この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「月」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。

「月」とは、地球の周りをまわる唯一の衛星で太陽系のなかでは5番目に大きく、地球から見ると太陽に次いで明るく見えます。そのため、夜になると、ぼんやりと黄色く光り、夜道を照らしてくれますよね。

月は満ち欠けにより、満月や半月、三日月へと姿を変えます。月の満ち欠けに基づいて日付を計算する「太陽暦」を、日本では明治五年まで使用していたそうです。

また、月は人類が唯一到達した地球外天体で、1969年にアメリカのアポロ13号のアームストロング船長が人類で初めて月面に着陸しています。このことは、ポルノグラフィティのデビュー曲『アポロ』でも歌われています。

そんな「月」のつく「ことわざ」を今回は6つ選んで英語に訳しました。

1. 月とすっぽん

1. 月とすっぽん

月とすっぽんは、同じような形をしていますが、美しいとされるのは月ですよね。「月とすっぽん」は、似たような2つのもがあったとして、実は片方が比べ物にならないほど全く異なっていることを意味する「ことわざ」です。

英語では
“~ as different as chalk from cheese” 
と翻訳することができます。

直訳すると「チョークとチーズほど違う」という意味です。

また、英語では
“~ as different as night and day”
と翻訳することができます。

こちらは直訳すると「昼と夜のように違う」という意味です。

「チョークとチーズ」と「昼と夜」を使った表現があることが分かりましたが、チョークは一部で生産中止になっていますし、「昼と夜」を使った英語表現の方が意味が通じやすいと考えられます。例文を見てみましょう。

Aさん
You changed jobs these days. How is your new workplace?
訳)最近、あなたは転職しましたが、新しい職場はどうですか?
Bさん
My old job and new one are as different as night and day.
訳)僕の古い仕事と新しい仕事は、月とすっぽんほど違うよ。
Aさん
So, your new job is good, isn’t it? I’m glad to hear that.
訳)あなたの新しい仕事は良いのですね。それを聞いて嬉しいです。

2. 月夜に提灯

明るい月夜には、月の日からが夜道を照らしてくれるので提灯は必要ありません。「月夜に提灯」は、不必要なものを例えた「ことわざ」です。また、かえって邪魔であることも意味します。

英語では
“To carry a lantern in midday”
と翻訳することができます。

直訳すると「昼間にランプを持って歩くこと」という意味です。日本語は「月夜に提灯」ですが、英語では「昼間にランプを持って歩く」となっていて、表現は少し違いますが、どちらも不要なものの例えとなっています。

”lantern”は「ランタン、手提げランプ」の意味です。”midday”は「正午・真昼」のことで、日本語でもつかわれる”midnight”(ミッドナイト)は「真夜中」を指します。昼間にランプを持ち歩くのは不要なので、「不要なこと」と意味になります。に

英文にすると
“It’s like carrying lantern in midday.”
(それは昼間にランタンを持っている様なものだ。)
などと表現できます。例文を見ておきましょう。

Aさん
Offering support to someone who doesn’t need it is like carrying a lantern in midday.
訳)支援を必要としていない人に支援を提供するのは、真昼間に提灯を持っているようなものです。

3. 月夜の蟹

3. 月夜の蟹

もう一つ「月夜」が出てくることわざを紹介します。

「月夜の蟹」というのは、見かけだおしで実質を伴わないことの例えです。このことわざは、蟹は月夜にえさを探して食べることをしないため、月夜に獲れる蟹は身が少ないと言われていることから来ています。

英語では
“Superficial/empty-headed person [people]”
と表現することができます。”superficial”は「うわべだけの」という意味で、”empty-headed”は「頭が空っぽの」という意味です。

Aさん
Those who judge others by their appearance alone are superficial people.
訳)他人を見た目だけで判断する人は、月夜の蟹みたい(うわべだけの人々)です。
Bさん
Yeah. They might be empty-headed people.
訳)そうだね。彼らは頭が空っぽの人かもしれない。

4. 送る月日に関所なし

「送る月日に関所なし」は、道中に関所が無いと歩みがはかどるように、月日も過行くことが早いことを意味する「ことわざ」です。

「関所」とは、旅人の出入りや荷物を調べる検問所のことです。交通の要所に設置されており、簡単には通り抜けることができず、時にはお金を取られることもあったそうです。

英語では
“Time flies.”
と表現することができます。

直訳すると「時は飛ぶように過ぎ去る」という意味で、時間が過ぎるのが早いことを表します。”Time flies”は、「光陰矢の如し」と訳されることもあります。

別の英語表現としては、”Time and tide wait for no man.”「歳月人を待たず」というのがあります。

Aさん
My high school teacher often told us that time and tide wait for no man.
訳)私の高校の先生は、よく「歳月人を待たず」と言ってたわ。
Bさん
I guess he wanted to encourage you to act quickly on good opportunities.
訳)良いチャンスにはすぐに行動するよう、彼は促したかったんだよ。

このことわざの「月日」の「月」month と他のことわざの「月」moon で、そもそも「月」の意味が違いますね。

5. 月満ちれば則ち虧く(つきみちればすなわちかく)

「月満ちれば則ち虧く」とは、月は満ちると満月から半月に、半月から三日月へと次第に細くなっていくことから、全盛期を過ぎると次第に衰えていくことを意味する「ことわざ」です。

「虧く(かく)」は、あまり見慣れない日本語ですが「欠く」と同じ意味を持つ言葉です。また、「栄枯盛衰」や「驕る平家は久しからず」も同じ意味を持つ言葉です。

英語では
“Every tide has its ebb.”
と翻訳することができます。

直訳すると「どんな潮流にも引き潮がある」という意味です。”ebb”とは「引き潮」の意味で、「衰退」や「衰亡」の意味も持ちます。”tide”は「潮、潮流」の意味です。例文をチェックしてみましょう。

Aさん
The company is thriving, but every tide has its ebb, so they must prepare for difficulties.
訳)会社は繁栄しているが、どんな潮流にも引き潮があるので、困難に備えなければならない。

6. 日は夜を知らず月は昼を知らず

6. 日は夜を知らず月は昼を知らず

「太陽も月も明るく天空を照らすが、それぞれ昼と夜の別々の世界のものなので、どちらかがもう一方を兼ねることは不可能である」という意味にです。

英語では
“The sun does not know the night, and the moon does not know the day.”
と翻訳することができます。

文脈で、どういう場合に使うのか見てみましょう。

Aさん
The scientist and the artist see the world from different perspectives.
訳)科学者と芸術家は、異なる視点から世界を見ています。
Bさん
Yeah. They see the world as if the sun didn’t know the night, and the moon didn’t know the day.
訳)そうだね。彼らは、まるで太陽が夜を知らなくて、月が昼を知らないような感じで、世界を見ているよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、「月」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。「月」が登場することわざは意外とありますね。日本語で「月」がつくことわざを英語に訳す場合、文化や慣習が違うので、必ずしも直訳にはならないと分かりましたが、本質的な意味が伝わるように訳していました。

この記事で紹介したことわざの英語表現について、どれか一つでも印象に残ったものがあれば、それを英会話の中で使ってみてください。

「送る月日に関所なし」という「ことわざ」にあるように、月日が過ぎるのはあっという間です。英語の学習も1日1日を積み重ねていくうちに、あっという間に月日が過ぎ、きっとあなたの知識となって身につくことでしょう!

今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!