「帰国子女って外国語ペラペラでいいなあ~」とみんな思っているみたいですが、実際本人たちにはいろいろと悩ましいことが多いようです。
帰国子女の現状は? 日本のことをどう思っている?
様々な謎にズームしてみました!!
帰国子女【returnee】とは?
「帰国子女」の定義は、「海外勤務者等の子女で、引き続き1年を超える期間海外に在留し、年度間(4月1日から翌年3月31日まで)に帰国した児童・生徒のこと」を言います。
なぜ「子女」というのかは、もともと「子女」の「子」は「息子」という意味で、「女」は「娘」を指します。
なので、「子女」は「男女」という意味になり、「帰国子女」は「帰国した息子や娘」ということになります。
帰国子女の歴史
帰国子女の歴史は古くて、戦前、1871年(明治4年)に出発した岩倉使節団(明治維新期の明治4年11月12日(1871年12月23日)から明治6年(1873年)9月13日まで、日本からアメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国に派遣された使節団)に加わった日本で初めての女子留学生が最初になります。
女子留学生は総勢5名で、その中で最少年、6歳で海を渡ってアメリカに10年滞在したのが津田梅子でした。
津田梅子
1864年(元治1年)東京に生まれました。父親は当時英語やオランダ語を学び、通訳者としても活躍していた農学者の「津田仙」です。
先進的な考えを持っていた父は、梅子がたった6歳の時に「岩倉使節団」に参加させ、親元を離れて11年もアメリカ生活をさせました。
現代であっても、なかなかできることではありませんね!
その理由として、通訳として渡米経験があった父親が、アメリカの女性の教育レベルに大変驚かされ、女子教育の重要性を重んじたからでした。
当時はアメリカにわたる手段は船のみでしたので、梅子たちは「蒸気船アメリカ号」で約1か月かけてサンフランシスコに上陸したと伝えられています。
ワシントン近郊ジョージタウンで暮らす「ランマン夫妻」の下でホームステイを始めました。
しかし梅子はすぐにアメリカ生活に馴染み、初等教育を終えた8歳のころにはラテン語やフランス語も学ぶようになりました。
本人の希望で10年の留学を1年延長し、1882年(明治15年)17歳になった梅子は日本に帰国しました。
しかし、アメリカと日本の女性の地位は雲泥の差で、梅子は英語が堪能であっても、政府や開拓使から仕事を与えられることはありませんでした。
1885年(明治18年)に「華族女学校」の英語教師に就任しますが、また渡米したいという夢は捨てきれず、1889年(明治22年)梅子は24歳で再び渡米。
ブリンマー大学に入学し、生物学や教授法を学びました。
ブリンマー大学在学中に、学びたい女性を助けるために「日本婦人奨学金制度」を設立します。
帰国し教鞭を取りながら、アメリカやイギリスにもたびたび留学し、女性の地位向上のための知識や学問を浸透させるため、精力的に活動をします。
そして、1900年(明治33年)、後の津田塾大学の先駆けとなった「女子英学塾」を創設しました。
津田梅子の言葉:「all round women」
帰国子女の特徴【feature】
ここでは、一般的に言われている「帰国子女」に見られる特徴をあげてみました。
もちろん、人によってさまざまなので、「そういえばそうかな?」と思うところがあるかも・・・?
感情表現が豊かである
表現力が豊かなので、喜怒哀楽がはっきりわかります。
会話に頻繁に英単語が出てくる
とっさに出てくるのがやはり英語のほうなのでしょうね!
異性にも抵抗なくハグをする
嬉しいにつけ悲しいにつけ、よくハグをするので、異性だと誤解してしまうこともあるとか?
自己主張が激しい
帰国子女は物事をはっきりいます。曖昧な言い方をする日本人にとっては、最初はキツイと感じるかもしれません。
また「空気を読む」とか「察する」というのもほとんどしません。
コミュニケーション能力が高い
ボディランゲージも大きいため、お互いの気持ちを早く理解できそうです。
好奇心が旺盛
異文化(foreign culture)を受け入れたりするのに積極的で、何でも試してみようとする傾向にあります。
ポジティブ
「とにかく明るい」人が多く、失敗を恐れず前向きに考える人が多いです。
独自のアイデンティティにこだわりがある
どこで暮らしても「自分は自分」というこだわりが強いので、あまり周りに合わせたり流されたりすることがありません。
フレンドリーである
お国によって違いはあるものの、他国で友達を作るには積極性(positiveness)が必要なのですね。
パーティ好き
お誕生日だ、クリスマスだ、と人が集まってカジュアルなパーティをするのを好む人が多いようです。
帰国子女の有名人
- 石田ゆり子・・・小学6年~中学3年 台湾在住
- 新田真剣佑・・・アメリカカリフォルニア生まれ
- 木村佳乃・・・イギリスロンドン生まれ。中学3年までアメリカ在住
- フワちゃん・・・小学2年~4年 アメリカ在住
- 藤森慎吾・・・中学1年~3年 香港在住
- 河北麻友子・・・アメリカニューヨーク州出身
皆さん個性的な方が多いと思いませんか?
帰国子女からみた日本と苦悩
「英語が話せてかっこいい!」ともてはやされがちの帰国子女も、「え?なんで?どうして?」と思うことが日本に帰ってきてからたくさんあるようです。
そして人知れず悩んでることも・・・
- どうしてみんな帰国子女だと知ると、「英語しゃべってみて!」というのか?・・・そして実際話すと、「おー」と言われた後沈黙が流れる。
- 英語の授業が余裕だろうと思われる!・・・実際日本の試験システムが違うので、すぐ点数に結び付くわけじゃないし、単語力はネイティヴジャパニーズのほうがあるかも?
- シンプルに漢字が読めない。
- 「○○国ではこうだったよ」というと、「マウントされた」と思われて嫌われる。
- 暗い夜道を女性や子供が歩いているのでびっくりした!
- とにかく食事が安くておいしい。レストランで水が出てくるのも日本だけ!
- 勝手に「お金持ちの子ども」と思われ、「恵まれている」と思われがち。
- 外食するとき、みんな「何食べる?じゃあ私も」というのが信じられない。どうして合わせなきゃいけないの?
- レストランや旅館の定食もありえない。自分の好きなものを食べたいのに、先に決まっているなんて!
なるほど、いろいろと大変なんですね!
帰国子女が就く仕事
「英語ができる」という強みは、やはり外資系・英語教育系などの仕事に有利のようです。
- 英会話講師
- 貿易事務
- 英文事務
- 通訳
- 海外駐在員
- 英会話スクールカウンセラー
- ホテルのフロントスタッフ
- 空港の販売スタッフ
- エンジニア・プログラマー
などがあるようです。
企業が帰国女子に求めるスキルとは?
- 即戦力(battle-ready forces)となる英語力
- コミュニケーション能力
- 社交性(sociability)
などが求められますが、まだグローバル化が遅れている国内企業などからは、「帰国子女は協調性がなく、自己主張が強すぎて扱いにくい」と思っているところが多いかもしれません。
帰国子女を理解してくれる外資系企業や、新進的でこれから変化を求めるがゆえ、自由に行動しやすいベンチャー企業などがお勧めでしょう!
帰国子女の入試事情
日本の教育を受けておらず、日本に帰国して大学に入るときにはどんな試験を受けるのでしょうか?
帰国子女が帰国して入試をする場合は、一般入試と違う特別枠の入試試験があります。
多くの大学がこの入試制度を導入していますが、その内容は大学によって違うので、事前によく調べる必要があります。
また近年増えている国際バカロレア(IB)という世界共通の大学入試資格を取得した人を対象とするIB入試の導入も進んでいます。
帰国子女入試
大学によって「帰国生入試」や「外国学校出身者入試」など呼ばれています。
各国の教育制度に基づく国家統一試験の成績を判断材料としていて、その条件は大学によって違います。
国際バカロレア(IB)入試
グローバルな人材の育成を目的として、プログラム終了時の卒業試験に合格した者に「国際バカロレア資格」という世界的に共通した大学入学資格が与えられます。
まとめ
一見華やかに見える帰国子女ですが、帰国直後は日本の文化や常識になじめず、苦労する人も多いようです。
「自分は日本人であって日本人じゃない」と悩んでしまう人も多いと聞きました。
海外での様々な経験をいい方に生かして、日本のグローバル化をリードしてくれる人材になり、大いに活躍してほしいと希望します!!
頑張れ、帰国子女の皆さん!