ベトナムとl聞くと、思い出すのはベトナムフォー、生春巻き、バイク・・・といったところでしょうが、今ベトナムは近隣シンガポールなどに、追い付け追い越せの勢いで経済成長をしているのをご存じでしょうか?今ベトナムは大きく変わろうとしています。
それに加え教育面の拡充も期待される人々の暮らしや、歴史などに触れながらベトナムのパワーを感じてみましょう!
英語を第二外国語として学習する国々の教育法 ~ベトナム~
国名
ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)。首都はハノイです。
東南アジアのインドシナ半島東部に位置する細長い国で、西はラオスとカンボジアの国境と接しています。
べトナムの急速な変化
ベトナム戦争終結後、1976年にベトナム社会主義共和国となったのち、フランスの植民地時代の名残ある美しい街並みや、フランス料理の影響を受けたおいしい料理、安い物価や、暮らしやすい温暖な気候などで、観光地として人気が上がっていきました。
その後、外国企業が多くベトナムに進出して、豊富なエネルギー資源を利用したエネルギー企業(日本の出光興産なども)が現地で製油所を設け石油化学製品を生産したり、大手電子部品会社、IT企業が次々にベトナムに会社を設立していきました。
ベトナムの安い雇用コストは中国を超え、労働人口も豊富であり、結果ベトナムの経済が大きく成長することになりました。
2021年におけるベトナムの国内総生産(GDP)成長率は+3.8%になり、このことでベトナムは近隣の東南アジア諸国連合(ASEAN)のタイ、インドネシア、フィリピン、マレーシアの4か国を上回ると言われています。
2023年のベトナムの国内総生産(GDP)成長率は前年比の+5.05%で、成長率が順調に伸びていることが分かります。2023年当初の政府のGDP成長率目標(6.5%)に届かなかったものの、着実に成長していますね。第4四半期(10~12月)は前年同期比6.72%だったことからも、勢いづいていることが分かります。
ベトナムは新興国に分類されます。ベトナム政府は2025年中の新興国市場への格上げを目指しており、証券法の改正や決済メカニズム改革などの市場改革を進めています。
国内総生産の成長率が著しいベトナムですが、製造業の生産活動は、世界経済の減速、外需の低迷などの外部環境に極めて左右されやすく、ベトナム北部地域を中心に夏季の電力逼迫も予測されるため、2024年以降もベトナム経済が発展を続けるかは不透明な状況だとされています。
面白いベトナム文化
経済的な成長が目覚ましいベトナムですが、一方伝統的な街並みや文化を守る動きがあり、高層建築物を規制するなど、景観を大切にする規制があります。
そのため、豊かな自然が残っており、ゆったりとしたベトナムの風景を楽しむことが出来ます。
フランスの統治下にあったこともあり、その町並みは「プチパリ」「東洋のパリ」といわれるほど、おしゃれな建造物が残っています。
新しいオフィスビルや分譲マンション、近代的なホテルやカフェなどとクラッシックな伝統的建物が調和する中、今だにベトナム人が良くかぶっている、わらで編んだとんがり帽子(ノンラー)を、おばあちゃんが自転車に一杯積んで売っている風景などが見られるのもベトナムならではでしょう。
ベトナムの教育
ベトナムの教育制度は、小・中学校の9年間が義務教育になります。高校卒業試験は大学入試試験も兼ねて行われます。
- 初等教育(小学校)・・・6歳~11歳までの5年間
- 中等教育(中学校)・・・11歳~15歳の4年間
- 高等教育(高校)・・・・15歳~18歳の3年間
ベトナムの大学は、国家大学(政府直属の大学)、国立大学(ベトナム教育訓練省の管轄)、私立大学に大きく分かれます。
公立と私立の格差も大きく、公立は1クラス50~60人という数でとても世話が行き届かない、といった現状にあります。
また、小学校教員は賃金も安く、仕事量が多いため教員を志望する学生の質も下がり、「公立学校の質の低下」に繋がっています。「公立学校の質の低下」の問題は、ベトナムに限った話ではないですね。
反して私立学校の人気はうなぎのぼりで、学費が3000~5000ドル、インターナショナルスクールでは1万5000ドルほどで、大学卒の初任給が大体300ドルであることからもわかるように、非常に高額です。
その理由は、設備が整っていて、独自のハイレベルなカリキュラムにあると言えます。日本でも私立学校と公立学校で、教育レベルに格差が生まれていて、共通点がありますね。
ある私立小学校では、高学年ですべての授業を英語で行うところもあり、生徒の学力アップが期待されています。
また、都市部と農村部でも大きな格差があります。
都市部の学生は塾や習い事に通うといった環境にありますが、農村部では農業以外に仕事がなく、また教科書なども優良なため、経済的に苦しい家庭は小学校卒や中学校卒の子供も多くいるそうです。
都市部と農村部の格差についてベトナムと日本を比較してみると、日本は農村部でも農業以外の仕事もあったりするので、仕事に関してはそこまで格差は激しくないですが、教育レベルに関しては、共通する部分もあるように感じられます。
訳)日本とベトナムの教育システムは、かなり似ていますね。
訳)日本とベトナムは、小・中学校の9年間の義務教育を持っているという点で似ています。
訳)日本とベトナムでは、都市部と農村部で教育レベルに格差があるという点でも似ています。
ベトナムの幼稚園・保育園事情
経済の成長に伴って、国民の幼児教育の普及率は高くなっています。
ベトナムは女性の就業率が高く、出産後の保育に悩むはずですが、3歳未満の子供の就園率はあまり高くありません。
ベトナムは3世代以上の同居も多く見られ、祖父母などが面倒を見ることが出来るようです。
また、「ファミリー・グループ」と呼ばれる近所で協力して保育する個人経営託児所もあり、行政のサポートも受けられるようです。
そして3歳以上になると、多くの子供が就学準備として幼児教育を受け、5歳になるとほぼ全員が何らかの幼児教育施設に通っています。
ベトナムの幼稚園・保育園の4割が国立園、6割が私立園です。
国立園は学費も安く、充実したカリキュラムなどの教育が受けられますが、区内に1~2園ほどのモデル校しかなく、入園者数に限りがあります。
一方、保育料が月10万ほどでも人気があるのが「インターナショナルスクール」です。
経済成長によりグローバル化を始めたベトナムでは、親たちが早期英語教育を希望し、レベルの高い教育を受けさせたいと願っているようです。
しかし、私立に通えるのは中心部の富裕層に限られている現実があります。
ベトナムの英語教育
富裕層の子供たちは幼児期から英語教育を受けることが多いようですが、ベトナムでは一般的に小学校3年生から英語の授業が始まります。
カリキュラムが日本とよく似ていて、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能を学習するようになっています。
しかしながら、ベトナム人の発音はかなり癖があって、聞き取りにくく、ベトナム訛りの英語のことを「ベトナミングリッシュ」と言います。
発音の特徴として、単語の語尾の子音を発音しないことが多いと言われています。
また、先頭のHを発音しない、Pの発音がないケースもあるようです。先頭のHを発音しないというのは、フランスの植民地だった時代もあるので、フランス語の影響があるように考えられます。
例を挙げると
- web →ウエッ (子音を発音しない)
- Pancake →バンケッ (Pの代わりにBに置き換え。子音を発音しない)
- Hungry →アングリー (Hを発音しない)
というようなものになり、慣れないとコミュニケーションが取りにくそうですね。
しかし、都市圏のホテルやレストランの従業員には流暢にきれいな英語を話す人もいます。
ベトナムでは、英語を話せると給料が2~3倍違うこともあり、特に外資系企業の仕事に就くと、給与のほかにしっかりとした福利厚生も保障されるため、ベトナムの英語学習はどんどん拡大していると言えます。
こうした背景から、2018年の英語能力のランキング(EF EPI)によると、ベトナムは88か国中41位となっていて、日本の49位を上回りました。
2024年の英語能力ランキング(EF EPI)によると、ベトナムは116か国中 63位となっていて、2018年から比べると順位が下がっています。日本はというと、2024年の同ランキングでは92位でしたので、ベトナムは日本よりは英語能力ランキングが高いと言えます。
しかし、中心部を離れるとまだまだ英語が通じるところは少ないようです。
ベトナムの日本語人気
実は、ベトナムでは英語に次いで日本語が人気なんです!
マンガやアニメを通じて日本人気が高まり、小さいころから日本語を学ばせる家庭もあるそうです。
憧れの国日本で働きたい!というベトナム人も多く、ベトナムに進出している日本企業が、日本語を勉強中のスタッフを雇用するケースもあり、英語より日本語のほうが得意!というベトナム人も多いのです。
観光でベトナムを訪れると、ベトナム人に日本語で話しかけられることが多く、日本語を勉強しているベトナム人がとても多いことに気付きます。
日本で働くベトナム人が増加
近年、日本で働くベトナム人が急増しています。ベトナム人は様々な在留資格を持って日本で働いていますが、一番多いのは技能実習生、次に多いのは留学生のアルバイト(資格外活動)、三番目に多いのは就労ビザ人材(技術・人文知識・国際業務)のような専門や技術分野の在留資格です。
日本で働いているベトナム人の在留資格のうち、技能実習生はベトナム人就労者のうち48%を占めています。日本はますます高齢化社会になってきていて、恒常的な人手不足の問題もあり、特に介護職などで人材が不足しています。
「外国人技能実習生制度」は2017年に改正され、介護などの職種追加、優良な監理団体・実習実施者に対しては実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大などの制度拡充が行われました。また、本来最長で3年だった実習期間は5年に延長され、技能実習生が長く日本で働けるようになりました。
以前、技能実習生の大半は中国人でしたが、中国の急速な経済発展よって富裕層や中間所得層が増加したことに伴い、日本に働きに来る中国人技能実習生の数は大幅に減りました。その欠員を埋めるために、多くの日本企業はベトナム人の技能実習生を受け入れるようになりました。
近年、日本で働くベトナム人の若い人が増えているのには、そういった事情があるのです。
ベトナム人と日本人の共通点
- 手先が器用である・・・衣服の縫製や、刺しゅうなど、細かい作業が得意です。
- 真面目な人が多い
- 協調性がある
こういった国民性から、近年、日本で介護などの福祉施設で働くベトナム人も増えてきました。
家族を大切にするベトナム人は、日本で働いて本国へ必ず仕送りをしているそうです。
余談ですが、女性が家庭を仕切る「カカア天下」の国でもあるそうですよ!
まとめ
いかがでしたでしょうか。ベトナムの英語教育というテーマで、日本との共通点などを挙げたり、近年の経済成長なども紹介しながら、解説してきました。日本との共通点も認識して、ベトナムという国にもっと親近感が持てたのではないでしょうか。旅行や仕事でベトナムを訪れたことがある人も多いと思います。
筆者もベトナムに行ったことがありますが、まず驚いたのはバイクの数と、めちゃくちゃな交通規制でした! ホーチミン市では大きな道路に信号が少なく、バイクの数が異常に多いため、バイクをよけながら命がけで道路を横切らざるを得ないということもあったりします。
しかし、ベトナム人はそんな喧噪の中でもニコニコしていて、そのカオスを楽しんでる?ようにも見えましたし、そんな中でおばあちゃんがわら帽子を自転車に乗せて売っていたり、道端に座り込んで老いも若きも何か食べていたり・・・
新しいものと古いものがごちゃごちゃと混ざり合い、しかしなぜか懐かしいような気持ちにもさせる魅力的な国だった記憶があります。
コロナ後、中国の技能実習生の受け入れに変わりベトナムと関係を持とうとする日本企業が増えてきたとも聞いていますが、そうなっていくと、ますますベトナムが発展し、経済的にも教育的にも、日本を追い越す日が来るのでは?と心配してしまいます。
ベトナムの近年の国内総生産(GDP)成長率を見ても、私たちも、うかうかしていられないのではないでしょうか。