子育ての中で、多くの保護者や保育者が悩むテーマの一つが「トイレトレーニング」です。
実はこのトイレトレーニング、国や文化によって考え方や進め方が大きく異なります。
本記事では、日本・アメリカ・韓国・スウェーデンの4か国を比較しながら、各国のトイレトレーニング事情の特徴と共通点を紹介します。
国際的な視点を知ることで、「こうしなければならない」という思い込みが少し和らぐかもしれません。
日本のトイレトレーニング事情の特徴

集団生活を意識した段階的なトレーニング
日本では、保育園や幼稚園での集団生活を見据え、2〜3歳頃からトイレトレーニングを始める家庭が多い傾向があります。
「〇歳までに外したい」という目安が共有されやすく、保育園と家庭が連絡帳などを通じて連携しながら進める点が特徴です。
一方で、近年は「子どもの発達ペースを尊重する」という考え方も広まりつつあり、無理に進めない園や家庭も増えています。
しつけ文化から生活習慣へ
呼び方
トイレトレーニング/トイトレ
歴史的背景
日本では、紙おむつが普及する以前、布おむつが主流でした。そのため、
-
おむつを早く外すこと=親の負担軽減
-
排泄の自立=「しつけ」の重要な一部
という意識が強く、比較的早期から排泄習慣を身につけさせる文化がありました。
戦後〜高度経済成長期にかけて核家族化が進むと、保育園や幼稚園が生活習慣形成の場として重要な役割を担うようになり、「〇歳児のトイレトレーニング」という年齢目安が定着していきます。
現代の特徴
現在も「トレーニング」という言葉が使われていますが、
-
子どもの発達段階を尊重する
-
成功・失敗ではなくプロセスを大切にする
といった考え方が広がり、従来の「しつけ」から「育ちを支える習慣」へと変化しています。
日本で人気のトイレトレーニング用品
キャラクターもの補助便座。座るだけで声掛けやメロディが出るので、子どもの興味を引きやすい工夫がされています。
日本では「楽しく続けること」を重視したアイテムが人気で、こうした音やキャラクター付きグッズが支持されています。
・ベビービョルン スマートポッティ
シンプルでおしゃれなデザインが特徴のおまるタイプ。スウェーデン発のブランドで、日本でも評価が高く、座り心地の良さと安定性が人気です。
・BabyBjorn Potty Chair
耐久性と安全性に定評のあるスウェーデン製のおまる。安定感があり、座面が低めで子どもが一人で使いやすい設計です。
・IKEA LOCKIG ロッキグ おまる
リーズナブルでシンプルなデザインの子ども用おまる。どの家庭にも馴染みやすく、トイレトレーニング初期に使いやすいアイテムです。
アメリカのトイレトレーニング事情の特徴
子どものサインを最優先
アメリカでは、「トイレトレーニングは子どもが準備できてから」という考え方が非常に強いです。
開始時期は2歳後半から4歳頃まで幅があり、周囲と比べることはあまり重視されません。
成功の鍵は「子ども自身のやる気」。
トイレに行けたら大きく褒める、シールやチャートで達成感を可視化するなど、モチベーションを高める工夫が多く見られます。
行動心理学と個人主義の影響
呼び方
Potty Training、Potty Learning
歴史的背景
20世紀前半のアメリカでは、行動主義心理学の影響を受け、
-
時間を決めてトイレに座らせる
-
成功したら報酬を与える
といった、比較的管理的な方法が主流でした。
しかし1960年代以降、育児書や小児医学の分野で
「子どもが準備できていない段階でのトレーニングは逆効果」
という考えが広まり、親主導から子ども主体へと大きく転換します。
現代の特徴
この流れを反映し、近年では
-
Potty Training(訓練)
-
Potty Learning / Toilet Learning(学び)
と呼び方自体が変化しています。
年齢よりも「ready signs(準備ができたサイン)」を重視する点が、アメリカの大きな特徴です。
「訓練」よりも「子ども自身が学ぶ過程」という考え方へ移行している様子が、言葉の変化からも見て取れます。
アメリカ/欧米で人気の用品
Pull-Ups(使い捨てトレーニングパンツ)
アメリカで広く使われる使い捨てタイプのトレーニングパンツ。
-
“トレーニングパンツ”として、おむつと下着の中間的役割
-
濡れる感覚と遊び心のあるデザインで「自分でできる」意識を育てるものとして普及しています。
キャラクター付きトレーニング便座
パウパトロールやディズニーキャラクターなど、子どものやる気を引き出すデザインのものが多いです。ミニトイレとトレーナーシートがセットになったものはゲーム感覚で取り組める工夫がされています。
韓国のトイレトレーニング事情の特徴
家族の関わりが濃いサポート型
韓国では、祖父母を含めた家族全体で育児に関わるケースが多く、トイレトレーニングも家族総出で支える傾向があります。
比較的早い時期から始める家庭もありますが、「失敗しても叱らない」「恥をかかせない」ことを大切にします。
子どもの自尊心を守ることが重視され、「できた・できない」よりも「安心して挑戦できる環境づくり」に力が注がれています。
儒教文化と家族中心の育児
呼び方
배변훈련(ペビョンフンリョン/排便訓練)
歴史的背景
韓国では、儒教的価値観の影響を受け、生活習慣を整えること、年長者が年少者を導くことが重視されてきました。
トイレトレーニングも、家庭内での基本的な生活教育の一部として位置づけられてきました。
また、祖父母を含む拡大家族で育児を行う文化が長く続いており、経験の共有や声かけを通じて自然に身につけさせる方法が一般的でした。
現代の特徴
言葉としては「訓練」という表現が残っていますが、実際の関わりは、「失敗を責めない」「子どもの恥の感情を守る」といった情緒面への配慮が強く、家庭的で支援的なスタイルが主流です。
韓国でよく使われるトレーニングアイテム
- 多機能ポッティ&ステップスツール
便座部分の高さを調整したり、独立したステップ台として使えるポッティセットが人気です。子どもが一人で座る自立心を促しつつ安全性を高める設計が評価されています。 - トレーニングパンツ
防水性・通気性のあるパンツ型トレーニング用品も多く、家庭での習慣づけをサポートします。韓国の市場では、補助便座とトレーニングパンツを併用する家庭がよく見られます。
スウェーデンのトイレトレーニング事情の特徴

スウェーデンでは、20世紀後半に福祉国家としての制度が整う中で、「子どもは未熟な大人ではなく、一人の権利ある存在」という考え方が社会に浸透しました。
その結果、育児や教育全般において、「早期達成を求めない」「発達の個人差を前提とする」という価値観が定着します。
現代では、トイレトレーニングにおいても、「トレーニング(träning)」ではなく、「学び(lärande)」という言葉が使われるようになり、子どもが自分の体の感覚に気づき、選択するプロセスが尊重されています。
「Toaletträning」から「Toalettlärande」へ
スウェーデンでは従来「Toaletträning(トイレ・トレーニング)」という言葉が使われてきましたが、近年は「Toalettlärande(トイレ・ラーニング)」という表現が注目されています。
これは、「大人が訓練する」のではなく、「子どもが主体的に学ぶ」という価値観を反映した言葉です。
子どもの権利を重視するスウェーデンらしく、言葉の選び方そのものが教育観を表しています。
スウェーデンで人気のトイレトレーニング用品
- シンプルおまる/ポッティ
北欧らしい機能とデザインのシンプルさが特徴。落ち着いた色合いと安全性を重視した設計で、子どもの自立を促すアイテムとして選ばれています。これはスウェーデンの育児観「子ども主体の学び」に合った用品でもあります。 - ステップスツール付き便座
子どもが自分で便座に座りやすい高さに調整できるタイプも人気です。こうした用品は、スウェーデンの幼児教育現場でも見られる実用的なグッズとして支持されています。
国ごとの特色と用品選びのポイント
日本
キャラクター性や音声つきなど、楽しさや興味を引き出す工夫が主流。
アメリカ
トレーニングパンツの普及が進み、自分でできる感覚を重視。
韓国
補助便座+トレーニングパンツの併用で、安全性と家庭での習慣づけを両立。
スウェーデン
シンプルで長く使えるアイテム中心。子ども主体の学びをサポートするデザイン。
まとめ
トイレトレーニングは、単なる生活習慣の獲得ではなく、子どもが自分の体を理解し、自立へ向かう大切なプロセスです。
各国の呼び方や考え方を知ることで、「遅れているのでは」「失敗させてはいけない」といった不安が和らぐこともあります。
言葉が違えば、見方も変わります。
世界の視点をヒントに、目の前の子どもに合ったペースと関わり方を選んでいきたいですね。
