてみると、”make use of …”という意味も出てくるため、”apply”には「応用する」だけでなく、「活用する」という意味もあることが分かります。
You can apply your experience to this case.
訳)このケースにはあなたの経験が応用できる。
“apply A to B”の形で「AをBに応用する」という意味になります。
We can apply this information to our new project.
訳)わたしたちは、この情報を新しいプロジェクトに応用できます。
Mathematical optimization can be applied to a variety of fields.
訳)数理最適化は、さまざまな分野に応用することができます。
“apply”も”application”と同じように多くの意味を持つ動詞です。
主なものは「応募する」「適応させる」「塗る」など。名詞と対になっているので一緒に覚えてしまいましょう。
「応用の」はapplied
「応用」を形容詞として使う場合の表現は”applied”です。
”applied”は”apply”の過去分詞です。
appliedは学問の「応用〇〇」の名前に用いられます。
- 応用言語学 applied linguistics
- 応用数学 applied mathematics
- 応用物理 applied physics
- 応用生物 applied biology
My sister has a MA in Applied Linguistics.
わたしの姉は応用言語学の修士号を持っています。
「応用できる」は “applicable”
「応用できる」は”applicable”で表現します。
This method is applicable and woks well in this situation.
訳)この方法は応用でき、この状況でうまく機能する。
applyの「応用する」以外の意味
“apply”「応用する」について詳しく見てきましたが、先ほど少し触れたように”apply”にはそれ以外にもいくつか意味があります。”apply”には複数の意味があるので、文の中でこの”apply”はどの意味だろうと迷うことがあるかもしれないので、”apply”の「応用する」以外の意味についても見ていきましょう。
apply to … 「…にあてはまる」
“apply”「応用する」は、applyを「他動詞」として使っていますが、applyを「自動詞」として使って、直後にto が続いていると、「…にあてまはる」という意味になります。例文を紹介します。
Aさん
This rule will apply to all future transactions.
訳)このルールは、すべての今後の取引にあてはまるでしょう。
apply for … 「…に応募する」
”apply” を動詞で使う場合、その後に続く前置詞を見ると、意味が簡単に類推できます。”apply”の後に”for”が続いていたら、「応募する」の意味になります。例文を紹介します。
Aさん
He majored in chemistry in university and applied for a job at a company where he could use his major.
訳)彼は大学で化学を専攻したので、その専攻を活かせる会社の求人に応募した。
apply … 「…を塗布する」
“apply”は軟膏などを「塗布する」という意味でもよく使われます。英語で書かれた軟膏の取扱説明書で、”apply”を見かける可能性が高いでしょう。例文を紹介します。
Aさん
Apply body cream liberally right after taking a bath.
訳)風呂から上がってすぐにボディクリームをたっぷり塗って。
apply oneself to …「自身を…に適応させる」
”apply”には「適応させる」という意味もあって、その場合には、よく”oneself”と一緒に使われます。”apply”はその後に”oneself”を持ってくると、”adapt”と似たような意味で使えるのです。「適用させる」という意味では、”adapt oneself to …”「自身を…に適応させる」の方が一般的ですが、そういう意味もあるということを覚えておくと、役立つことがあるかもしれません。例文を紹介します。
Aさん
If you can apply yourself to the new environment, you will succeed in that field.
訳)もしその新しい環境に適応することができたら、あなたはその分野で成功するだろう。
「応用」と似た意味を持つ表現をご紹介
「応用」と似た意味を持つ英語をご紹介します。
leverage
金融に関するニュースなどで「レバレッジ」ということばを聞いたことのある方も多いのでは?そもそも”leverage”には「てこの力」や「てこの原理」という意味があり、金融では、「てこの原理」のように少ない資金で大きな金額の取引することを「リバレッジ」といいます。
”leverage”には投資の種類のひとつである「レバレッジ」の意味のほかに、「活用する」「利用する」という意味もあります。特に「小さいものを大きくする活用する」というニュアンスが強い単語です。
He couldn’t leverage his strengths in job interviews.
訳)彼は就職の面接で自分の強みを活かすことができなかった。
utilize
“utlize”は”use”とほぼ同じ意味を持ちますが、「使う」だけでなく、「有効活用する」というニュアンスがあります。日常会話で使われることはあまりなく、ビジネスなどのフォーマルなシーンで使われることが多い単語です。
We have to utilize our natural resources.
訳)わたしたちは天然資源を活用しなくてはいけない。
take advantage of
“take advantage of”は「〜をうまく利用する」という意味です。
I want to take advantage of my English ability.
訳)わたしは自分の英語力を活かしたい。
まとめ
今回は「応用」を中心にさまざまな英語表現をご紹介しました。英語を学習する人にとって「応用」できる力はとても大切です。「応用」を表す”application”という単語の紹介から始まり、その単語の他の意味や、”application”の動詞形 “apply”についても紹介しました。
すべての意味を知らなくても、知っている言葉を「応用」することで表現できる幅はグッと広がります。単語の名詞形を学んだら、その動詞形も一緒に覚えていくと、ボキャブラリーが広がります。動詞形を覚えるときに、どんな前置詞や名詞と結びつくと、どういう意味になるかまで覚えていくといいですよ。
新しい言葉をインプットしつつ、知ってる言葉を「応用」して、英語での会話を楽しんでくださいね。