ギリシャ南部、ペロポニソス半島の内陸部。ラコニア県には、かつて中世ビザンツ帝国の華やかな文化と政治が輝いた都市遺跡があります。それがミストラ(Mystras)の考古遺跡 です。

本記事では、ミストラ遺跡の歴史や建築、芸術を英語表現を交えながら、一緒に歩いてみませんか?

ミストラの考古遺跡とは?

ミストラの考古遺跡とは?

ミストラは、中世後期ビザンツ帝国の地方拠点都市として発展しました。ラコニア地方に位置し、十字軍がスパルタを見下ろす標高約620メートルの丘の要塞の丘陵沿いに発展しました。

ミストラの歴史

ミストラの始まりは、13世紀半ば、第四次十字軍ののちにこの地を支配したフランク人のギョーム2世が丘の頂上へ要塞を築いたことに始まります。
その後、1262年にこの地はビザンツ帝国へ返還され、14〜15世紀には宮殿や教会が次々と建設され、学問と芸術が花開き、文化都市として栄えました。
1460年にオスマン帝国のメフメト2世に征服されます。その後、一時的にヴェネツィアの支配を受けつつも、再びオスマンの支配下に戻りました。
その後、ギリシャ独立戦争の最中にオスマン帝国軍による攻撃で町は壊滅。住民は離散し、ミストラは廃墟となりました。

ミストラの建設と都市構造

ミストラが特に注目される理由の1つは、その都市レイアウトと建築様式です。
丘の頂上には城塞があり、下層部には2つの防衛区域が配置されている構造がよく残っている、典型的な後期ビザンツ要塞都市です。
都市構造は宮殿、邸宅、教会、修道院、修道房、水利・排水施設、商業・工芸施設などを含みます。
建築的には、ビザンツ様式を基本としつつも、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)や西ヨーロッパとの交流の影響を受けた複合的な様式(ロマネスク・ゴシック要素の混入など)も見られます。

Wikipedia-ミストラス

世界遺産としての価値

世界遺産としての価値

ミストラは、ユネスコの世界遺産リストに「Archaeological Site of Mystras(ミストラの考古遺跡)」として、1989年に登録されています。
2007年には、登録名が「ミストラス」から現在の「ミストラの考古遺跡」に変更されました。

登録された理由

ユネスコ登録時には、以下のような基準によりその価値が認められています。

  • ミストラの芸術・建築・フレスコ画は、独自の芸術様式を生み出し、イタリア・ルネサンスにも影響を与えた。
  • 中世ビザンツ都市社会を体現する例として、独自性のある文化伝統を示す証拠を持っている。
  • 丘の頂上の城塞と下層の都市構造、都市機能・都市建築が一体となっている。

UNESCO World Heritage Convention:Archaeological Site of Mystras

覚えておきたい英語

この記事で出てきた英単語やフレーズのなかから、特に覚えておきたいものをピックアップしました。

heritage 遺産、文化遺産
Mystras is inscribed as a UNESCO Heritage site.
ミストラはユネスコの世界遺産として登録されています。

fortress 要塞
At the top of the hill stands the fortress commanding the views.
丘の頂上には見晴らしを支配する要塞が立っています。

palace 宮殿
You can see the ruins of the palace in Mystras.
ミストラには宮殿の廃墟を見ることができます。

fresco / frescoes フレスコ画
Beautiful frescoes adorn many of the chapels.
多くの礼拝堂には美しいフレスコ画が飾られています。

civilization 文明、文化
Byzantine civilization left a deep mark here.
ビザンツ文明はここに深い痕跡を残しました。

旅先で使える英会話フレーズ

ミストラを訪れて英語で会話をする際に使えるフレーズを紹介します。

Aさん
This view is breathtaking, isn’t it?
訳)この景色、息を飲むほどきれいだね。
Bさん
Absolutely. You can almost feel the history around us.
訳)本当だね。まるで歴史の中にいるように感じるね。
Aさん
I’d love to see those frescoes up close.
訳)あのフレスコ画を近くで見たいな。
Bさん
Let’s head to the chapel up ahead — I read it’s one of the best preserved.
訳)あの先の礼拝堂に行こう。最も保存状態がいいって聞いたよ。
Aさん
Do you know when this palace was built?
訳)この宮殿はいつ建てられたか知ってる?
Bさん
I believe in the 14th century under the Despotate of Morea.
訳)モレア専制期、14世紀に建てられたらしいよ。
Aさん
Should we stop by the museum after exploring?
訳)見学のあと博物館に寄ろうか?
Bさん
Good idea. It might help us understand what we saw.
訳)いいね。見たものを理解する手助けになるだろうね。

おすすめ見どころ

おすすめ見どころ

ミストラ遺跡内で、ぜひ訪れてほしい主要スポットを取り上げます。

府主教座/アギオス・ディミトリオス聖堂

この教会・府主教座は、元々はバシリカ様式で建てられ、その後上部にギリシャ十字・ドーム構造が加えられた複合建築で、「ミストラス様式」の代表例とされています。

ここには僧房が併設されており、現在は博物館(ミストラ考古博物館)として展示を行っています。

オディギトリア聖堂

この教会は別名アフェンディコとも呼ばれ、生神女マリアの「導きの主」の異称に由来します。もともとは十字ドーム形式で建てられた後、改築されてミストラス様式になったと考えられています。

この教会はヴロンドヒオン修道院に併設されており、付属施設(食堂、僧房、埋葬堂など)が複数あります。
ブラントキオン修道院内のオディギトリア教会は、「ミストラス様式」の先駆的建築とされ、下層部が三廊式バシリカ、上部が十字ドーム構造という構成を持っていて、建築史上興味深い例です。

パンダナサ修道院

1428年にヨアニス・フランゴプルスによって建立され、生神女マリアの異称「世界の女王」に捧げられました。
ミストラ内で唯一現在も女子修道院として活動しています。

その他の見どころ

ペリブレプトス修道院

14世紀に建てられ、パンダナサと並んで多くのフレスコ画が保存されています。

アギイ・セオドリ聖堂

ヴロンドヒオン修道院の聖堂。1295年頃に建てられ、ミストラスに現存する最古の聖堂。

おわりに:英語で世界遺産を旅しよう!

世界遺産や旅先で出会う建築や芸術、風景について英語で話せると、英語力が身に付くだけでなく旅の思い出も深く心に残るでしょう。この記事で紹介した英単語やフレーズを使ってみてください。

次に旅する世界遺産でも、豊かな体験ができますように。ぜひ楽しみながら英語を学びましょう!