ベンジャミン・フランクリン【Benjamin Franklin】というと、アメリカの100ドル紙幣になっている、「アメリカ合衆国建国の父」として有名ですよね!
博識で、発明での業績もたくさん残したベンジャミン・フランクリン、さぞかし成績優勝の天才?と思いきや、大変な勉強家で、勤勉で真面目であり、その生き方は「公務員的人生」ともいわれています。
「成功は一日にしてはならず」努力の人であった、ベンジャミン・フランクリンの人生を覗いてみましょう。
目次
1.ベンジャミン・フランクリンの略歴
- 1706年(0歳)アメリカ、ボストンのミルク・ストリートで17人兄弟の15番目として生まれる。父のジョサイア・フランクリンはろうそく製造業を営んでいた。
- 1716年 (10歳) 学校教育を終える。
- 1718年(12歳) 「ニュー・イングランド・クーラント」紙の印刷出版業をしていた兄ジェームスの元で見習いを始める。
- 1723年(17歳) 兄との何度かの喧嘩の末、兄と絶縁。ボストンを出て、フィラデルフィアで職を得る。
- 1724年(18歳) ロンドンに渡り、植字工として仕事をする。
- 1726年(20歳) フィラデルフィアに戻り、印刷業再開。アメリカ初のタブロイド誌を発行。
- 1731年(25歳) アメリカ初の公共図書館、フィラデルフィア組合図書館を設立。
- 1732年(26歳)格言集「貧しきリチャードの暦」を発表。国内外で有名になる。
- 1737年(31歳)フィラデルフィアで郵便局長に就任される。
- 1743年(37歳)アメリカ学術協会を設立。
- 1746年(40歳)2年にわたる研究で雷が電気現象であることを証明。
- 1749年(43歳)フィラデルフィア・アカデミー(ペンシルバニア大学)創設に協力する。そのころ避雷針を考案。
- 1751年(45歳)書簡集「電気に関する実験と考察」刊行。
- 1754年(48歳)オールバニの会議で植民地の連合案を立案。
- 1761年(55歳)ガラス製のブラス・ハーモニカを発明する
- 1764年(58歳)その後11年間、ペンシルバニアの代理人としてイギリスに駐在。
- 1776年(70歳)アメリカ独立宣言の起草委員となる。パリに一時滞在し、パリで仏と米植民地との同盟条約の締結。
- 1783年(77歳)フランスとアメリカの通商条約の締結に尽力。アメリカ・スウェーデン友好通商条約を終結する。
- 1785年(79歳)ペンシルバニア議会の議長を3年間務める。
- 1787年(81歳)合衆国憲法制定会議に出席する。
- 1790年(84歳)4月17日、フィラデルフィアで死去。国葬が執り行われた。
2.科学者としての功績
政治家・実業家として成功したベンジャミン・フランクリンですが、それとともに科学者としてもいろいろな発明をしています。
なんと、それはすべて独学だったといいますから、驚きですよね!
主な科学研究・発明
雷の帯電実験
雷の実験は、小学生向きの本などにも挿絵付きで描かれているほど有名ですが、雷雨の中、糸の先に電気を蓄える瓶をつないでタコを挙げて行う、危険を伴った実験でした。
ロッキングチェアーの発明
うちわが付いたもので、ロッキングチェアーを動かしたときにうちわが動き、ハエを追い払ってくれるものでした。
マジックハンドの発明
高いところにある本を取るために開発しました。
フランクリンストーブの発明
前面以外の5面を鉄板で囲ったペンシルバニアストーブ。暖房効率が高く評判になりました。
グラスハーモニカ
水を入れた薄いガラスのコップのふちを湿った指でこすると、水の量によって違った音が出る原理を利用して作った楽器です。
遠近両用メガネの発明
上半分が遠いところ、下半分が近いところを見るように作られた眼鏡です。
他、多数の発明をしました。
3.幼少期のエピソード
- 17人の兄弟の中で15番目の子供だったベンジャミンは、家が貧しくて10歳までしか学校に通えませんでした。
- 13歳の時に、働きながら独学で文章の勉強をして、兄が発行していた新聞の記事を書き、記者や編集者として活躍しました。
- 子どもが書いた記事と分からないように、兄が読むように印刷所に記事をこっそりおいて、それを読んだ兄は弟フランクリンが書いたものと知らずに新聞に掲載していたそうです。
- 兄の新聞が自由主義的な論調により発行禁止の処分を受け、フランクリンが代わりの発行人になり、「ベンジャミン・フランクリン」紙となったことがありました。
- 幼少のころからチェスが大好きで、相当の腕前だったようです。のちに「チェスの王道」というコラムを書いています。
- 7歳のころ、ほかの子どもが吹いている笛の音色に魅せられて、ポケットにある全財産をはたいて、その笛を譲ってもらいました。そして大喜びで家でその笛を吹いていると、親から「その笛の値段はお前が払ったお金の4分の1の価値しかない」と知らされ、大きなショックを受けました。 それが彼の経済観念を変えたエピソードです。
- 父が営んでいたろうそく製造の職人たちの暮らしを観察し、時給自足はお金をを節約することだけでなく、大きな幸せにつながるという心情を持つようになりました。
- 商売人だった父親は、「商売を学ぶのに学問はいらない」という主義でしたが、幼いころからお小遣いのほとんどを本の購入に費やす本の虫でした。
4.ベンジャミンフランクリンの教訓
子どものころから節約家で勤勉だったベンジャミン・フランクリン。
彼がいろいろな分野で成功したのには、若いころから規則正しく行ってきた習慣があります。
これが「フランクリンの13徳」という、有名な名言&教訓になっています。
①節制ーTemperance
飽くほど食うなかれ。酔うほど飲むなかれ。
ーEat not to dullness and drink not to elevation.
②沈黙ーSilence
自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。
ーSpeak not but what may benefit others or yourself. Avoid trifling conversation.
③規律ーOrder
物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。
ーLet all your things have their places. Let each part of your business have its time.
④決断ーResolution
なすべきことをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。
ーResolve to perform what you ought. Perform without fail what you resolve.
⑤節約ーFrugality
自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。
ーMake no expense but to do good to others or yourself: i.e. Waste nothing. (*i.e.・・・すなわち、言い換えれば)
⑥勤勉ーIndustry
時間を空費するなかれ。常に何か益があることに従うべし。
ーLose no time. Be always employed something useful. Cut off all unnecessary actions.
⑦誠実ーSincerity
詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出すこともまた然るべし。
ーUse no hurtful deceit. Think innocently and justly; and, if you speak, speak accordingly.
⑧正義ーJustice
他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。
ーWrong none, by doing injuries or omitting the benefits that are your duty.
⑨中庸ーModeration
極端を避けるべし。たとえ不法を受け、憤りに値するとも、激怒を慎むべき。
ーAvoid extremes. Forebear resenting injures so much as you bthink they deserve.
⑩清潔ーCleanliness
身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。
ーTolerate no uncleanness on body, clothes or habitation.
⑪純潔ーChastity
性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これに恥りて頭脳を鈍らせないこと。
ーRarely use venery but for health or offspring.
⑫平静ーTranquility
小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うことなかれ。
ーBe not disturbed at trifles, or at accidents common or unavoidable.
⑬謙譲ーHumility
イエスまたはソクラテスに見習うべし
ーImitate Jesus and Soctrates.
どうですか? いやはや、「参りました!」という気持ちになりませんか?
まとめ
幼いころから貧乏で苦労をしたからこそ、コツコツと勉強した努力の人、ベンジャミン・フランクリン。
その努力の積み重ねと、徹底して生活を節制した結果が彼の業績だったのですね。
特に「13の徳」を見ると、自分はいかに時間やチャンスを無駄にしているのかと、恥ずかしくなりました。
「努力に勝る天才なし」という言葉は、まさしく彼のためにあるのだと思いました!
Never leave that till tomorrow which you can do today.
今日できることを明日に延ばすな。ーベンジャミン・フランクリン
Lily 熊本市在住。62歳。
英会話講師、保育士、幼稚園教諭、チャイルドカウンセラー、おうち英語アドバイザー、バイリンガル保育士養成コーチ、子ども英語指導者養成コーチ
43歳から普通の保育士から英語保育士へ転身。独学で英会話を取得し、数年後インターナショナルスクールを約10年経営。現在はカナダ、アメリカ、オーストラリア、デンマーク、シンガポールなどの幼児教育を研究し、独自の「ドラマ教育」を生かした「生きた英語教育」を広めるために活動中。
「楽しくなければ英語じゃない!」がモットー。