近年、日本でも「男性育休」が大きな注目を集めています。これまでは母親が中心となって育児を担うイメージが強かったですが、社会全体の価値観が変化し、父親も積極的に子育てに参加することが当たり前になりつつあります。とくに2022年にスタートした「産後パパ育休」制度は、男性がより柔軟に休みを取得できるように後押ししました。
こうした流れの中で注目されているのが、「共育て(ともそだて)」という考え方です。夫婦が育児を分担するだけでなく、家族全員が一緒に成長していくという視点。そこには、子どもだけでなく、親自身も新しい学びや経験を得ていくという意味が込められています。
海外や日本における男性育休の状況

北欧諸国(スウェーデン・ノルウェー・アイスランドなど)
世界でもっとも先進的とされるのが北欧です。
スウェーデンは1974年に「男女共通の育休制度」を導入し、父親も母親と同じように育休を取れるようになりました。
特に「パパ・クォータ(父親専用育休期間)」という仕組みがあり、父親が取らなければその分の休暇は消えてしまう制度が導入されています。そのため取得率は非常に高く、スウェーデンでは父親の約90%が育休を利用しています。
ヨーロッパ(フランス・ドイツなど)
フランスでは「父親休暇(congé de paternité)」が法的に整備されており、出生直後に有給の休暇が保証されています。
ドイツでは2007年の制度改正で父親の育休取得を促進。収入の67%が最大14か月補償され、そのうち2か月は父親が取らなければならないという「パパ月」制度があります。
アジア(韓国・中国など)
韓国は制度上は父親に対しても育休が認められています。所得の一部が保障されますが、実際の取得率は日本と同様に課題が残っています。
中国は地域によって差がありますが、父親に5日〜30日程度の「配偶者出産休暇」が認められる場合があります。ただし北欧のような長期の育休制度は一般的ではありません。
アメリカ
アメリカには「連邦レベルの有給育休制度」は存在しません。
1993年に成立した「家族・医療休暇法(FMLA)」により、一定の条件を満たした労働者は12週間まで無給で休暇を取得できます。
ただし企業独自の制度(GoogleやNetflixなど)が手厚い場合もあり、会社ごとの差が非常に大きいのが特徴です。
日本
海外では、北欧を中心に「父親が育休を取るのは当たり前」という文化が根付いている。フランスやドイツでは「父親が取らないと損をする」制度で取得を促進ですが、日本では、1991年に制度化されたものの長年浸透せず。2022年の「産後パパ育休」など制度改正をきっかけに、ようやく取得が増え始めている。
【日本における男性育休の歴史】
- 1992年
「育児休業法」施行。男女ともに育休を取得できるようになったが、当初は男性の取得率はほとんどゼロに近かった。 - 1995年
「育児・介護休業法」に改正。育休中の雇用保障が強化される。 - 2000年代
取得率は依然として1〜2%程度にとどまる。「制度はあるが取りにくい」という状況が続いた。 - 2010年
「パパ・ママ育休プラス」制度導入。両親が育休を取る場合、子どもが1歳2か月になるまで延長できるようになった。 - 2020年頃
政府が「男性の育休取得率13%」を目標に掲げ、企業への周知が進む。 - 2022年
「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度がスタート。子どもが生後8週間以内に、最大4週間まで分割して取得できる新しい枠が作られた。 - 現在(2025年時点)
男性の育休取得率は36%(厚生労働省発表・2023年度)まで上昇。北欧に比べるとまだ低いものの、急速に広がっている。
家庭に広がる「英語遊び」

共育ての実践の中で、家庭での英語教育が自然に広がっているのも特徴的です。以前は「英語教育=塾や英会話スクールに通うもの」というイメージが強かったですが、今では家の中で「遊びの一部」として英語を取り入れる家庭が増えています。特に男性育休を取った父親が、子どもと一緒に英語を楽しむケースが増えているのです。
例えば、
- 英語の絵本を父子で読み聞かせる
- YouTubeなどで親子向けの英語ソングを一緒に歌う
- 英語のフレーズを取り入れたカードゲームやクイズを楽しむ
- 料理やお散歩のときに簡単な英語表現を交えて会話する
といったシンプルな遊びでも、子どもにとっては十分に「英語に触れる機会」になります。
パパが英語遊びに参加するメリット

父親が英語遊びに関わることで、子どもは「英語は特別な勉強ではなく、家族みんなで楽しむもの」と感じやすくなります。また、母親だけが教育を担うのではなく、父親が積極的に関与することで、子どもの学びの幅も広がります。さらに、父親自身が子どもと一緒に英語を学ぶことで「大人になっても学び直せる」という姿を子どもに示すこともできます。
1日の過ごし方例(育休中のパパ編)
育休中のパパが子どもと過ごす一日の中で、英語遊びを取り入れるとどうなるでしょうか。例を挙げてみます。
- 朝食づくり:「Let’s make pancakes! 」と声をかけ、材料を英語で数える(one egg, two spoons of sugar)。
- 午前のお散歩:外で見えるものを英語で言ってみる(car, dog, flower)。子どもと指さしながら楽しむ。
- 昼寝前の絵本タイム:英語絵本を一冊読み聞かせる。パパが苦手でも絵を指さしながら単語だけ読むだけで十分。
- 午後の遊び:カードゲームやブロック遊びの中で色や形を英語で言う(blue block, red car)。
- お風呂タイム:体を洗いながら「head, shoulders, knees, toes」と歌を取り入れる。
- 寝かしつけ:子守唄を英語で歌ったり、「Good night, see you tomorrow」と声をかける。
一日の生活の中に自然と英語を取り入れることで、子どもは「遊び=英語」という感覚を身につけていきます。
父子でできる英語遊びベスト5
- 英語ソングを一緒に歌う
「Head, Shoulders, Knees and Toes」や「ABC Song」など、動きをつけて歌える曲がおすすめ。体を動かしながら歌うと楽しく覚えられます。 - 英語で宝探しゲーム
「Find something red! 」「Where is the ball? 」と英語で指令を出し、家の中で探す遊び。ゲーム感覚で盛り上がります。 - 絵本の指さし読み
全部読む必要はなく、絵を指さして「This is a cat」「This is a car」と簡単なフレーズを繰り返すだけでも効果的です。 - おままごと英語
料理やお店屋さんごっこを英語で。「Here you are」「Thank you」「Yummy! 」といった短い会話を繰り返すことで自然に定着します。 - AI・デジタル教材を一緒に使う
英語アプリや音声で答えるゲームを、父子で一緒に挑戦。子どもだけに任せず「パパも一緒にやるよ」というスタンスが大事です。
まとめ
社会全体で男性育休の取得が進み、共育てが広がるにつれて、家庭での英語教育もますます多様化していくでしょう。
大切なのは「英語を学ばせる」ではなく「英語で遊ぶ」ことから始めることです。
結論として、男性育休は「父親が子育てに関わる時間を持てる」というだけでなく、「家族の学びの形」を変えるきっかけになっています。
これからの時代、パパも主役となって、家庭の中で新しい学びの時間を広げていくことが求められています。
