バイリンガル保育園では、日中は英語を中心に活動していても、子どもにとって「休む時間」は特別な意味を持ちます。

お昼寝は単なる休息ではなく、心と体、そして言語の整理が行われる大切な時間です。英語環境の中でも、子どもが安心して眠りにつける工夫は、保育の質を左右します。

英語環境でも安心できる昼寝時間の工夫と声かけ例を紹介

英語環境でも安心できる昼寝時間の工夫と声かけ例を紹介

お昼寝前は「予測できる流れ」を大切にする

バイリンガル環境では、言語の切り替え以上に「次に何が起こるか分かること」が安心感につながります。
毎日同じ順番でお昼寝に入ることで、言葉が完全に理解できなくても、子どもは流れから状況を把握できます。

  • トイレ → マットに座る → カーテンを閉める → 静かな音楽
  • 英語のアクティビティ終了後は、必ず同じフレーズで昼寝導入

この「型」があることで、英語が中心の環境でも気持ちが落ち着きやすくなります。

言語は「短く・やさしく・繰り返す」

お昼寝前の声かけは、説明よりも安心感が優先されます。
難しい表現や長い文章は避け、意味が伝わりやすいフレーズを繰り返し使うことがポイントです。

英語での基本的な声かけ例

  • “It’s nap time.”
  • “Let’s lie down.”
  • “Close your eyes.”
  • “I’m here.”

特に “I’m here.” “You’re safe.” のような存在を伝える言葉は、母語が日本語の子どもにとっても感情として伝わりやすく、安心材料になります。

日本語を完全に排除しない柔軟さ

バイリンガル保育園であっても、お昼寝の時間は情緒面を最優先に考えることが重要です。
不安が強い子や入園間もない時期には、日本語を補助的に使うことが逆効果になることはありません。

  • 英語で声かけ → 日本語で一言添える
  • 「Sleep timeだよ。ここで先生と一緒に休もうね」

言語習得よりも「安心して眠れる経験」を積むことで、結果的に英語環境への信頼感も高まります。

触覚・環境づくりで言葉を補う

眠る前は、言葉以外の要素が大きな役割を果たします。
特にバイリンガル環境では、非言語的な安心感が重要です。

工夫の例

  • 同じブランケットやぬいぐるみを使う
  • 照明を毎日同じ明るさにする
  • 保育者が静かに背中をトントンする

これらは言語理解に関係なく、「ここは安心して休める場所」という記憶として蓄積されます。

起きた後の言葉も大切にする

お昼寝後は、再び言語モードを切り替えるタイミングです。
急に活動に戻すのではなく、目覚めの言葉を丁寧にかけることで、心身の切り替えがスムーズになります。

英語での声かけ例

  • “Good morning.”
  • “You slept well.”
  • “Let’s get up slowly.”

ここでも笑顔やアイコンタクトを添えることで、英語の意味が分からなくても安心感はしっかり伝わります。

なかなか寝付けない子への声かけ

「眠らなくてもいいよ」と伝える

「寝なさい」と言われるほど、子どもは緊張しやすくなります。
まずは“休んでいるだけでいい”というメッセージを伝えます。

声かけ例(英語)

  • “You don’t have to sleep. Just rest.”
  • “It’s okay to close your eyes and relax.”

日本語フォロー

  • 「眠らなくてもいいよ。横になって休もうね」

→「寝る=義務」ではなくなることで、結果的に眠りに入りやすくなります。

体の感覚に意識を向けさせる

頭で考えてしまう子には、体の感覚に注意を向ける声かけが効果的です。

声かけ例(英語)

  • “Let’s take a slow breath.”
  • “Can you feel the blanket on your body?”

日本語フォロー

  • 「ゆっくり息しよう」
  • 「お布団、あったかいね」

→ 思考が静まり、リラックスしやすくなります。

周囲を邪魔してしまう子への声かけ

行動を止めるより「役割」を与える

「だめ」「静かに!」と注意すると、逆に存在感を強めてしまうことがあります。
静かに過ごす役割を渡すと、行動が落ち着きやすくなります。

声かけ例(英語)

  • “Can you be a quiet helper?”
  • “Let’s help everyone rest.”

日本語フォロー

  • 「静かにするお手伝いしてくれる?」

→ 注意される側から、協力する側へ立場が変わります。

比較や叱責は使わない

「みんな寝てるよ」「◯◯ちゃんはできてるよ」といった言葉は、不安や反発につながりやすいです。
個人にフォーカスした声かけを心がけます。

声かけ例(英語)

  • “Your body needs a quiet time now.”
  • “Let’s make our body still.”

日本語フォロー

  • 「今は体をお休みする時間だよ」

お昼寝前の絵本の効果

お昼寝前の絵本の効果

お昼寝前に絵本を読む園も増えています。これは単に物語を楽しむだけでなく、子どもをリラックスさせ、眠りに入りやすくする効果が高いからです。本を通じて穏やかな声のリズムや心地よい言葉に触れることで、情緒が落ち着き、不安感が減りやすくなります。また、語彙や表現に自然と触れる機会にもなります。

気持ちを落ち着ける

お昼寝前は興奮や遊びの余韻が残っていると、なかなか眠りにつけません。絵本のゆったりしたリズムやイラストの世界に入り込む体験が、気持ちを切り替える「スイッチ」として働きます。特にお昼寝に関連したテーマや、穏やかなイメージの絵本は効果的です。

言語刺激と安心感の両立

バイリンガル保育園では、英語での読み聞かせを取り入れることで、英語の音声と意味の関係をやさしく体感できます。同時に日本語訳や日本語でのフォローを加えることで、理解の不安を減らし安心感を強化することもできます。こうした体験は言語習得の「質」を上げるだけでなく、子どもの心の安定にも寄与します。

おすすめの絵本と読み聞かせの声かけ例

Shhhhh! Everybody’s Sleeping(「しーっ みんな 寝ているよ」)

この絵本はさまざまな職業の人や動物が眠る様子を描いた作品で、静かなトーンで進むストーリーが寝る前にぴったりです。英語のフレーズと日本語の要約を交えて読むと、子どもに安心感と両言語の楽しさを感じてもらえます。

声かけ例

  • “Let’s see who is sleeping now.”
  • 「さぁ、今誰がねむってるかな?」
  • “Shhh… quiet voices.”
  • 「しーっ… 静かにね。」

Hush!: A Thai Lullaby(「ハッシュ!タイのおやすみうた」)

繰り返しのリズムと言葉で進むストーリーは、子どもの注意を穏やかに引き付け、お昼寝準備に最適です。
英語の「Hush…」という静かにするフレーズを繰り返すことで、自然と落ち着いた雰囲気を作れます。

声かけ例

  • “Let’s be quiet like the animals.”
  • 「動物たちみたいに静かにしようね。」
  • “Can you whisper?”
  • 「ささやきで言ってみようか?」

Dr. Seuss’s Sleep Book(「たくさんのいきものがおやすみする本」)

この本は眠る活動をユーモラスに描きながら、睡眠への導入をリズミカルに促す構成です。音の響きや韻も豊かなので、英語のリズム感を楽しみながら落ち着けます。

声かけ例

  • “Look! Everyone is going to sleep.”
    「ほら!みんな眠りに行ってるよ。」
  • “Can we yawn like this?”
    「こんなふうにあくびできるかな?」

 Owl Babies(「ミミズクの赤ちゃん」)

母親を待つ3羽の子フクロウの物語で、不安と安心の感情に寄り添う内容です。お昼寝前に読むと、安心感や母子の絆を感じさせる読み聞かせができます。

声かけ例

  • “They are waiting for their mom.”
    「みんなお母さんを待っているね。」
  • “Now they feel safe again.”
    「今はまた安心できたね。」

バイリンガル絵本(対訳や英日表記の本)

英語と日本語が並記された絵本もおすすめです。視覚的に両言語がわかるので、子どもが言葉を関連づけやすく、安心して聞くことができます。テーマは日常生活や動物、自然など身近なものが特におすすめです。

声かけ例

  • “Let’s read this part in English.”
    「今は英語のところを読もうね。」
  • “Now in Japanese.”
    「次は日本語でね。」

お昼寝前の絵本は眠る準備のルーティン化にも最適です。同じ本を毎日読むことで安心感が高まり、言葉では説明し切れない感覚的な落ち着きが生まれます。園のルーチンに取り入れることで、子どもにとっての「お昼寝タイム」がより心地よい時間になります。

まとめ

バイリンガル保育園におけるお昼寝は、英語学習の一部というより、「言語刺激から一度離れる時間」と考えることが大切です。
しっかり休むことで、午後の活動や言語のインプットもより豊かになります。

言葉を切り替える工夫と、安心感を支える関わりを積み重ねることで、子どもは英語環境の中でも「自分は守られている」と感じながら成長していきます。