すぐお隣にあり、文化や歴史など最もかかわりが大きいと言えるかもしれない巨大な国「中国」。その広さから地域による差も激しく、一言で「こんな国!」とは言い表せない国かもしれません。そんな中国の姿を追求し、グローバルな活躍をするために、どのような英語教育を行っているのかを見てみましょう!!
英語を第二外国語として学習する国々の教育法 ~中国~
国名
中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)。英語表記はChina。首都は北京です。
日本とのつながり
中国は紀元前から非常に文化的に栄えた国で、日本へも大きな影響を与えてきました。日本が遣隋使や遣唐使を送ったころから、儒学や仏教、米作り、漢字、貨幣などの様々な中国の文化を中国から取り入れてられてきました。特に私たちが日常的に使っている「漢字」の大部分は中国から伝わり、特に「音読み」は中国語の音から来てるため、私たちが中国語を見ても、なんとなく意味が分かるんですね!
私たちの食生活にも、ギョウザやシュウマイ、マーボー豆腐などの中華料理はなじみがあり、白菜やゴボウ、ニンジン、大根などのたくさんの野菜は、中国から来たというのも驚きです。
また経済的にも、日本にとって中国は最大の貿易相手であることからも、中国と日本は深い繋がりがあると言えるでしょう。
人口
中国は日本の役26倍の国土に約14億人という、世界一の人口を有しています。主要民族は漢民族で、その他55の少数民族から構成されています。
国民性
広大な国土にたくさんの地域があるため、それぞれに風俗や習慣、国民性の違いが見られます。一般的に、家族や親せきのつながりが強く、自己主張が強く、簡単に自分の意見を譲らない強さを持つと言われますが、自分の友人などにはとても親切だといわれます。
~驚くほど盛り上がる!中国の正月~
中国は旧暦に沿って、2月の18日から24日ごろの7日間を正月としていて、ほとんどの会社や学校が休みになります。
日本と同じではありますが、帰省ラッシュは民族大移動?かと思われるほど混雑し、交通機関はどこも満員は通常のことです。
そして正月期間中は、とにかく町中のいたるところで朝から晩まで爆竹が鳴り響き、爆音と火薬の煙で大騒動になります!この爆竹は「魔を払い、幸運を呼び込む爆音」とされ、鳴らす回数によって呼び名と意味が異なります。
また、この期間海外旅行をする家族も多く、日本でもコロナ流行以前、この時期になると多くの中国人が観光に訪れ、人気のある日本製品を爆買いする風景がよく見られましたね。
このように、中国の正月はとにかくエネルギッシュなお祭りのようなものなのです!
中国の言語
中国語は、中国・台湾・シンガポールなどで公用語として使われていて、約13億人以上が使用しています。国連の公用語のひとつにもなっており、世界中で見ると、5人に一人が中国語を話すと言われています。
中国が世界経済の主要国になってから、中国語が出来るとビジネスにとても有利ということで、世界的にも中国語を学ぶ人が増えています。
中国の教育
中国の教育制度も6.3.3.4制で、日本と同じになります。
名称は、中学校のことを「初級中学」、高校のことを「高等中学」と呼びます。
中国の義務教育
中国の義務教育は6歳からの9年間です。
その後、次のように進路が分かれます。
- 3年間の高級中学校(普通高校)
- 職業訓練を実施する中等専門学校・技術労働学校・職業中学(職業高校)
しかし、小中学は義務教育であるものの、全額免除ではありません。
そのため、貧しい農村部の子供の中には、家が学費が払えずに小学校で学校教育を終えて農業に従事するか、出稼ぎに出る子供もいます。
富裕層の子供は高額な私立学校に入学するなど、同じ国の中でかなりの格差があると言えます。
訳)中国では、都市部と農村部で市民の収入や子供に与える教育において大きな格差があります。
訳)中国でも小中学校は日本と同様に義務教育になっていますが、公立の学校でも学費が完全無料ではありません。
訳)中国の農村部は、親が学費を支払えないため、十分な教育を受けられない子供もいます。
「格差」は ”disparity”で、「AとBの格差」と言いたい場合、 “disparity between A and B “といいます。
激しい受験戦争
1980年の一人っ子政策以降、家庭で一人の子供に教育資金を投資し、エリートコースを目指すべく激しい受験戦争が繰り広げられています。
高校を卒業する年の6月に、「普通高等学校招生全国統一考試」という大学入試試験のようなものがあります。いわゆる「高考」(ガオカオ)ですね。
日本では、2024年度共通テストの最終志願者数は49万1914人で、2023年度に比べ、20万667人減少したという報道がありましたが、中国では「高考」の受験者数が増えています。
日本には私立大学も多く、共通テストを受験する必要がない人も大勢いますが、中国の大学は9割以上が国立のため、大学に行くためには「高考」の受験が必要になってきます。中国の大学の9割以上が国立ということもありますが、2020年に中国の大学受験生の数は、日本の大学受験生の数の約20倍だったそうです。
「高考」で高得点を取れば、一流大学に進学でき、エリートコースを進めるということで、この試験のために、中国の子供たちは幼稚園のころから勉強をしています、
中国の大学はほぼ国立なので、日本とは違い、各大学ではなく、国立大合格ラインというものが合格の基準になります。その合格ラインが、「一本・二本・三本」と点数順に別れていて、三本線以上は「本科生」、三本線未満の二本や一本は「高専や短大」になります。
中国には「都市戸籍」と「農村戸籍」というものがあり、両者の間に格差が生じています。都市に住む学生よりも、農村に住む学生のほうが大学に入りにくいシステムになっているのです! 都市の方が「高考」で高得点をとるための塾なども充実しているという事情もあります。
この試験のために戸籍を移す家庭もあるといいますから、どれだけ競争が激しいものかわかりますね。
訳)近年、日本では国公立大学の受験者数が大幅に減っています。
訳)一方、中国では「高考」と呼ばれる大学入試試験を受験する学生の数が増え続けていて、日本と中国の差は何なんだろうね。
訳)中国は非常に教育熱心な国で、教育を通して経済を活性化させようとしているようです。
「教育熱心な」は 英語にすると”education-oriented”、「経済を活性化する」は ”boost the economy”です。
長い授業時間
高校の場合、大部分の学校が1時間程度の「朝自習」、「夜自習」(2時間程度)、土日も補習があり、また、その費用も有料になっています。
この制度を小学校から実施しているところもあり、ほぼ365日休みなく長時間苛酷な勉強しています。
そして、日本の学校で行われるような部活や運動会、文化祭なども一切行われないようです。
中国の英語教育
中国では小学3年生から英語の授業が始まります。
小学校3・4年で20分の授業を週4回、5・6年生は20~30分の英語の授業が週4回、そして中学生以上は6年間の間に45分授業を週4回するなど、ほぼ毎日英語を勉強しています。
量より質の英語教育
2021年より実施の「中学考学習指導要領」では1200語の英単語学習が目標とされました。
文法なども、小学6年生の段階で、日本の中学3年生レベルというのも驚かされます。
英語教材の高い売り上げや英語教育講座の人気などからも分かるように、「シンガポールや韓国の英語レベルに追い付け追い越せ」とばかりに、中国での英語学習熱がヒートアップしていきました。
授業内容は、すべて英語だけの直説法での教育で、ほとんど中国語は使用しません。
パソコンなどを駆使しながら、子ども達で英語で演技をさせたり、ディスカッションをさせるなど、生き生きとした楽しい授業をするようにカリキュラムが出来ています。
こうして、国民は中国語と英語を使うバイリンガルな人材を作り出す目標に向かっていきました。
スイスの国際語学教育機関であるEFエデュケーション・ファースト(EF)が発表した2024年版の「英語能力指数」によると、日本は英語を母国語としない116の国・地域におけるランキングで、過去最低の92位となりました。ちなみに、中国の順位は91位でした。
実施した企業は、日本を含めた順位の低い国などでは、社会人向けの生涯学習プログラムの提供や、学校教育での対話を重視する評価制度の構築など、英語教育の改善が必要だとしています。
訳)中国の英語教育についてどう思いますか?
訳)日本の英語教育よりは良さそうだね。オールイングリッシュの授業やディスカッションを採用しているから。
中国に住む外国人
中国に住む外国人のランキングは
1位. 韓国人
2位.アメリカ人
3位.日本人
4位.ミャンマー人
5位. ベトナム人
以下、カナダ人、フランス人、インド人、ドイツ人、オーストラリア人となっています。
多くの外国人が居住する中国で、ビジネスや交流をするためのツールの多くは英語です。
中国の国家移民管理局は、2024年1月、2023年1~12月の外国人の出入国者数が延べ3547.8万人だったと発表しました。前年よりは増加しましたが、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年の4割ほどの人数でした。中国は、2020年から2022年末ぐらいまで厳格な「ゼロコロナ政策」をとっていましたが、それが終わっても、中国と外国の間の往来は戻っていないと言えます。
まとめ
「中国は近くて遠い国」という言葉がありますが、食文化や貿易関係などで日本と深い繋がりがあります。そして、中国がここまでの経済大国になったのは、国民が必死に勉強し、特に英語を身につけてグローバルに活躍してきたからなのですね!
日本の国立大学受験者数が減っているのに対して、中国の大学受験者数はますます増えていて、中国がいかに教育熱心か、猛烈に英語も勉強していることを伺い知ることができました。量より質の英語教育や勉強に取り組む積極的な姿勢など、日本が中国から学ぶべきこともたくさんありますね。