都会に比べて英語教室や留学の機会が少ない地方でも、ちょっとした工夫で「英語に触れる環境」を家庭に作ることができます。教材やアプリに頼りすぎず、身近な地域資源をうまく活用すれば、子どもにとって自然で楽しい英語時間が広がります。ここでは実践的なアイデアをご紹介します。
図書館の英語絵本コーナーをフル活用しよう

地方の図書館でも、探してみると英語絵本や洋書が充実していることがあります。カラフルな絵本なら、英語が分からなくても絵を見てストーリーを想像する楽しみがあり、子どもが気軽に手に取れます。
おすすめは「借りた本を親子で“音読タイム”に使う」こと。発音に自信がなくても大丈夫です。英語を“正しく読む”ことよりも、「英語の音を一緒に楽しむ時間」を作ることが大切です。
地方の図書館でよく見られるサービス例を挙げてみましょう。
英語絵本・児童書コーナー
海外の人気絵本(『はらぺこあおむし』など)が原書で置かれていることも多いです。
英語だけでなく、日英バイリンガルの絵本も揃えている図書館もあります。
英語の読み聞かせイベント
ボランティアや地域のALT(外国語指導助手)が英語で絵本を読んでくれる会を定期的に開催。
参加無料で、親子一緒に楽しめることが多いです。
英語DVD・CDの貸し出し
ディズニー映画や英語の童謡CD、英語学習用のアニメなどが借りられる。
車の移動や家庭での「ながら英語」に役立ちます。
学習スペース・視聴コーナー
館内にDVDを見られるブースがあり、そこで英語のアニメや映画を親子で視聴できる場合があります。
英語雑誌・洋書の閲覧
『TIME』『National Geographic Kids』など英語雑誌を置いているところもあり、子どもと一緒に写真を眺めながら英語に触れられます。
国際理解関連の展示やフェア
「世界の文化紹介コーナー」や「英語で知る異文化」などのテーマ展示を季節ごとに実施する図書館も。
旅行・料理・音楽など子どもの興味につながりやすいテーマで英語本に出会えます。
【活用のコツ】
- 事前に図書館のHPをチェックすると「外国語資料」や「児童英語」カテゴリーが検索できることも多いです。
- 子どもと一緒に「今度はどの英語の本を借りようか?」と探す時間も、英語体験の一部になります。
- 英語イベントの開催は掲示板やチラシで告知されているので要チェック。
ラジオや地域FMで“耳”から英語に親しむ

実は、地域FM局やラジオ放送でも英語番組や音楽を流していることがあります。ニュースの一部や英語の歌を聞くだけでも、 “耳が英語に慣れる”大きな効果があります。
親子で夕飯の準備中や車の移動時間にラジオを流すだけで、「英語=特別な勉強」ではなく「生活の一部」という感覚を持たせられます。
全国・地方で活用できるラジオ・FMの英語媒体
1. NHKラジオ英語番組(全国放送)
- ラジオ英会話(NHKラジオ第2)
中高生~大人向けですが、親子で日常フレーズを一緒に学ぶのに役立ちます。 - 基礎英語シリーズ(基礎英語1・2・3)
小学生でも分かりやすく、ストーリー仕立てで楽しめる構成。 - ニュースで英語を学ぶ番組もあり、親世代が一緒に学べます。
2. NHK World Radio Japan(短波・インターネット・アプリ)
- 世界向けの英語ニュース番組。
- スマホやPCからも聞けるので、地方でも簡単にアクセス可能。
- 子どもにはBGM的に流すだけでも「英語の音」に慣れる効果があります。
3. 地域FM局の英語番組
地域によっては、国際交流団体やALT(外国語指導助手)が出演する番組があります。
- 地域の外国人住民が自国の文化や音楽を英語で紹介する番組
- 英語の歌を流す子ども向けプログラム
- 国際交流イベントと連動した情報コーナー
(例)
- FMわぃわぃ(神戸):多言語放送あり
- FM COCOLO(関西):洋楽中心で英語DJの番組多数
4. 民放FM・インターネットラジオ
- InterFM897(東京発、Radikoで全国聴取可)
英語DJが多く、海外音楽やカルチャーを英語で紹介。 - 洋楽専門番組(J-WAVE、FM802など)
ナレーションは英語、日本語が混ざるのでリスニングに最適。 - Radiko(ラジコ)アプリで地域局以外も全国の番組を聴けるため、地方でも英語番組にアクセス可能。
5. 海外インターネットラジオ
- BBC World Service(イギリス)
- Voice of America (VOA Learning English) (アメリカ)
- 子ども向けの英語歌番組や学習者向けの「ゆっくり英語ニュース」も配信されています。
【活用のコツ】
- BGMとして流す:「勉強」ではなく「生活音」として英語を聞く習慣を作る。
- 親子で一言真似する:気に入ったフレーズをリピートして遊ぶ。
- 運転中のカーラジオで利用:通学・通勤時間が英語リスニングの時間に。
地元の国際交流イベントに親子で参加する
地方自治体や国際交流協会では、外国人と触れ合えるイベント(料理教室、交流フェスタ、英語で遊ぶワークショップなど)が開かれることがあります。こうした場は、英語を「机で学ぶ」よりも「人とつながる言葉」として体験できる絶好のチャンス。
親子で参加すれば、子どもも「英語を使うとワクワクする」と感じられるはずです。
2025年地方で行われた国際交流イベントの例
| イベント名 | 地域/市町村 | 内容の特徴・ポイント |
|---|---|---|
| ひめじ国際交流フェスティバル | 兵庫県姫路市 | 世界の料理、民族衣装・踊りの体験、音楽パフォーマンスなど多彩な文化体験ができる大規模フェス。親子で行きやすく、楽しめるワークショップがある。 (himeji-iec.or.jp) |
| ちば市国際ふれあいフェスティバル 2025 | 千葉市(千葉県) | 模擬店、ステージ発表、国際交流協会主催。どなたでも参加可能で、文化を見たり食べたりと気軽に国や民族の「体験」ができる。 (千葉市公式サイト) |
| 国際交流フェスティバル in TOYAMA | 富山県富山市 | 世界各国の音楽や踊りのステージ、外国人カラオケ大会など「観る・聴く・体験する」はもちろん、屋台などの「食べる」要素もあり。子ども向きのワークショップも含まれている。 (富山市公式ウェブサイト) |
| くしろ国際交流フェスタ | 北海道釧路市 | 多文化共生をテーマに、地域の住民と在住外国人の交流が目的。地域団体との共催で、地域密着型の交流イベント。家族連れの参加もあり。 (JICA) |
| 世界のともだち 2025 | 北海道帯広市 / 十勝地域 | JICA北海道センター等が主催。子ども向け・家族向けのプログラムが多く、来場者約1,000人。ステージ・ワークショップなど体験型が中心。 (JICA) |
| 船橋市インターナショナルフェスティバル 2025 | 千葉県船橋市 | 模擬店、ステージ発表、スタンプラリーなど多様な企画あり。ふなばしアンデルセン公園を会場に、家族で楽しめる公共の場所で実施。 (船橋市国際交流協会 | イベント・ボランティアを通じて相互理解へ) |
| Welcome Event — 外国人学生歓迎交流会 | 福岡市 | 外国人留学生と地元市民が交流するイベント。観光・クルーズなどレジャー要素+交流要素がミックスされていて、英語を使う場としてもよさそう。 (FCIF) |
家庭でできる「小さな英語習慣」の積み重ね

大きな取り組みでなくても、家庭の中にちょっとした英語習慣を取り入れるだけで効果的です。
例えば:
- 朝の挨拶を「Good morning! 」にする
- 買い物のときに「Apple」「Milk」と英語で言ってみる
- 週末に「英語で歌を一曲」一緒に歌う
こうした小さな積み重ねが、子どもにとって英語を身近な存在に変えていきます。
まとめ
英語の習得で一番大切なのは「楽しい!」という気持ちです。
電車が好きな子なら、駅で外国人観光客向けの案内板を一緒に読んでみる。動物が好きな子なら、動物園や牧場で英語表記を探してみる。音楽好きなら地域の外国人ミュージシャンのライブに出かけてみる。
子どもの「好き」と地域にある資源を組み合わせれば、自然に英語体験を広げられます。
地方だからこそ、図書館やラジオ、地域イベントなど「地域ならではの英語との出会い方」がたくさんあります。
教材やアプリに頼りきらず、親子で生活に英語を組み込む工夫をすれば、子どもは自然に英語に親しんでいけるはずです。
子どもの興味に合わせた英語体験を地域で見つてみましょう!
