「英単語は知っているのに、なぜか会話にならない」
「英語を習っているのに、話す力につながっている気がしない」

お子さまを見ていて、そんなふうに感じたことはありませんか。

わが家でも、英語学習を始めてしばらく経った頃、まさにそんな状態でした。

食べ物や色、動物の名前もたくさん覚えている。
それなのに、英語でやり取りをすると返ってくるのは単語ばかり。

「もっと文章で話せるようになるにはどうしたらいいのだろう」
そう悩みながら、私はフレーズを覚えさせようと必死でした。
ところが、どれも思ったような結果にはつながりませんでした。

フレーズ表や教材づくりで遠回りしたわが家の経験をもとに、「単語しか出ない」から卒業するヒントについてお話しします。

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • 単語しか出ない状態から抜け出すには、フレーズを暗記させるより「伝えたい気持ち」を育てることが重要。
  • 単語カードやフレーズ一覧表だけでは定着しにくく、子ども自身が使いたい場面があることでフレーズが生きる。
  • 親子の会話やごっこ遊びなど日常のやり取りの中で英語を使うことで、フレーズが自然な表現として身につきやすくなる。

フレーズが大切だとわかっていたつもりだった

フレーズが大切だとわかっていたつもりだった

長女の英語学習を始めた頃、私は「単語をたくさん覚えるだけでは話せるようにならない」と考えていました。

英語を話すには、単語だけでなく文章が必要です。
そのため、「I like ~」「I can ~」のようなフレーズも早いうちから身につけてほしいと思っていました。

この考え自体は間違っていなかったでしょう。

しかし、問題はその先でした。
私はいつの間にか、「フレーズは教えれば身につくもの」だと思い込んでいたのです。

子どもが何を話したいのかよりも、何を覚えさせるかに意識が向いていました。
その結果、良かれと思って始めた取り組みが、少しずつ空回りしていくことになります。

手作り単語カードはすぐに使われなくなった

まず取り組んだのは、手作りの単語カードでした。

子どもが興味を持てるようにイラストを入れたり、色分けをしたりしながら、時間をかけて作りました。
完成したばかりの頃は、「これなに?」「かわいい!」と手に取ってくれることもあり、少し手応えを感じていました。

ところが、その興味は長く続きませんでした。
気づけばダイニングテーブルの隅に置かれたままになり、いつの間にか存在すら忘れられていたのです。

親が時間をかけて準備したものほど、「どうして使ってくれないのだろう」と残念な気持ちになってしまうものです。
当時の私は、単語カードを見るたびにそんな思いを抱いていました。

フレーズ一覧表も思うように活用されなかった

単語だけでは会話につながらないと思い、次に取り組んだのがフレーズ一覧表づくりでした。

“I like ~.”
“I can ~.”
“I want ~.”

など、簡単で使いやすい表現を紙にまとめて見やすく整理しました。

当時の私は、「これを見れば自然と使えるようになるはず」と考えていました。

例えば、好きな食べ物を聞かれた時には “I like pizza.”、やりたいことを伝える時には “I want to play.” のように、単語だけではなく文章で答えられるようになってほしかったのです。

しかし、子どもたちはほとんど見ませんでした。
見たとしても最初だけで、数日もすると、気にしているのは私だけになっていました。

今思えば当然だったのかもしれません。

一覧表に書かれていたフレーズは、私にとっては「使ってほしい表現」でしたが、子どもにとっては「今すぐ使いたい言葉」ではありませんでした。

「覚えてほしい」という親の思いばかりが先にあり、子どもが何を伝えたいのかという視点が持てていなかったのだと思います。

AGOも期待していたほど続かなかった

AGOも期待していたほど続かなかった

「ゲームなら楽しく英語を話せるかもしれない」
そう思って購入したのが、英語カードゲームのAGOでした。

AGO(エイゴ)カードは、英語の質問や返答のフレーズをゲーム感覚で学べるカードゲームです。
UNOに似たルールで遊べることから、英会話教室や家庭学習でも広く活用されています。

ところが、これも思うようにはいきませんでした。
数回遊んだ後は本棚へ。

気づけば部屋の隅でほこりをかぶっていました。

今では自然に遊べていますが、英語でのやり取りを楽しめるようになったのは、長女が小学4年生になってからでした。
教材が悪かったわけではなく、その時の娘にはまだ合っていなかったのだと思います。

共通していたのは「親から子への一方通行」だった

単語カード、フレーズ一覧表、AGOゲーム。
どれも、子どものためを思って用意したものでした。

しかし振り返ってみると、そこにはひとつの共通点がありました。
それは、親から子への一方通行になっていたことです。

私は、
「これを覚えてほしい」
「これを使えるようになってほしい」
という思いで取り組んでいました。

一方で、子ども自身は、
「今これで遊びたい」
「これを話したい」
という状態ではありませんでした。

子どもが何に興味を持ち、何を表現したいのかよりも、私の中では「何を学ばせるか」が優先になっていたのです。
英語を学ばせたいという思いが強くなるあまり、子ども自身の「話したい」という気持ちに寄り添えていませんでした。

英語を日常的に使う家庭の様子が気になった

英語学習の取り組みに行き詰まりを感じていた時、ふと気になったのが、英語を日常的に使っている家庭の様子でした。
日本で暮らしていると、英語を使いながら子育てをしている家庭の姿を目にする機会はあまりありません。

そこで、海外で子育てをしている家族の動画を見たり、海外で暮らす友人から話を聞いたりするようになりました。

その中で感じたのは、子どもたちは「英語を勉強している」のではなく、ただ家族と楽しく会話しているということでした。

今日あった出来事。
好きなこと。
嫌だったこと。
今やりたいこと。

家族との何気ないやり取りの中で、自然に言葉を使っています。

英語が学習の対象というより、気持ちや考えを伝えるための道具として存在していました。

その様子を見ながら、わが家は英語を増やすことばかりに意識が向き、親子の会話そのものにはあまり目を向けられていなかったのかもしれないと気づきました。

子どもの「伝えたい」を聞くようになった

子どもの「伝えたい」を聞くようになった

それからは、英語を教えることよりも、まず会話を増やすことを意識するようになりました。

今日は何が楽しかったのか。
今何をしたいのか。
どう感じているのか。

以前よりも、子どもの話をじっくり聞くようになりました。
同時に、私自身も自分の考えや気持ちを話すようになりました。

英語学習の時間だけでなく、普段の親子のやり取りそのものを大切にするようになったのです。
すると少しずつ、子どもたちの中にも「話したい」「聞いてほしい」という気持ちが見えるようになってきました。

子ども発信の遊びの中でフレーズが生き始めた

会話を意識するようになってからは、子どもが主導する遊びにも以前より積極的に付き合うようになりました。

お店屋さんごっこを始めた時は、お客さん役になってやり取りを楽しみました。
LEGOで作った作品を見せてくれた時は、「どんな家なの?」「ここは何?」と話を聞きました。
ダンスで覚えた振り付けを披露してくれる時も、お絵描きしたキャラクターについて話してくれる時もありました。

どれも特別な英語学習ではありませんが、そこにはいつも子ども自身の「伝えたい」がありました。

すると、

“I like this.”
“This is my room.”
“I want to play.”

といったフレーズも、覚えるためのものではなく、自分の気持ちを伝えるための言葉として少しずつ使われるようになっていきました。

以前作ったフレーズ一覧表が急に役立ったわけではありません。
子ども自身の中に表現したいことが生まれたことで、フレーズに意味が生まれたのだと思います。

まとめ:型(フレーズ)は暗記するものではなく、使うもの

長女が小さい頃の私は、「単語だけでは話せないから、文章で答えられるようになってほしい」と考え、さまざまな工夫を重ねていました。
しかし、手間をかけて準備したものほど期待したようには続きませんでした。

振り返ってみると、私は英語を身につける方法ばかりを探し、娘自身が何を表現したいのかを十分に考えられていなかったように思います。

変化が見え始めたのは、学習を進めることよりも、日々のやり取りを大切にするようになってからでした。

型(フレーズ)は知識として覚えるだけでは定着しません。
自分の考えや発見を言葉にする経験を重ねる中で、少しずつ自分のものになっていくのだと感じています。

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KatoTomomi 英語教育ライター / English Education Writer
英語教育を専門的に学び、言語習得理論に基づいた学習法を研究。塾講師として受験英語や英検対策の指導経験を持つ。現在は小学生2人の母として家庭での英語教育を実践しながら、Kimini英会話で子ども向け英語学習や家庭学習のノウハウを発信している。