現代の食事は昔と比べて種類が豊富で、栄養価も高い反面、様々な食品添加物などの影響で、特定の食品に対するアレルギー反応を起こす子どもが急増して、大きな社会問題になっています。

世界各国ではどのようなアレルギー食品があり、またどのような対策があるのかを見てみましょう!

アメリカ

アメリカはアレルギー対応の最先進国の一つです。以下はアメリカで表示が義務化されている食品アレルギーの原材料です。

  • 乳製品 (dairy products)
  • 卵 (egg)
  • 魚類 (fish)
  • 甲殻類 (shellfish)
  • ナッツ類 (nuts)
  • 落花生 (peanuts)
  • 小麦 (wheat)
  • 大豆 (soybean)

アメリカでは、原材料の「類」も明示されます。

例えば、魚類が含まれている場合、「魚が入っている」と表示されます。

アメリカでは、学校でのアレルギー対策が重要なテーマとなっています。

実際に、ピーナッツアレルギーを持つ子供が学校でピーナッツ製品を摂取したことにより、重篤なアナフィラキシーショックを起こすケースが多く報告されています。

これを受けて、アメリカの多くの学校ではピーナッツ製品を含む食品の提供を制限し、教室やカフェテリアにはピーナッツフリーゾーンを設ける動きが広がっています。

EU(ヨーロッパ)

EU(ヨーロッパ)

EUは多様な国々があり、アレルギー表示も細かく規定されています。EUで表示が義務化されているアレルギー原材料は以下の通りです。

  • グルテン含有穀類 (Cereals containing gluten)
  • 甲殻類 (Crustaceans)
  • 卵 (Egg)
  • 魚 (Fish)
  • ルーピン (Lupin)-マメ科の植物で食用以外に観賞用にも栽培される
  • 乳 (Milk)
  • 軟体動物 (Molluscs)
  • マスタード (Mustard)
  • 木の実 (Nuts)
  • ピーナッツ (Peanuts)
  • ゴマ (Sesame seeds)
  • 大豆 (Soybeans)
  • セロリ (Celery)
  • 二酸化硫黄・亜硫酸 (Sulphur dioxide and sulphites)

EUの表示は14品目にわたり、意外なものも含まれています。

イギリスでは、特に食品アレルギーに対する対策が進んでいます。

2014年には、14歳未満の子供を対象にした食品アレルギー法が導入され、飲食店や学校など公共の場でのアレルギー情報提供が義務付けられました。

この法律の下、飲食店ではアレルギー情報を提供する義務が生じ、学校ではアレルギー情報を保護者と共有し、安全な食事提供を行うようになっています。

オーストラリア・ニュージーランド

オーストラリア・ニュージーランド

オーストラリアとニュージーランドは独自の生態系を持ち、食品表示にも注意が払われています。表示が義務化されているアレルギー原材料は以下の通りです。

  • ピーナッツ (Peanuts)
  • ナッツ類 (Tree nuts)
  • 乳製品 (Milk)
  • 卵 (Eggs)
  • ゴマ (Sesame)
  • 魚類 (Fish)
  • 甲殻類 (Shellfish)
  • 大豆 (Soy)
  • 小麦 (Wheat)
  • ルーピン (Lupin)

オーストラリアではナッツ類が入ってしまう可能性がある場合、「ナッツ類が含まれる可能性がある」と表示されています。

日本

日本では、子どものアレルギー対策に注力されています。以下のような対策をとっています。

食物アレルギー
Food Allergy

食物アレルギーは、特定の食品を摂取した際にアレルギー反応が起こる症状です。日本では、特に小麦、卵、乳製品、大豆、ピーナッツなどの食物アレルギーに注意が払われています。

食物日記をつけて、症状が出た原因食物を特定することが重要です。また、食物依存性運動誘発アナフィラキシーFood-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxisという症状にも注意が必要です。これは、食物を摂取した後に運動をすることでアレルギー症状が引き起こされる現象です。

花粉症と食物アレルギーの関連
Relation Between Hay Fever and Food   Allergy

「口腔アレルギー症候群(OAS)」と呼ばれる現象があります。花粉症と食物アレルギーが関連しており、特定の果物や野菜を食べると口の中や唇がかゆくなることがあります。例えば、シラカンバの花粉症があれば、リンゴやモモ、ピーナッツ、大豆などの食物アレルギーが起こる可能性があります。

診断と対策
Diagnosis and Countermeasures

  • アレルギー症状が出たら、アレルギーに詳しい医師に診察してもらいましょう。問診や血液検査、皮膚テストを行い、原因食物を特定します。
  • 食物経口負荷試験 Oral Load Testを行って最終的に診断されることもあります。運動や睡眠不足、ストレスなどにも注意しましょう。
  • 日本でも、学校や幼稚園でのアレルギー対策が進んでいます。例えば、特定の食品アレルギーを持つ子供がいる場合、学校ではその食品を提供しないように工夫されています。また、子供のアレルギー情報を保護者や教職員が共有しやすいようにするため、アレルギーカードを導入する学校も増えています。

日本では、子どものアレルギー対策に積極的に取り組まれており、適切な診断と対策が行われています。

世界各国では、子供のアレルギー対策を強化するために、法律や規制の整備だけでなく、教育や情報提供の充実、アレルギー情報の共有など、様々な取り組みが行われています。

しかし、まだまだ課題も多く残されており、今後も継続的な取り組みが求められています。

アナフィラキシーショックとは?
What is Anaphylactic shock?

アナフィラクシーショックは、急性の全身性アレルギー反応の一種であり、生命を脅かす重篤な状態です。

アレルギー反応が過剰に進行し、免疫系が全身に広がってしまうことが特徴です。

症状は急速に現れ、通常はアレルゲンに曝露してから数分から数時間以内に発症します。一般的な症状には以下のようなものが含まれます。

  1. 皮膚症状 Skin Condition:発赤、じんましん、かゆみ、蕁麻疹(じんましん)などが起こります。
  2. 呼吸器症状 Respiratory Symptom:息切れ、喉の腫れ、声のかすれ、呼吸困難などが現れます。
  3. 循環器症状 Cardiovascular Symptoms:低血圧、めまい、失神、心拍数の上昇などがみられます。
  4. 消化器症状 Gastrointestinal Symptoms:腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などが起こることがあります。

最悪の場合、アナフィラクシーショックは循環器系や呼吸器系の機能不全を引き起こし、意識障害、心停止、または死に至ることがあります。

速やかな医療処置が必要であり、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性のあるアレルゲンに対する適切な対処が重要です。

日常生活で子どものアレルギーに配慮するべきこと
What to Consider for Your Child’s Allergy in Daily Life

日常生活で子どものアレルギーに配慮するべきこと

子供のアレルギーに配慮する際には、以下の具体的な点に注意する必要があります。

これらのポイントに留意することで、子供のアレルギー対策を効果的に行うことができます。

常に情報を更新し、状況に応じて適切な対応を行うことが大切です。

食品の成分表を確認する
Check the Ingredient List of Food Products.


食品を購入する際や外食する際には、商品の成分表やメニューを注意深く確認しましょう。特定の食品アレルギーを持つ子供にとって、微量でも問題となるアレルゲンが含まれていないかを確認することが重要です。

アレルギーを伝える
Communicate Allergies

外食する場合、子供のアレルギー情報を事前に店舗に伝えることが大切です。料理の調理方法や材料の変更など、アレルギーに対応した食事を提供してもらうためには、予め店舗側に情報提供を行うことが必要です。

クロスコンタミネーションに注意する
Beware of Cross-Contamination

クロスコンタミネーションに注意することも大切です。アレルギーを持つ子供が食品と接触するだけでなく、調理器具や調理環境がアレルゲンに汚染されていないかも確認しましょう。例えば、ピーナッツアレルギーを持つ子供が食べない料理でも、同じ調理器具を使用することでアレルゲンが付着し、問題を引き起こす可能性があります。

代替品や特別メニューを探す
Find Alternatives and Specials

子供のアレルギーに対応した代替品や特別メニューが提供されている場合、それらを選択することが安全です。特に大手チェーン店やアレルギーに対応したレストランでは、専用のメニューやオプションが用意されていることがあります。

緊急対応の準備をする
Prepare for Emergency Response

アレルギー症状が発現した場合に備えて、必要な医薬品や緊急連絡先を携帯することが重要です。応急処置や医療機関へのアクセスが迅速に行えるように、常に準備をしておきましょう。

まとめ

お子さんがひどいアレルギーを持っているご家庭は、相当のストレスを抱えていると想像できますね。

仮に海外へ行くことになったとしても、海外でのアレルギー表示は国ごとに異なり、英語での理解が必要です。

また、ベジタリアンコーナーやグルテンフリーコーナーを探すことで、アレルギー対応食品を見つけるのがポイントです。

海外旅行前にチェックして、しっかり英語でも伝えられるように練習しておくと安心かもしれません。