2000年以上にわたる長い歴史を誇り、山や森などの美しい自然に囲まれた国、ドイツ。偉大な音楽家や芸術家が生まれた国でもあり、欧州大陸の政治的・経済的主要国です。そんなドイツの過去と現在を比べながら、多くの歴史的人物を生み出した教育について考えていきましょう!

英語を第二外国語として学習する国々の教育法  ~ドイツ~

国名

ドイツ連邦共和国(Bundesrepublik Deutschland) 通称ドイツ。英語表記はFederal Republic og Germanyで、通称Germanyジャーマニーです。首都及び最大の都市はベルリンとなっています。

日本とのつながり

ドイツと日本は、開国後から政治や経済、文化社会において多くの結びつきがあります。伊藤博文など日本で有名な政治家がドイツの影響を受け、憲法や法律を作る手本としました。また、医学では日本に招かれたドイツ人研究者から、多くの治療法が開発されたり、ドイツ文学の影響を受けた文学者には、代表的な「森鴎外」などがいます。

日本人とドイツ人は似てる?

  • 国民性が似ている
    日本人は真面目で忍耐強く、あまり自己主張をしないと言われていますが、ドイツ人も同じく、協調や秩序を重んじる国民性があります。
  • 言葉が似ている
    「アルバイト」や「カルテ」「レントゲン」といった言葉はドイツ語から来ています。医療用語もドイツ語を使っているものが多いですよね!また、日本の「すみません」「失礼します」のような意味で使われる言葉もあるそうです。
  • 社交辞令を言う
    ドイツでも、「じゃあ今度飲みに行きましょう!」のような、ちゃんとした約束でもない「社交辞令」を言うことがあるそうです。また、日本人のように「愛想笑い」をすることもあるとか!

ドイツの言語

ドイツ語はインド・ヨーロッパ語族・ゲルマン語派の西ゲルマン語群に属する言語です。おもに、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルグ、リヒテンシュタイン、およびスイスなどで話されています。ドイツ語は発音がローマ字読みがほとんどで、ローマ字読みをすると正しい発音が出来ます。ドイツ語のアクセントは、基本的に第1音節にあります。

ドイツの教育

ドイツの教育

ドイツの幼児教育

ドイツの幼稚園は、公立幼稚園、私立幼稚園、教会が運営している幼稚園の3つに分けられます。クラス編成は一般的に縦割りで、3歳から6歳くらいの子供たちが同じクラスで過ごします。

特に、私立幼稚園は高い理想を掲げて、教育理念もしっかりしているため、ドイツの教育熱心で尚且つ裕福な家庭は以下のような幼稚園などに子供たちを通わせます。

モンテッソーリ幼稚園

子どもの「自発性」「感覚教育」を重視したメソッド。遊具なども徹底的に木の物や自然の物を子供たちが自由に活動できる「空間づくり」にもこだわり、子どもの五感を刺激することで集中力を養い、成長させることを目的とする保育です。

森の幼稚園

デンマークが発祥で北欧やドイツに広まりました。ほとんど建物がない森の中で一日過ごし、自然の中でのびのびと生活することによって、強い体や、運動神経・知覚神経を発達させるという森の幼稚園は、ドイツでも現在1500以存在しているということです。

ヴァルドルフ幼稚園

日本では「シュタイナー学校」で知られている幼稚園です。自然の花、木の実、葉っぱなどをおもちゃにして遊ぶ、テレビやパソコンなどは見せない、7歳までは字を教えないなど、ユニークな指導法ですが、芸術的な面で優れた才能が開花するという評判です。

ドイツの教育制度

ドイツの小学校は4年間の初等教育で「基礎学校Grundschule」と呼ばれます。その後の進路は主に成績で判断され、3種類の進路に分かれます。

  1. 進学コース
    8年間の教育課程ののち、専門大学、統合大学、行政大学などを目指します。
  2. 職業訓練工業コース
    職業訓練工業校は、5年間の義務教育後期過程終了後、職業訓練コース、工業マイスターという国家資格を取得するコース。
  3. 職業訓練手工業コース
    職業訓練手工業校は6年間の実業学校、その後工業系と同じく手工業マイスターの資格取得を目指します。

それぞれのコースで、学問系、技術系の専門分野を学び、「キャリア育成が直結した教育システム」で「より多くの人々が各分野のスペシャリスト」になるための教育制度なのです。

そして驚くことに、公立では小学校から大学院まですべて無料となるんです!!

ドイツの英語教育

ドイツの英語教育

ドイツの首都ベルリンは、約190か国を超える海外出身者が共存するグローバル地域です。

そしてドイツ人は、日本人とは比べ物にならないほど英語が堪能だと言います。

ドイツでは、ほとんどが小学校(基礎学校)の3年生くらいから英語教育が実施されます。

フランス語とともに、英語は履修言語とされています。

徹底的なコミュニケーション力を鍛える授業

教師はアルファベットなどを書かせたり、文法を教えたりはせず、しかし初めからすべて英語を使って質問したり指示をするそうです。

これは、小学校の時から「聞く」「話す」を重視したコミュニケーション力を育てる英語教育で、それによって「異文化への興味を高める」ことを目標にしています。

中学校以上になると、「バイリンガルクラス」というものがあります。このクラスでは、英語を使って社会や理科などほかの科目を勉強します。また、様々なテーマを調べて発表や討論などをして、とことん会話をさせます。

外国から来ているネイティブスピーカーを見つけると、積極的に話しかけていくドイツ人は、英語でコミュニケーションすることを楽しんでいるかのようです。

こうした英語教育により、2019年のEF英語能力指数によると、ドイツ人は100か国中10番目に英語能力が高い国とされています。

熟練度は「Very high」で、53位の日本は「Low」に類別されていることから見ても、どれだけドイツの英語レベルが高いのかがわかるでしょう。

番外編

番外編

ドイツの仕事

ドイツでは、職場では経過より結果重視です。

例えば、自分の仕事が終わったら、たとえ上司が遅くまで会社に残っていても、何のためらいもなく帰宅をします。残業をすることが「頑張ってます!」アピールにはならず、むしろ時間内に効率よく仕事を終わらせることができない、能力が低い人間であるという評価をされてしまいます。

決められた就業時間内に、自分の仕事をきっちり終わらせることが良い評価につながるのです!

フリータイムをエンジョイできる長い有給制度

一般的に、ドイツの会社の有給は1年に30日前後というのは本当にびっくり!!しかも、病欠などは別カウントだというのです。

会社内では休む時はその分の仕事を同僚に振り分けますが、それも「お互い様だから」といやな顔をされることは全くありません。

そして長い休暇の後出社するのにも、旅行先の「お土産」を配るという文化もないので、いやはや、羨ましい限りですね!

効率的に生活するドイツ人

共働きがほとんどのドイツでは、「家事も余計な時間をかけない」のが通常の考え方です。

食事も、朝はシリアルにミルクをかけるなど軽く済ませ、夕食もパンにハムやソーセージを載せて食べるくらいで昼食が一番種類が多いと言います。というのも、朝は早くから学校や仕事が始まり、帰宅も早く、夜も早く就寝するからです。

そして驚くべき特徴が、「冷たい食事」(カルテスエッセンと呼ばれています)が普通であるということです。夕食などは、パンにバター、ハムや野菜を切ったものなど、煮炊きをしていない料理が並ぶだけ。その理由は「家事に時間を取られるより、家族と過ごしたり、自分の時間に費やしたい」というドイツ人の生き方からです。

しかし、必ず家族が食卓を囲み、テーブルセッティングに凝ってみたり、家族のコミュニケーションが増えるようにしているため、子ども達が愛情不足で精神が不安定である、という話はほとんど聞かないそうです。そして後片づけも、食器乾燥機を使ったり、家族で分担してやっています。

「手作りじゃないと愛情がこもってない!」「冷凍食品とか使うのは手抜きだ」と手作りの料理にこだわりすぎて、時間や心の余裕がなくなりがちの日本の主婦からしたら、私たちは少し頑張りすぎているのかもしれません。

まとめ

幼児期から自分の意見をはっきり言うように育てられ、「みんながやるから」ではなく「自分が何をしたいか」を考えながら育てられるドイツの子供達。そして10歳の時にはもう、大学進学を目指すのか、一流の職人や管理職を目指すのかを選ばなければなりません。

日本のように「とりあえず大学に入ってから考える」というまでの時間に、ドイツの若者は自分に必要なスキルを身に着け、社会に出るときにはすでに立派なプロフェッショナルとなるのですから、ここに「生きる力」の大きな差がでてくるのではないでしょうか?教育や職業訓練で「人間力」を国を挙げて養っているドイツに見習うものがたくさんありますね。