英会話講師をしていると、よく英語学習の相談を受けます。相談の中でも多いのが、リスニングの鍛え方についてです。リスニングを鍛えるためには、「たくさん英語を聴く」ことが大事ですが、何を聞いたらいいのか分からないという方が多いです。

試験などに向けて勉強されている方は、テキストに付属しているリスニング教材や、試験に特化したものが良いと思います。

では、一般的な英会話のリスニングを鍛えたい場合は、どういった教材が向いているのでしょうか。すべての人に当てはまる完璧な教材は無いのですが、リスニング教材を選ぶポイントはいくつかあります。

今回は、リスニング教材選びのポイントと、私がお勧めする無料教材をご紹介します。

リスニングを鍛えるには

インプットの「リスニング」「リーディング」

まず、リスニングの鍛え方についてお話しします。

リスニングを鍛えるために「ただ英語を聴き流す」だけでは、なかなか英語を聞き取れるようにはなりません。また「リスニングができるようになるにはリーディングやスピーキングを先に鍛えなければいけない」という考え方もあります。しかし私は、リスニング・リーディング・スピーキングどれもできるだけバランスよく取り組んでいく必要があると思っています。

リスニングを鍛える上で大事なことは、自分に合った教材を見つけて継続的に「多聴」することです。継続的にリスニングに取り組むことで、まずは単語やフレーズを聞き取れるように、そして聞きながら内容がイメージできるようになることを目指しましょう。

Aさん
I often hear about extensive reading, but there is also extensive listening.
訳)「多読」はよく耳にするけど、「多聴」というのもあるのですね。
Bさん
This is the first time I hear about extensive listening, but I think it must work.
訳)多聴について聞くのは初めてだけど、それはきっと機能するに違いないと思うよ。
Aさん
Extensive listening is a language learning approach that involves listening a large volume of relatively easy, enjoyable materials for general understanding and pleasure.
訳)「多聴」とは、一般的な理解と楽しみのために、比較的簡単で楽しい教材を大量に聴く語学学習法です。

自分に合った教材を見つける

リスニングを継続して多聴を目指すには、自分に合った「楽しく」「聴きやすい」教材を見つけることが大事です。自分の直感を信じて、自分の耳に優しい教材を見つけましょう。ここでは、教材選びのポイントをご紹介します。

自分のレベルに合ったもの

原稿などは見ずに一度リスニング教材を聴いてみて、半分以上理解できるものを選ぶと良いと思います。原稿を見直せば内容を理解することができるとしても、半分以上分からない状態では、リスニング自体を楽しむことが難しいと思います。

ですので、話し方やスピードなどにも注意して、「主題は分かったけれど、細かい説明が聞き取れなかった」ぐらいの教材が丁度よいです。

興味のある内容

できるだけ自分の興味のある内容のリスニング教材を選ぶことが、継続につながります。インターネットの発達した現代では、様々なものをリスニング教材として使うことが可能です。

例えば、ニュース・YouTube・ラジオ(Podcast)・TED・有名人のスピーチやインタビュー動画等々。リスニング教材としてどれが優れているのかではなく、自分がどれを聴いてみたいと思うかが大事です。そして、聴いてみたい内容から、自分のレベルに合ったものがないか探してみましょう。また、リスニングすることによって、英語以外のことも学べそうなものを選ぶと学習の幅が広がります

手軽さ

最後に、意外に大事なことが「手軽さ」です。例え素晴らしいリスニング教材を見つけても、忙しい日常の中で、机の前に座って時間をとるというのは中々難しいものです。

通勤通学の途中にも聴くことができるように、携帯電話やタブレットで聴けるものを選ぶか、聴けるように設定しましょう。

Aさん
There are three key points in selecting listening materials.
訳)リスニング教材を選ぶ上で、3つのキーポイントがあります。
Bさん
First, select something that is appropriate for your level. Second, select something that interests you, and third, select something that you can easily listen to.
訳)まず、自分のレベルに合ったものを選ぶこと。次に興味を持てるものを選ぶこと。3番目に手軽に聴けるものを選ぶことです。

お勧めの無料リスニング教材

英検2級に必要なリスニングスキル

私がインターネット上で見つけた、お勧めの無料リスニング教材(マテリアル)を特徴と共にご紹介します。

  • ESL FAST English Conversations
    https://www.eslfast.com/robot/
    あまり英語に自信のない方にもお勧めなのが、様々なシチュエーションの英会話を聴ことができるこちらのサイトです。まず、スクリプトを隠して英語だけを聴いててみましょう。その後、聞き取れなかった箇所をスクリプトを見て確認しましょう。このサイトの特徴は、一つの会話の内容に対して、2-3通りの言い方が紹介されている点です。日本語も同じですが、同じ内容を伝えようとした場合も、人によって言い方は変わってきます。このサイトでどのように言い換えがされているのか見てみると興味深いと思います。是非自分が使いそうなシチュエーションを選んで聴いてみてください。
  • BBC 6 Minute English
    http://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/features/6-minute-english/ep-180628
    時間があまりとれない人にお勧めなのが、BBCが英語学習用に提供しているこのサイトです。週ごとに内容が変わりますが、なんといっても内容が毎回興味深いので、英語だけでなく様々なことを学べます。会話のやりとりの中で、イギリス人の機知が感じられます。Podcastとウェブサイトの両方があり、分からない箇所はウェブサイトの原稿から確認することができます。また、難しい単語は、ラジオの中で意味を英語で説明してくれるので、辞書を引かなくても理解できる場合があります。内容が面白いので、私も料理をしながらなど、隙間時間に6分聴いています。
  • Storynory
    https://www.storynory.com/
    こちらは子供も大人も楽しめるストーリーの読み聞かせサイトです。Podcastとウェブサイトの両方があり、まずはウェブサイトで原稿と共に聴いてみて、その後Podcastで聞き返してみると良いと思います。どのストーリーも5-10分程度なので、あまり時間をとらずに聴くことができます。子供用なので、ゆっくりはっきりそして抑揚をつけて読んでいるので、とても聞き取りやすいです。たくさんのストーリがあるので、お気に入りのストーリーを見つけてみてください。
  • NHK WORLD – JAPAN
    https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/
    NHKのニュース動画が見られて、英語表現も学べます。Top Newsをチェックするだけで、最新のニュースを英語で何と表現すればいいかが分かります。英語のスクリプトも動画の下についているので、話している英語を確認できます。日本国内のニュース、世界のニュースなど、主なニュースはここでチェックできますよ。英検の上位級(2級以上)では、時事的な問題もよく取り上げられていますが、日頃からニュースをチェックしていないと、まずFact (事実)を知らないし、それを英語で何と表現していいのかも分からないし、歯が立ちません。
  • VOA Learning English
    https://learningenglish.voanews.com/z/987
    Voice of Americaの英語学習サイトは、英語学習者向けのリスニングコンテンツを提供していますが、その中でも、WORDS AND THEIR STORIESを紹介します。ニュースなどに比べて読むスピードはゆっくりめですが、ネイティブでないと知らないような単語やイディオム情報を英語で分かりやすく説明しています。1つのストーリーが4、5分で、それぞれの話に起承転結があるので、聞きやすいです。

今回紹介した上記の5つのサイト以外にも、リスニング教材として使えるものは、TEDなどおすすめのリスニング教材はたくさんあります。いろいろ試してみて、自分に合ったものを是非見つけてください。

まとめ

リスニングの鍛え方と、リスニング教材選びのポイントについてご紹介しました。試してみたいと思った無料のリスニング教材はありましたでしょうか。初めて聴いた時は100%理解できなくても、7割か8割以上聞き取れたら、自分のレベルに合っている教材だと言えるでしょう。

「多聴」extensive listeningについて冒頭に説明しましたが、比較的簡単で楽しいと思える教材をたくさん聴くことを目指しましょう。英語を聞いた時にある程度理解できるものを使ってリスニングの学習を始めないと、学習を継続できませんし、楽しいと思えないと学習を続けていくのは厳しいでしょう。

リスニング力を本当に伸ばすためには、多聴が必要です。4技能のバランスが取れた英語力を伸ばしたいなら、「多読」と同様に「多聴」にも注意を払ってみてはいかがでしょうか。英語圏の国では、日常生活全般で英語がふつうに使われています。英語圏の国に留学して、リスニング力やスピーキング力が伸びるのは、生活していく中で、英語を聞いたり話したりせざるを得ない状況に追い込まれるからです。日本では、英語教育がさかんになってきたとはいえ、日常生活で英語を使う機会は本当に少なく、英語は学校の試験、仕事や外国人のもてなしのための言語という感がぬぐい切れません。

また、リスニングを鍛えるために多聴する際、「ストーリーだけ」「ニュースだけ」のように1つの教材を聴き続けるのではなく、できれば2-3個の違った教材を交互に聴いてみるとリスニングの幅が広がると思います。リスニングの幅を広げることで、「多聴」extensive listeningが実現されて、英語の4技能の一つリスニング力が伸びることが期待できます。

この記事を参考に、皆さんが楽しめるリスニング教材を見つけて頂けたら幸いです。