「英語の単語を覚える」
「フレーズを練習する」
こうした“英語そのものを学ぶ”スタイルから、近年注目されているのが「英語を使って何かを学ぶ」という考え方です。

幼児期は、言葉を目的として学ぶよりも、体験や興味を通して自然に身につける方が吸収力が高い時期
そこで役立つのが「CLIL(クリル)」という教育の考え方です。

英語を通じて学びの幅を広げる“CLIL”的発想の初級編を解説

英語を通じて学びの幅を広げる“CLIL”的発想の初級編を解説

CLILとは、Content and Language Integrated Learning(内容と言語を統合した学習)の略です。

簡単に言えば、「英語を教科として学ぶ」のではなく「英語を使って、理科・算数・生活・遊びなどを学ぶ」というアプローチです。

例えば、

  • 英語で色や形を使って工作をする
  • 英語で植物の成長を観察する
  • 英語で数を数えながらお買い物ごっこをする

こうした活動の中で、英語は“目的”ではなく“道具”として使われます。

小さな子どもにとっては、「英語を勉強している」という感覚より、「楽しいことをしていたら英語が聞こえてきた」という自然な体験になります。

なぜ幼児期にCLIL的な学びが合っているのか

幼児期の子どもは、

  • 意味のある場面で言葉を覚える
  • 体験と結びついた表現を長く記憶する
  • 繰り返しの中で自然に使えるようになる

という特徴があります。

単語カードだけで覚えた「apple」と、実際にりんごを触って、切って、食べながら聞いた「apple」では、理解の深さがまったく違います。

CLIL的な活動では、「英語=覚えるもの」ではなく、「英語=使うもの」としてインプットされていくため、後の英語学習への抵抗感も少なくなります。

「英語で学ぶ」初めの一歩は日常から始められる

CLILと聞くと難しく感じるかもしれませんが、特別な教材や高度な英語力は必要ありません。

家庭や保育現場ですぐできる例を挙げてみましょう。

  • お風呂で「hot」「cold」を感じながら言ってみる
  • おやつの時間に「big」「small」を比べる
  • お散歩で「flower」「tree」「bird」を指さして話す
  • ブロック遊びで「one, two, three」と数える

これだけでも立派なCLIL的学びです。

大切なのは、英語を説明するのではなく、体験と一緒に使うこと。

英語を“教え込まない”ことが成功のポイント

CLIL的発想で最も重要なのは、「正しく言わせようとしない」ことです。

発音が違っても、単語だけでも、日本語と混ざっても問題ありません。

「伝わる楽しさ」「使えたという経験」これが積み重なることで、子どもは自然と英語を使おうとするようになります。

「英語を学ぶ」から「英語で世界を広げる」へ

これまでの英語教育は、英語を覚えることや、英語を正しく使うことに焦点が当たりがちでした。

しかしCLIL的な視点では、英語は知識を広げるためのツール、英語は世界とつながる手段として存在します。

小さなころから、「英語=テストの科目」ではなく、「英語=楽しい体験の一部」として触れることで、将来の学びへの姿勢そのものが変わっていきます。

「英語で学ぶ」を日常に:年齢別CLIL的アクティビティと実践アイデア集

英検3級リスニングを攻略するための3つのポイント

0〜2歳:感じる・まねるが中心のCLIL

この時期は「理解させる」よりも、耳で聞き、体で感じることが大切です。

  • お風呂で温度を感じながら「Hot! 」「Cold! 」
  • ボール遊びで「Roll! 」「Throw! 」
  • おやつの時間に「Sweet」「Yummy」

言葉を言わせようとせず、大人が繰り返し自然に使うことが最大の学びになります。

3〜4歳:遊びと発見を英語で広げるCLIL

好奇心が一気に広がる年齢です。
簡単な概念を英語と一緒に体験できます。

  • 色探しゲーム「Find something red! 」
  • 数遊び「Let’s count! One, two, three」
  • 自然観察「This is a flower. Smell it! 」

色・数・自然・動きなど、知育と英語が同時に育つのが特徴です。

5〜6歳:考える力を育てるCLIL

少しずつ「なぜ?」が増える年齢です。
簡単な実験やストーリー活動がおすすめです。

  • 水に浮く・沈む実験「Float or sink? 」
  • 簡単クッキング「Mix」「Pour」「Bake」
  • 成長観察日記「The plant is taller today」

完璧な英語より、自分の考えを英語で表そうとする経験を大切にしましょう。

CLIL実践例を紹介します

CLIL実践例を紹介します

バイリンガル保育園でよく行われている

実際の保育現場では、以下のような形で自然に取り入れられています。

生活×英語

  • 着替えで「Put on」「Take off」
  • 食事で「More please」「All done」

教育活動×英語

  • 英語でのリズム体操
  • 英語での簡単な算数遊び
  • 英語での季節行事紹介

英語の時間を分けるのではなく、日常全体が英語環境になるよう工夫されているのが特徴です。

家庭でできる「1週間CLILミニプラン」

無理なく続けるためのシンプルな例を紹介してみます。

月曜日:色

おもちゃを色ごとに分けながら「Red」「Blue」「Yellow」と言ってみる。

火曜日:数

階段を上りながら「One, two, three…」と数える。

水曜日:自然

散歩で見つけたものを英語で「Tree」「Bird」「Cloud」と言ってみます。

木曜日:動き

体を動かしながら「Jump」「Run」「Stop」と言ってみましょう。

金曜日:食べ物

食事の中で「Apple」「Rice」「Milk」と話してみます。短時間でも十分効果があります。

家庭でのCLIL的英語学習が長続きしない理由は

親の不安が子どもの英語への姿勢を左右する

「最初はやる気だったのに、いつの間にかやらなくなった」
「忙しくて英語時間を作れない」

家庭で英語を取り入れようとした多くの保護者が、一度は感じる悩みではないでしょうか。

CLIL的な「英語で学ぶ」スタイルは本来とても自然なものですが、続かない原因はやり方にあることがほとんどです。

家庭でCLILが続かない主な理由

多くの家庭が、毎日30分英語の勉強、決まった教材をやらせるといった“勉強の時間”を設けようとします。

しかし、忙しい日常の中で新しい習慣を増やすのは大きな負担になりがちです。
結果として、「今日は疲れたからお休み」が増え、いつの間にかやらなくなってしまいます。

成果を早く求めすぎてしまう

「単語を覚えたか」「英語で話せるようになったか」など、目に見える成果を期待すると、思ったほど伸びない時にモチベーションが下がります。

CLILはじわじわ積み重なる学び
短期間での変化を求めると、続きにくくなります。

親が「教えなきゃ」と頑張りすぎる

発音が気になる、正しい文で話させたいといった気持ちから、親が疲れてしまうケースも多いです。

その結果、「今日はもういいか」と中断につながります。

子どもが楽しめていない

大人のペースで進めると、興味がない内容、難しすぎる活動になりがちです。

子どもが「楽しくない」と感じると、自然と遠ざかってしまいます。

「続かない…」を卒業!家庭でCLILを無理なく続けるためのコツ

英検5級リーディングのコツ

コツ1:「生活の中」に英語を溶け込ませる

新しい時間を作る必要はありません。すでにある習慣に英語を足すだけで十分です。

  • 朝の準備で「Put on your socks」
  • 食事で「More rice?」
  • お風呂で「Warm water」

これなら忙しい日でも自然に続きますね。

コツ2:「完璧」を目指さない

単語だけでもOKですし、ジェスチャー付きでもOKです。大切なのは使っていることです。

文法や発音は後から自然と整っていきます。

コツ3:短く・頻繁に

1回30分より、1日1〜3分を何回か繰り返す。これが幼児期には最も効果的です。

靴を履くときに一言言ったり、階段で数を数えたり、寝る前に一言英語で言ったり、これだけでも十分なCLILです。

コツ4:子どもの「好き」を英語にする

車が好きなら「Fast car」「Stop」、動物が好きなら「Big dog」「Small cat」と英語にしてみましょう。

興味のあるテーマと英語を結びつけることで、自然と使いたくなります。

コツ5:成長を「記録」して楽しむ

話せた単語をメモしたり、写真と一緒に残してみてはどうでしょう。

すると、「こんなに増えている!」と実感でき、継続のモチベーションになります。

継続できている家庭に共通する考え方

続いている家庭ほど、英語は勉強ではなく生活の一部、できなくても気にしない、楽しさを最優先とかんがえています。
つまり、「やらなきゃ」ではなく「つい使っている」状態を作っているのです。

まとめ

  • 英語で遊ぶ
  • 英語で感じる
  • 英語で発見する

この積み重ねこそがCLILの本質です。

英語力だけではなく、「考える力」「観察力」「表現力」「異文化理解」が同時に育つCLILは、語学教育でありながら総合教育でもあるのです。

「英語を教える」から「英語を一緒に使う」へ。

その小さな変化が、子どもたちの学びを大きく広げていきます。