今回のテーマは「湿布」です。英語で湿布を表す言葉は大きく3種類ありますが、それぞれの意味やニュアンスの違いについて、詳しく解説していきます。
また、海外では日本ほど湿布を貼る行為が一般的ではないので、湿布に代わる怪我や炎症への対処方法についても、記事の後半でご紹介します。
これを読めば、海外で湿布が欲しくなったときも安心です。
それでは、早速始めていきましょう!
「湿布」は英語で何て言う?
湿布を英語で表現する際は、“poultice”、”compress”、”patch” のいずれかが使われます。ただし、表現によって薬剤の有無や一般的な認知度などが変わってくるので、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
それでは、1つひとつの意味や特徴について、詳しく確認していきましょう。
「湿布」の英語①:poultice
薬剤が入っている湿布薬は、英語で “poultice” と言います。発音記号は「ˈpoʊltɪs」で、カタカナだと「ポールティス」と聞こえます。
poultice の主な役割は、薬剤成分を患部に浸透させることです。語源を遡ると、ラテン語で「粥」や「スープ」など、栄養のある泥上のものを意味していました。それを患部に塗って治癒に役立てていたことから、現代においては湿布を表すようになりました。
とはいえ、poultice は少し医学的な用語であり、日常会話ではまず使われない言葉です。そもそも、湿布を貼るという行為自体が、日本以外の国では珍しいことだといわれています。
そのため、通じなかったときのためにも、残る2つの表現もあわせて覚えておきましょう。
When I went to the hospital, I was prescribed a poultice to reduce inflammation.
訳)病院に行ったら、炎症を抑えるための湿布を処方されました。
「湿布」の英語②:compress
貼ることで炎症などを鎮めるための湿布は、英語で “compress” と言います。発音記号は「kəmˈprɛs」で、カタカナだと「コンプレス」が近いでしょう。
compress を貼る目的は、患部を冷やしたり温めたりして、患部の治りを早くさせることです。単に compress と言う場合は冷湿布を表すことが多いですが、cold compress(冷湿布)、hot compress(温湿布)と呼び分けることもあります。
compress は先ほどの poultice と違い、薬剤成分が入っていない点が特徴的です。医療用というより、スポーツシーンでの捻挫などの治療や、火傷後の応急処置などで使われます。そのため、poultice よりは日常の中で耳にするシーンが多いといえますが、やはり海外で湿布は一般的とはいえません。
In Japan, when I sprained my ankle, my parents would often put a compress.
訳)日本では、私が捻挫すると両親がよく湿布を貼ってくれたよ。
Really? In America, we don’t use compresses as much.
訳)そうなんだ。アメリカではあんまり湿布って使わないなー。
「湿布」の英語③:patch
湿布の意味で、最も一般的に使われる英語表現は “patch” です。発音記号は「pætʃ」で、カタカナだと「パッチ」となります。
patch はもともと「継ぎ当て用の布」を表す言葉です。日常生活の中だと、大小の布片を組み合わせる「パッチワーク(patchwork)」や、禁煙のために貼る「ニコチンパッチ(nicotine patch)」などでも使われていますね。
湿布は往々にして、身体の悪い部分に貼るため、比喩的に身体を補修するための当て布のイメージで patch と呼ばれるようになり、それが一般化しました。
patch は先述の poultice や compress よりも高い頻度で使われる言葉です。そのため、日常会話で使っても、伝わる可能性が高いといえるでしょう。
Both my hands and feet are swollen and sore from muscle pain, so I’m applying patches.
訳)両手両足が筋肉痛で腫れて痛いから、それぞれに湿布を貼ってるんだ。
It kind of makes me look like a robot undergoing repairs.
訳)なんだか見た感じ、修理中のロボットみたいだね。
「湿布を貼る」は英語で何て言う?
「湿布を貼る」と英語で表現する場合は、”apply(アプライ)” か “put(プット)” を使います。「○○に貼る」と患部も表す際は、最後に “on ○○” と添えればOKです。
apply にはもともと「適用する」という意味があります。そこから、薬剤成分などを患部に適用させるイメージが働くため、主に poultice に代表される薬剤成分を含んだ湿布に使われることが多いです。
その一方、put の原義は「置く」なので、薬剤成分の有無に関係なく幅広く使われます。特に、日常的に使われることの多い patch とは相性がよいでしょう。
とはいえ、これら apply と put の使い分けはあくまで傾向なので、実際はどちらを使っても問題ありません。それほど厳密に考えず、その時々の気分で使い分けていきましょう。
海外では湿布の代わりに何を使う?
ここまでの話にも少し出てきましたが、海外ではそもそも「湿布を貼る」という行為が一般的ではありません。そのため、湿布を求めて上記の表現で説明したとしても、お店にそもそも売っていない可能性もあります。
それでは、海外の人たちは炎症などを鎮める際、湿布の代わりに何を使っているのでしょうか。最後に、それらについて確認していきましょう。
海外で湿布の代わりに使うもの①:コールドパック、ホットパック
海外では患部を冷やしたり温めたりする際、コールドパック(cold pack)やホットパック(hot pack)を使うことが多いです。
これらは袋から取り出すと自動的に冷却(加熱)が始まり、15~30分程度効果が持続します。
ただし、患部に直接当てていると凍傷や火傷に繋がる恐れがあるので、タオルなどに巻いて使うのが一般的です。
海外で湿布の代わりに使うもの②:塗り薬
海外では、炎症や痛みを抑える際は湿布より、塗り薬を塗布することの方が多いです。
塗り薬は英語で “topical cream(トピカルクリーム)” と言います。topical は「局所的」という意味を持ち、その名の通り炎症や痛みのある個所を局所的に治療する際に使用されます。
海外で湿布の代わりに使うもの③:テーピング
海外では、捻挫などの怪我をした際はテーピング(taping)で応急処置をすることも多いです。テーピングとは、患部にテープを巻いて弱った関節を保護したり血行を促進させたりして、自然治癒力を高める治療法です。
テーピングには主に伸縮性の高い “strapping tape(ストラッピングテープ)” や “kinesiology tape(キネシオロジーテープ)” が使用されます。
まとめ
今回は「湿布」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
湿布を表す英語は “poultice”、”compress”、”patch” の3種類。医学的な湿布なら poultice、冷やしたり温めたりが目的なら compress、より日常的に使うなら patch がそれぞれ適切です。
しかし、湿布を貼るという行為自体が、日本以外ではあまりメジャーではありません。そのため、万一の怪我などで焦らずに済むよう、塗り薬などのほかの対処法も覚えておくとよいでしょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!