皆さん、Small Talk/スモールトークをご存知ですか?
Small Talkとは日本語で、雑談や世間話を意味します。日本語でもよくする、「最近どう?」「学校どうだった?」といった何気ない会話です。
実は、このSmall Talkをオンライン英会話の冒頭に行うことで、お互いの緊張がほぐれて良い雰囲気が生まれ、レッスンに入る前の適度なウォームアップにもなります。
しかしいざやってみると、定型の挨拶の後にどのように会話を広げていけばいいか分からず、なんとなくそのままレッスンに入ってしまうことが多いのではないでしょうか?
そこで今回は、挨拶から上手に会話を広げるための「Small Talkの3ステップ」をご紹介します。
Small Talkとは?
Small Talkとは雑談や世間話とお伝えしましたが、もう少し詳しく見てみましょう。
英英辞書で調べてみると、次のように書かれています。
Social conversation about unimportant things, often between people who do not know each other well.
出展: https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/small-talk
これを日本語に訳してみると、「重要ではないことについての社交会話で、あまり親しくない間柄の人との間でされる」といった感じの意味になります。少し堅苦しいですが、つまり「重要でない内容」についての会話なので、その日の気分・天気・最近の出来事など、内容は何でもいいのです。
ではなぜ、この「重要でない」内容についての会話が「重要」なのでしょうか?
Small Talkは、会話・レッスン・会議・商談などを円滑に進めるための「導入」として、とても重要なのです。
特にオンライン英会話では、お互いの緊張をほぐして良い雰囲気を作る上で、最初のSmall Talkがとても役に立ちます。講師によってはSmall Talkで挙がった話題を意識的にレッスンに反映することもあるので、レッスンの充実度も高まります。例えば私のレッスンでは、Small Talkで話した内容を使って例文を作ったりと、できるだけSmall Talkを活かすように心がけています。
また、英語圏では日常生活からビジネスシーンまで、Small Talkを行う機会で溢れています。実際に英語圏で上手にコミュニケーションを取るためにも、Small Talkの技術は欠かせません。 英会話上達のためにも、Small Talkはとても大切です。
挨拶から会話を広げる「Small Talkの3ステップ」
それでは実際に「Small Talkの3ステップ」を見ていきましょう。
ステップ1. Greeting Phrases / 挨拶
最初はもちろん挨拶です。
まずは、簡単な挨拶のフレーズから会話を始めましょう。
挨拶のフレーズ
- Nice to meet you / 初めまして
- It is nice to see you again / また会えてうれしいです
- Good morning / Good evening /おはよう・こんばんは
- How are you? How are you doing? How is it going? / こんにちは(調子はどう?)
- What’s up? / どうした?
挨拶への返答例
- Nice to meet you, tooなどtooをつけて「私もです」と返す
- good morningにgood morningと同じ言葉で返す
- good morning にHi, how are you? と違う挨拶の言葉で返す
- How are you? にI’m good等で返答する
- Nothing much / 特に何もないよ Same as usual / いつも通りだよ
How are you? は日本語にすると「調子はどう?」となりますが、「こんにちは」というニュアンスで使われることもあります。例えば、あなたが How are you? と聞いたら、相手がそのまま How are you? と返してくることもあります。
アメリカの都市部などで、“What’s up?” という挨拶で話しかけることがよくあります。もし”What’s up?”と話しかけられたとき、特に何もなければ、”Nothing much” や “Same as usual”と答えるのが一般的です。
ステップ2. Conversation Starters / 会話を切り出す
How are you? などの挨拶の言葉が会話の切り出しとなることもありますが、I’m good.等の返答で終わってしまった場合は、次の会話に繋げるために Conversation Starterで会話を切り出してみましょう。
「会話を切り出す」ことで、場の緊張を和らげることができます。会話の糸口を見つけることを “break the ice”といいます。会話を切り出すときに使える Conversation Starters を紹介します。
Conversation Starterの簡単なフレーズ
- How have you been? /(しばらく会っていない)どうしていましたか?
- How was your weekend? / 週末はどうでしたか?
- How was your day? / 今日はどうでしたか?
- How are things going? / 調子はどうですか?
- I like your T-shirt / あなたのTシャツ素敵ですね
How was …? は会話を切り出すのによく使われるフレーズです。
相手のことをあまり知らなければ How was your day? など一般的なことを聞いてみるといいでしょう。もし相手のことを知っている場合は、以前の会話などから「How was …?/… はどうでしたか?」と質問してみると相手も喜びます。
I like your …. のような相手を褒めるフレーズも、会話を切り出す際に使えます。素敵だなと思うものがあれば、いいね!と伝えてみることで会話が進むでしょう。
Conversation Starterの中上級フレーズ
- What are you worried about? / 何について心配しているの?
- What are you happy about?/ 何についてハッピーなの?
- What’s the most exciting thing about your …? / …について一番ワクワクすることは何?
- What’s the most terrible thing about your …? / …について一番ひどいことは何?
- What’s been the highlight of your [day, week, month] so far? / 今のところ君の(日、週、月)の見どころは何?
- Tell me about your highlights at …. / …での見どころについて話して
- What’s your biggest priority right now? / 今あなたの最大の優先事項は何?
- What’s your lowest priority right now? / 今あなたにとって一番低い優先事項は何?
まず挨拶を交わした後に、会話を切り出していますが、挨拶で相手が心配そうだったり幸せそうだったり、相手の感情が分かった場合に、最初の2つの表現が使えます。ベースになっているのは、What are you … about?「何について…なの?」なので、…の部分に、挨拶から読み取った相手の感情を入れて使います。… には、excited(ワクワクしている)や sad (悲しい)などを入れることもできます。
3番目の表現 “What’s the most exciting about your …?”は、挨拶で相手が「元気」と答えて、ワクワクしている高揚感が感じとれた場合に使います。… には、相手の関心事を入れましょう。(… の例)business、job、school、hobbyなど。挨拶を交わしただけでは、相手の感情が読み取れないこともありますが、何かしら不満を持っていることが読み取れたら、”exciting”を”terrible”に変えて使いましょう。
中上級のConversation starter では、ビジネスでもよく使う “highlights”という表現を使うこともできます。決算資料などで業績が良かった場合、「ハイライト」という表現がよく使われます。「ハイライト」をあえて日本語にすると、「見せ場・見どころ・強調部分・名場面」という感じです。日常生活の中で、毎日良いことが起きるわけでもないので、”What’s been the highlight of your week/month?”「今のところ君の(週/月)の見どころは何?」と期間を長くして聞くのも良さそうです。
相手の「ハイライト」を聞くのがためらわれるようなら、相手の「優先事項」”priority” について聞くといいかもしれません。生活する中で、みんなそれぞれに「優先事項」を持って生きているものです。
What’s your biggest priority right now?
訳)今あなたの最大の優先事項は何?
Living safely and peacefully is my biggest priority.
訳)安全で平和に暮らせることが、僕の最大の優先事項だよ。
ステップ3. Answering With A Little Information / 少しの情報を交えて答える
挨拶の後、あなたがConversation Starterで会話を切り出せば、もうsmall talkは始まっています。ではもし、先に相手がConversation Starter のような質問をしてくれたら、どのように答えればいいのでしょうか。
大抵の質問には It was good で返答できてしまいます。しかしこれでは、せっかく相手が会話を切り出してくれたのに話を広げていくことができません。
そこで How was 〇〇? のような質問に対しては、great/nice/goodなどの感想に加え、少しの情報を交えて答えるようにしてみると会話が広がります。また、褒めてもらった時も、「ありがとう」に何か一言加えて返すと良いでしょう。
Conversation Starterのフレーズへの返答例
- How have you been? /どうしていましたか?
I’ve been good. I’ve recently moved to a new place. /元気です。最近引越しをしました。 - How was your weekend? / 週末はどうでしたか?
It was great. I saw a movie called ○○. /とても良かったです。○○という映画を見ました。 - How was your day? / 今日はどうでしたか?
It was okay, there was no overtime today. / 普通の日だったよ、残業もなかったし。 - How are things going? / 調子はどうですか?
Pretty good. Things are going well. / かなりいいよ。万事うまくいっている。
It’s been a bit tough lately. / 最近ちょっと大変だよ。
- I like your T-shirt. / あなたのTシャツ素敵ですね。
Thank you. I got it recently, and It’s my favourite. / ありがとう。最近買ってお気に入りなの。
「今日はどうでしたか?」と聞かれた時、その日が平凡な1日であった場合、何を答えたらいいか困ってしまうかもしれません。しかし上記の「残業がなかった」の例のように、伝える情報はちょっとしたことで構いません。この返答に対して、「それは良かった!」と会話がひと段落することもありますし、残業というキーワードから、「いつもは残業があるのですか?」など会話を広げることもできます。
何かトピックにできるような話題があるときはもちろんですが、話題がないと思うときでも、何か一言添えて答えるように心がけるだけで、Small Talkを円滑に進めることができます。
まとめ
いかかでしたでしょうか。挨拶から会話を広げる「Small Talkの3ステップ」についてご紹介しました。はじめのうちは意識してでもSmall Talkを持ちかけてみてください。そのうちに自然にSmall Talkができるようになってきます。相手にSmall Talkを持ちかけられた場合の答え方についても紹介しました。
そしてSmall Talkができるようになると、日常生活・旅行・ビジネスなど様々な場面で活用でき、英語の上達も早くなります。「会話は言葉のキャッチボール」とよく言われるように、相手の返答によって、こちらの返しも変えていく必要があります。
- まずは挨拶をかわして、相手の体調や心理状態を確認する
- Conversation Starter(s)を使って会話を切り出す
- 少し情報を加えて答えて会話を広げる。
この3ステップを踏めば、Small Talkの達人になれるのではないでしょうか。
せっかくのオンライン英会話なので、冒頭を挨拶だけで終わらせてしまうのはもったいないです。ぜひ「Small Talkの3ステップ」を用いて、雑談・世間話を楽しんでみてください。