“truth”と”fact”は両方とも「本当のこと」という意味を持つ英単語ですが、実際は全く同じ意味ではありません。

本記事では”truth”と”fact”の意味の違いや、使い方、関連した英語表現を解説します。

“truth”の意味

“truth”は「真実」「真実性」という意味の名詞です。

実際に起こっていなくても嘘偽りのない正しいこと、自分が正しいと信じていることです。

何が”truth”かは、主観的で人によって異なります。

では実際にどのように使われるか見てみましょう。

Aさん
To tell the truth, I don’t feel like going out today.
訳)本当のことを言うと、今日は出かけたくないの。
Aさん
To tell you the truth, I don’t trust him at all.
訳)実は彼のことは全く信用していないんです。

“To tell the truth”、”To tell you the truth”(youは省略できる)は「本当のことを言うと」「実は」という意味で、会話に頻繁に使われます。

今日は出かけたくない、彼を信用していない、これは「主観的な、自分が思う本当のこと」です。

よって”truth”を使います。

“The truth is” も同様に「実は」の意味で使われます。

Aさん
The truth is that things are getting worse.
訳)実を言うと、事態は悪化しています。

“The truth is” は“The thing is” と言い換えることもできます。

Aさん
The thing is, it’s not my cup of tea.
訳)実はそれはあまり好きではないんです。

他に”truth”を使った例文を見てみましょう。

Aさん
I doubt the truth of it.
訳)それが本当かどうか疑わしいです。

 

Aさん
Please tell me the truth.
訳)本当のことを話してください。

 

Aさん
I swear to tell the truth, the whole truth, and nothing but the truth.
訳)真実、すべての真実、そしてただ真実のみを証言すると誓います。

アメリカの法廷映画でこのようなシーンを見たことはありませんか?

アメリカの裁判では、証人は裁判官の前でこのように誓います。

Aさん
There is no truth in the rumors.
訳)そのうわさに真実性はありません。

 

Aさん
An Inconvenient Truth
訳)『不都合な真実』

2006年のアメリカ映画です。

地球温暖化について良くない真実が暴かれるという映画でしたね。

“truth”を含む表現

"truth"を含む熟語

“stretch the truth”「大げさに言う」

“stretch”は「伸ばす」という意味で”truth”「真実」を自分の都合のいいように伸ばして大げさに言うということです。

Aさん
She was accused of stretching the truth about how much she had helped in the project.
訳)彼女はそのプロジェクトにいかに貢献したのかを誇張して、非難されました。

”bent the truth”「ちょっと嘘をつく」

“bend”「曲げる」という意味なので、「事実を曲げる」「嘘をつく」ということです。

しかし重大な嘘というより、ちょっとした嘘、少し事実と異なるという感じで害のない嘘のことです。

Aさん
When he tells people he’s from Tokyo he’s bending the truth a little since he really grew up in Saitama.
訳)彼は東京出身だと言いますが、それはちょっとした嘘です。というのも実際は埼玉で育ったのですから。

”half truth”「一部だけが真実の言葉(話)」「半端な真実」

個々の内容は嘘ではないが、都合の悪い事実を省いた事実のことです。

Aさん
The article is full of lies and half-truths to deceive the public.
訳)その記事は国民をだますための嘘と、都合のよい真実だらけです。

”post-truth”「ポスト真実の」「真実が無関係になった後の」(形容詞として使われます)

トランプ元大統領が出馬した大統領選でブームになった言葉です。

“post”は「〜以降、〜後」という意味の接頭語なので、「真実以降の」という意味です。

オックスフォード辞書によると「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」とのことです。

Aさん
In this post-truth era, science is needed more than ever.
訳)現在のようなポスト真実の時代には、今まで以上に科学が必要とされています。

形容詞 “true” の意味と使い方

形容詞 "true" の意味と使い方

名詞 “truth” の意味と使い方について解説したので、次は、その形容詞 “true” の意味と使い方について見ていきましょう。

”true” 「本当の、真実の」

”true”の一番目の意味は、 「本当の、真実の」です。実際にどんなふうに使われるかを見ていきましょう。

Aさん
The rumor that the celebrity got married is true.
訳)その有名人が結婚したという噂は本当だ。

Aさん
Few people know the true meaning of work ethics.
訳)「労働倫理」の真意を知っている人は少ない。

“true meaning” は、「真意」(真の意味)という意味です。

Aさん
It is true that time is money.
訳)「時は金なり」というのは、本当です。

”true”が名詞の前について意味を成すことが多いですが、その意味が予想しづらい表現があるので、紹介します。

  • (one’s) true colors  「~の本性、本質」
  • true picture「真実の描写」
  • true reflection  「正しい反映」

上から順に、例を挙げて説明します。

Aさん
You will really see your friends’ true colors when you are in trouble and ask them for help.
訳)トラブルに遭って、友人に助けを求めたとき、友人の本性が見えるだろう。

Aさん
I don’t think he gave a true picture of what had happened in the accident.
訳)彼がその事故で起きたことの真実の描写をしたとは思えない。

Aさん
I don’t believe these test results are a true reflection of your abilities.
訳)これらのテスト結果が、あなたの能力の正しい反映だとは信じていない。

”true” 「正直な、誠実な」

Aさん
The refugee girl told the journalist her true feelings.
訳)その難民の少女は、ジャーナリストに自分の正直な気持ちを話した。

Aさん
In the end, the most important thing is to be honest to yourself.
訳)結局のところ、一番大事なことは、自分に正直であることだ。

上記2つのの文で、 “true” は、”honest”に近い意味で、「正直な」という意味になります。

”true” 「正しい」

Aさん
The test had a lot of true or false questions.
訳)そのテストは、たくさんの正誤問題を持っていた。

“true” には、”correct” 「正しい、間違いない」の意味もあります。

“true” の反対語は “false” で、”true or false questions” だと「正誤問題」という意味になります。

”true” 「~にあてはまる」

Aさん
This is true of any interview case.
訳)これは、どのようなインタビュー事例にもあてはまる。

“be true of ~” または “be true for ~”で「~にあてはまる」という意味になります。

“fact”の意味

"fact"の意味

つぎに”fact”の意味を見ていきましょう。

“fact”は「事実」「現実」という意味の名詞です。

実際に起こった個々の事実です

客観的で誰が見ても”fact”は同じです。

Aさん
The movie is based on facts.
訳)その映画は事実に基づいています。

 

Aさん
I want hard facts.
訳)確かな事実が知りたいのです

 

Aさん
Is it a fact that you won the lottery?
訳)宝くじに当たったというのは事実ですか?

“fact”を含む表現

cheating

”As a matter of fact”「実のところ」

Aさん
Yes, I know him. As a matter of fact, we work for the same company.
訳)ええ、彼のことは知っていますよ。実のところ同じ会社で働いています。

すでに話した内容に相手が驚くような情報を補足するときに使います。

Aさん
Are you voting Labour again?” “No, as a matter of fact, I’m thinking of voting Conservative.
訳)また労働党に投票するのでしょう?いや実はむしろ保守党に入れようと思っています。

このようにすでに話したことを反論、訂正するときにも”as a matter of fact”を使います。

”in fact”「実際に」「つまり」「むしろ」

すでに話した内容を強調したり、要約したり、否定するときに使います。

Aさん
I like Osaka. In fact, it’s my hometown.
訳)大阪が好きなんです。実際大阪出身ですし。

 

Aさん
The ad says it’s a bargain, but in fact it’s really expensive.
訳)広告ではお買い得だと言っているけれど、それどころか高すぎます。

“a fact of life”「人生の現実」

「(避けることのできない)人生の現実」という意味です。実際の使い方を見てみましょう。

Aさん
We should accept getting wrinkles because of aging as a fact of life.
訳)私たちは、加齢のためシワができることを人生の現実として受け入れるべきだ。

“the facts of life”「人生の現実、性知識」

”a fact” が “the facts” に変わると、「人生の現実」という意味だけでなく、「性知識」という意味で使われることがあります。

Aさん
They decided to have a talk with their daughter about the facts of life because she was old enough to understand them.
訳)娘が人生の事実を理解できる年頃になったので、彼らはそのことについて娘と話し合うことにした。

“fact-check”「事実確認する、裏取りする」

“fact-check”は、動詞として「文章、ニュース記事、スピーチなどに書かれている事実がすべて正しいかどうかをチェックする、裏取りする」という意味でよく使われます。名詞形にする場合は、”fact-cheking”となります。

Aさん
Newspaper reporters must fact-check their articles to ensure that all the facts are correct.
訳)新聞記者は、記事の内容がすべて正しい事実なのか事実確認しなければならない。

”I know for a fact that ~”「間違いなく~だ」「絶対~だ」

直訳で「〜のことを事実として知っている」という意味になり、事実といえるくらい確信しているという意味です。

Aさん
I know for a fact that Bob is cheating me.
訳)絶対にボブは浮気しているわ

まとめ

似た意味を持つ”truth”と”fact”の意味の違いや使い方、関連表現を解説しました。

その2語は日本語にすると「真実」と「事実」で、同じような意味でとらえがちですが、英語では意味に違いがあります。

英単語の意味を調べるときは英和辞典で単語の意味だけを調べるだけでなく、例文を読んでその単語がどのように使われるか注意してみましょう。

できれば英英辞典でも調べてみてください。

日本語では説明しづらいネイティブの感覚がわかり、理解がいっそう深まります。