グローバル人材の採用では、英語面接を取り入れる企業が増えています。英語面接では、面接官自身の英語力や面接経験によって、質問の仕方や候補者の回答の受け止め方に差が出ることがあります。また、英語が流暢な候補者を高く評価してしまうなど、評価が特定の要素に偏るケースもあります。

複数の面接官が採用に関わる場合には、このような違いが採否の判断にも影響します。

面接官が共通の評価軸を持ち、候補者のどのような経験や回答を評価するのかを理解していれば、面接官による判断のばらつきを抑えることができます。そこで、本記事では面接官のトレーニングについて、紹介します。

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • 英語力と職務能力は切り分けて評価する:英語の流暢さや第一印象に評価が偏らないよう、専門性・問題解決力・主体性などは別の項目として判断します。
  • 評価項目と判断基準を共通化する:質問例・確認ポイント・評価基準をセットで共有することで、面接官による判断のばらつきを抑えられます。
  • ロールプレイで実践力を磨く:面接官役と候補者役の両方を経験し、フィードバックを次のトレーニングに反映させることで、スキルを継続的に高められます。

面接官のトレーニングが必要な理由

面接官のトレーニングが必要な理由

面接官にトレーニングが必要なのはなぜでしょうか。理由をみていきましょう。

候補者の能力を適切に見極めるため

面接では、限られた時間の中で候補者の経験や能力を把握しなければなりません。特に英語面接の場合、「英語を話せるか」という分かりやすい要素に目が向きやすくなります。しかし、実際の業務で求められるのは、英語の流暢さだけではありません。

例えば、海外のメンバーと協働するポジションであれば、相手の意見を理解する力、自分の考えを整理して伝える力、意見が対立したときに調整する力なども必要になります。そのため、面接官には「英語力」と「職務遂行に必要な能力」を切り分けて評価する視点が求められます。

トレーニングでは、質問の作り方だけでなく、候補者の回答から何を読み取るのかまで共有することが必要です。

面接の質を安定させるため

面接官によって質問の内容や深掘りの仕方が異なると、候補者から得られる情報にも差が生じます。

ある面接官は候補者の回答を詳しく掘り下げる一方で、別の面接官は用意した質問を順番に聞くだけ、ということも考えられます。これでは、候補者を同じ基準で比較することが難しくなります。

面接官トレーニングでは、質問の目的を理解したうえで、回答に応じて追加質問をする力も身につけます。面接の進め方をそろえることで、必要な情報を安定して収集できるようになります。

面接官が陥りやすいミス

面接官が陥りやすいミス

英語面接では、面接官自身の経験や主観によって、候補者の評価が左右されることがあります。ここでは、面接官が陥りやすい代表的なミスと、その背景について見ていきます。

英語の流暢さに評価が引っ張られる

英語面接で起こりやすいのが、英語の流暢さを過大評価してしまうことです。

例えば、発音がきれいでテンポよく話す候補者を見ると、「英語力が高い」「コミュニケーション能力も高そう」と感じるかもしれません。しかし、英語が流暢であることと、仕事上のコミュニケーション能力が高いことは必ずしも一致しません。

そのため、評価シートでは英語力だけを独立した評価項目として確認し、専門性や問題解決力、主体性などとは分けて評価することが良いでしょう。

面接官の主観で判断してしまう

面接では、「話しやすい」「感じがいい」「自分と考え方が似ている」といった印象が、無意識に評価へ影響することがあります。主観的な判断は、面接官によって結果が変わる原因になります。

そこで、「なぜ高く評価したのか」を説明できる評価方法にしておくことが大事です。例えば「コミュニケーション力が高い」ではなく、「意見が対立した場面で相手の考えを聞いたうえで、自分の意見を説明し、合意形成につなげた経験がある」といったように、具体的な行動を評価する基準を設定します。

評価基準を統一する方法

面接官による評価のばらつきを防ぐには、あらかじめ共通の評価基準を設定しておくことが重要です。何を評価し、どのような回答を高く評価するのかを明確にすることで、より公平で一貫した判断につなげられます。

評価項目と判断基準を明確にする

評価を標準化するためには、まず「何を見るのか」を明確にします。英語面接であれば、例えば次のような項目が考えられます。

  • 英語によるコミュニケーション力
  • 論理的に説明する力
  • 専門知識・職務経験
  • 問題解決力
  • 主体性・自律性
  • チームワーク
  • カルチャーフィット

さらに、それぞれについて「高評価」「標準」「要確認」などの判断基準を設定します。

例えば問題解決力なら、問題をどう認識し、原因をどう分析し、どのような選択肢を検討して解決策を決めたのかを確認する、といった基準を共有します。

このように評価項目を具体化することで、面接官の経験や感覚だけに頼らない評価がしやすくなります。

質問と評価ポイントをセットで共有する

評価基準をそろえるには、評価項目だけでなく、質問例と評価ポイントもセットで用意しておくと効果的です。

例えば、主体性を確認する場合、次のような質問を設定できます。

Tell us about a time when you took the initiative to solve a problem without being asked.
指示される前に、自ら問題解決に動いた経験について教えてください。

なぜその問題に気づいたのか、何を優先し、どのように判断して行動したのか、その結果どうなったのかまで確認することで、候補者の主体性を具体的に評価できます。

このように、質問→確認するポイント→評価基準を一連の流れとして共有しておけば、面接官による評価のばらつきを抑えやすくなります。

take the initiative=率先して(Weblio)

ロールプレイで実践力を高める

ロールプレイで実践力を高める

面接の知識を身につけるだけでは、実際の場面で適切に質問したり、候補者の回答を深掘りしたりすることは容易ではありません。ロールプレイ(role-play)を取り入れ、実践を通して面接官としてのスキルを磨くことが大切です。

実際の面接を想定して練習する

ロールプレイでは、面接官役と候補者役に分かれ、実際の面接に近い形で質問と回答を行います。

例えば、「職務経験を深掘りする」「問題解決力を確認する」「英語によるコミュニケーション力を評価する」といったテーマを設定し、それぞれの目的に沿って面接を進めます。

実際に質問してみると、「質問の意図が伝わりにくい」「候補者の回答を十分に深掘りできない」「用意した質問にこだわりすぎて会話が不自然になる」といった課題が見えてきます。これらの課題を実践の中で確認できることが、ロールプレイの大きなメリットです。

候補者役とフィードバックを経験する

ロールプレイでは、面接官役だけでなく候補者役も経験することが重要です。候補者の立場になると、質問の分かりやすさや面接官の話し方、反応の仕方などを客観的に体感できます。

例えば、回答している途中で面接官が反応しなかったり、質問の意図が分かりにくかったりすると、候補者は「自分の回答が伝わっていないのではないか」と不安を感じることがあります。

このような経験は、実際の面接で候補者にどのような印象を与えているのかを考えるきっかけになります。また、ロールプレイ後には、講師やほかの面接官からフィードバックを受けます。

「質問は適切だったか」「必要な情報を引き出せたか」「英語力に評価が偏っていなかったか」「候補者の回答を客観的に評価できていたか」などを振り返ることで、面接官自身の課題が明確になります。

一度の研修で終わらせるのではなく、実際の面接で得た気づきを次のトレーニングに反映させることで、面接官のスキルを継続的に高めることができます。

role-play=役割を演じる(英辞郎)

よくある質問

なぜ英語面接では面接官のトレーニングが必要なのですか?

面接官の英語力や経験によって、質問の仕方や評価に差が出やすいためです。英語の流暢さに評価が偏ることもあります。共通の評価軸を持つことで、判断のばらつきを抑えられます。

英語の流暢さに評価が引っ張られないようにするには、どうすればよいですか?

評価シートで英語力を独立した項目として設け、専門性や問題解決力、主体性などとは分けて評価します。具体的な行動をもとに判断する基準を設定することも有効です。

面接官トレーニングでロールプレイを行うメリットは何ですか?

実際の面接に近い形で練習することで、質問の伝わりにくさや深掘り不足などの課題を確認できます。候補者役も経験すると、面接官の話し方や反応が候補者に与える印象を客観的に体感できます。

まとめ

英語面接の質を高めるには、面接官一人ひとりの経験や感覚に任せるのではなく、評価する項目と判断基準を共通化することが大事です。

特に英語面接では、英語の流暢さや第一印象だけで評価しないよう、職務経験や専門性、問題解決力、主体性などを具体的な行動から判断できる仕組みを整える必要があります。

そのためには、質問と評価ポイントを共有するとともに、ロールプレイを通して実践的なスキルを身につけることが有効です。

面接官トレーニングは面接技術の習得だけではなく、採用基準を組織全体で共有し、面接の質をそろえるための仕組みとして活用することが、採用の精度を高めることにつながるでしょう。

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anna 英語教育コンテンツライター / English Education Content Writer
新聞記者としての取材・執筆経験を経て、英語教育分野を中心に活動するライター。英文学専攻および国際交流経験を活かし、英語学習や異文化理解に関する情報を発信している。