「英語で何て言う?」コーナー、今回は「come」についてです。
朝ごはんよ!
今、行くよ。
映画や海外ドラマをよく見る方は、この“I’m coming.”という表現を度々耳にしたことがあると思います。
でも…
なんで「来る」という意味の「come」を使うの?
「行くよ」なんだから、“I’m going!”じゃないの?
と思ったことありませんか。
英語の「come」はどんなイメージで使われているのでしょうか。
今日は、日常生活でも頻繁に使われるこの言葉について掘り下げてみましょう。
「come」にはどんな意味がある?
「come」の最も一般的な意味は、「来る、やってくる」です。「(目的地や場所に)着く、訪れる、届く」という意味もあります。
また、「(時や季節が)やってくる、めぐってくる、(ある位置に)来る」という意味でも使われます。
子どもたち、こっちに来なさい。
むすこが走って家に帰ってきました。
冬が終わり、春がやってきました。
そして、ここが分かりにくいところなのですが、「come」には「(話し相手の方へ)行く、(だれかといっしょに)行く」という意味もあります。
よかったらいっしょに行かない?
英語の「come」は、相手(対象)との距離が近づくことを意味します。相手のいる場所を心に描いて、自分がそこにやって来るというイメージです。
冒頭の例文で、もう一度考えてみます。
朝ごはんよ!
今、行くよ。
“I’m coming.”と言った子どもは、Aさんのいる場所へ近づくので、「come」を使っているのです。
一方、「go」は相手との距離が離れるイメージです。”I’m going.”は、今いる場所からもAさんからも離れることになるので、「出かけるよ」という意味になってしまいます。
日本語は、近づく・離れると言う距離に関わらず、どこかへ向かって動くことを「行く」と表現するため、”I’m coming.”は、「今、行くよ」と訳すのが自然です。
つまり、日本語の「来る・行く」は、相手との距離感は関係ないけれど、英語の「come」は相手と距離が近づくかどうかがポイントなのです。
この英語と日本語の違いが、「come」を使う時の一番の注意点です。
「come」は使える慣用表現がたくさん!
相手と距離が近づくというイメージの「come」には、日常会話で使いやすい言い回しが多くあります。いくつかご紹介しましょう。
- 「+形容詞」
- 「…になる」
ねじがゆるんでるよ。
- 「+ to…」
- 「…するようになる」
由香とはどうやって知り合ったの?
※「to」の後には、「know」「think」「understand」などの認識を表わす動詞が続き、それ以外の動詞では「…しにくる」という意味になります。
明日遊びにこない?
※「遊びにくる」は「come to play」とは言いません。「come to see」、「come and see」で表わします。
※「come to…」の代わりに「become」は使えません。「become」の後には形容詞か名詞のみです。
「come to…」は「(合計・結果が)…になる」というときにも使います。
お勘定は合計で12,000円になります。
- come back(=return)
- 帰る、もどる
東京にはいつもどる予定ですか。
- come from
- …の出身である(=be from)、(物が)…からできる、…に由来する
※必ず現在形で使います。
“Where are you from?” “I’m from Tokyo.”のほうがよく使われます。
operaという語はイタリア語からきています。
- come home
- 帰宅する、帰国する
昨夜は家に帰ってくるのがとてもおそかったです。
- Come on!
-
(口語) がんばって、さあこい
早くして、さっさとして
まさか、うそだろ
がんばって、もう少しよ。
さあ早く、バスにおくれるから。
- come out
-
現れる、(病院を)退院する、外出する
(本などが)発売される、(映画などが)公開される
(写真が)写っている
(事実などが)明らかになる
雲の間から月が現れました。
家族連れがレストランから出てきました。
彼の新しいCDは来月発売されます。
選挙の結果はまもなくわかります。
- come up
-
(自分の方に)来る、(come up toで)…に近づく
(問題などが)起こる
(会話・会議などで)話題になる、(テストなどに)出る
(ふつう進行形で)…が近づいている
(予期しないことなどが)起こる
チームメイトがぼくの方にやってきました。
前回の会議で似たような話題が出ました。
期末テストが近づいています。
きのう大問題が生じました。
- How come…?
- (あとに主語+動詞を続けて)どうして…なの?
どうして電話してくれなかったの?
※「Why…?」よりも口語的で、「How come?(どうして?)」だけでも使います。
まとめ
「come」は日本人にとっても馴染みの単語ですが、改めて考えてみるとなかなか奥深い言葉ですね。
他国の言葉を学ぶときは、つい自国の言葉に変換して覚えてしまうものですが、「訳」というのは、どこまでいっても「訳」です。
「come」 =「来る」と覚えてしまうことは簡単ですが、大事なのは「come」を使っている国の人たちがどういうイメージを持っているのかを理解することです。言葉を覚えるときには、イメージをしっかり把握することが、最も効果的な覚え方です。どこかで「come」に出会ったときは、ぜひ今日覚えた「come」の「近づいていく」イメージを思い出してみてくださいね。
では、次回をお楽しみに!
参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行(株式会社学研プラス)