この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「魚」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。

水中を生きる「魚類」は、脊椎動物から四肢動物を除外した動物群です。基本的にエラで呼吸を行い、ヒレで水中を移動します。魚類の体の表面は鱗で覆われており、これは外敵から体を守るための鎧の役割を持っています。

現在の最大魚類は「ジンベエザメ」だと言われており、過去には13.7メートルもの大きさのジンベエザメの生息が記録されています。

そんな「魚」のつく「ことわざ」を今回は5つ選んで英語に訳しました。

1. 魚心あれば水心

「魚心あれば水心」とは、相手が友好的になると、こちらも友好的になることをいいます。魚と水の親和性が高いことから、魚に水を想う心があれば、水も魚を想うようになるという話が由来となっています。

英語では直訳すると、

“If fish is kind to the water, the water will be kind to the fish.”

と表現することができます。
文字通り「魚が水に親切なら、水もその魚に対して親切だろう」という意味です。

別の英語表現を使うなら、このように表現できます。

“Scratch my back, and I’ll scratch yours.”

「私の背中を掻いて、そしたら私もあなたの背中を掻いてあげるよ」

Aさん
I’ll give you a discount if you recommend my services to your clients.
訳)あなたのクライアントに私のサービスを薦めてくれたら、割引をしますよ。
Bさん
Sounds fair. Scratch my back, and I’ll scratch yours.
訳)フェアに聞こえるね。魚心あれば水心だよ。

2. 逃がした魚は大きい

2. 逃がした魚は大きい

一度手に入れたものを失うと、惜しさのあまり特別に良いものに思えることを「逃がした魚は大きい」といいます。恋人と別れたものの、時間が経って「やっぱり……」と惜しいと感じた時などに使用する「ことわざ」です。

英語では

“The fish that got away is always big.”

と翻訳することができます。

“get away”は「~逃げる」という意味で、”got away”は”get away”の過去形です。

fishの部分を “one”に変えると、魚に限らず、手に入れていたのに、逃げてしまったものについて広く使えます。

Aさん
Sometimes I wonder what would have happened if I had said yes to Ethan.
訳)時々、イーサンにイエスと言ってたら、何が起きてたかなと思うよ。
Bさん
You mean the guy with the motorcycle?
訳)モーターバイクの男性の話をしてる?
Aさん
Yeah… I’m  talking about him.
訳)ええ。彼について話してるよ。
Bさん
The one that got away is always big, huh?
訳)逃がした魚は大きいだね。

3. 魚は殿様に焼かせよ 餅は乞食に焼かせよ

3. 魚は殿様に焼かせよ 餅は乞食に焼かせよ

「魚は殿様に焼かせよ 餅は乞食に焼かせよ」は、魚は形が崩れやすいので、焼く時には殿様のようにおっとりした人が適任で、反対に焦げやすい餅を焼く時にはせっかちな人が適任であることを現した「ことわざ」です。

つまり、仕事は適任の人にさせるのが一番良いという意味を持っています。「四字熟語」で言うならば「適材適所」ですね。

英語では

“Burn the fish by the lord, burn a rice cake by a beggar.”

と翻訳することができます。

“lord”は「君主」や「支配者」を意味しており、ここでは殿様を意味します。”beggar”は「物乞いをする人」という意味の英語です。「魚は殿様に焼かせて、餅は乞食に焼かせせよ」ということわざの意味は、理由を聞けばわかるけど、理由を聞かないと、その発想に至るのは難しいよと思われるかもしれません。

ちなみに、「適材適所」を英語にすると、”the right person in the right place” または ”the right person for the job”です。「適材適所」を使った会話文を紹介します。

Aさん
I’m not sure I should be playing defense.
訳)私はディフェンスでプレイすべきなのかよく分からないです。
Bさん
Trust me—you’ve got the talent for defense. You’re the right person in the right place.
訳)僕を信じて。君にはディフェンスの才能がある。君は適材適所だよ。

“the right person in the right place”は使えるシチュエーションが多いので、そういったシチュエーションに遭遇したら、ぜひ使ってみましょう。

4. 猫の魚辞退

4. 猫の魚辞退

「猫の魚辞退」は、猫が大好物の魚を差し出されて、断るはずがない!という意味から、本心は隠し、うわべを繕って辞退することを現した「ことわざ」です。また、見栄を張ってその場は辞退しても、そう長くは続かないことを例えています。

英語では

“A cat declines fish.”

と翻訳することができます。

“decline”は主に「減少する」という自動詞でも使用されますが、ここでは他動詞の「~を断る」として使用しています。

このことわざを使った会話文をチェックしてみましょう。

Aさん
Did you hear? Jason turned down that promotion.
訳)ねえ、聞いた? ジェイソンが昇進を断ったんだって。
Bさん
What? Jason? A cat declines fish? That’s unbelievable.
訳)なんだって? ジェイソンが? 猫の魚辞退? それは信じがたいことだね。
Aさん
When I asked him about it, he told me he had turned it down for some reason. He pretended to be fine.
訳)そのことについて彼に聞いたら、ある事情で断ったと言ってたよ。大丈夫だと装ってた。
Bさん
He will surely regret that. 
訳)彼はきっと後で後悔するだろうね。

5. 水清ければ魚棲まず

元々は「清らかな水には餌となるプランクトンがおらず、魚は生息することができない」という意味ですが、そこから転じて、「清廉すぎるとかえって人に疎んじられる」という意味で使われています。

英語では、

“Those who are too innocent will be shunned and isolated.”

と翻訳することができます。

“shun”:「(人を)避ける、遠ざける」
“isolated”:「孤立した」

Aさん
In literature, as in life, the purest characters rarely survive.
訳)文学の世界でも、人生と同じように、純粋な人物が生き残ることはめったにない。
Bさん
I see. But why?
訳)なるほど。でも、なぜ?
Aさん
Because those who are too innocent will be shunned and isolated. Innocence makes others uneasy.
訳)あまりに無垢な者は敬遠され、孤立してしまうからだよ。無垢さは他人を不安にさせるよ。

まとめ

今回は、「魚」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。「魚」を使ったことわざは意外とたくさんありますが、馴染みのあることわざも含まれていたのではないでしょうか。

英会話でことわざに触れる機会はあまり多くないかもしれませんが、そのことわざがピッタリあてはまるシチュエーションに遭遇することもあるでしょう。そういった場合に英語でことわざを説明できるといいですね。

英語も覚えたばかりの「新鮮」なうちに復習するのが肝! 繰り返し単語やフレーズを覚えることで、その後の知識に繋がっていきます。

今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!