ハロウィンといえば、おばけ・魔女・ゾンビ…ちょっと怖いイメージがありますよね。
でも保育の現場では、怖がりな子どもたちにも安心して楽しんでもらえる工夫がたくさんされています。
今回は、ホラー要素をやわらげながら、英語で季節を感じられる方法をご紹介します。
外国のハロウィンと日本のハロウィンの違い

ハロウィンの本場はアメリカやヨーロッパですが、日本で行われるハロウィンとは雰囲気が少し異なります。
海外では「死者の霊」「夜」「墓場」などをテーマにすることが多く、ホラー的な演出が強調される傾向があります。
一方、日本のハロウィンは「仮装して楽しむお祭り」として広がり、かぼちゃや黒猫、魔女なども明るく“かわいい”デザインで表現されます。
ここでは、文化の背景と、子どもに伝えるときの工夫をかんがえてみましょう。
ハロウィンの起源と「恐怖」の意味
ハロウィンの起源は、約2000年前のケルト民族の「サウィン祭(Samhain)」といわれています。
これは、秋の収穫を祝い、同時に“この世とあの世の境がなくなる日”と考えられていた行事でした。
人々は、霊が戻ってくる夜に悪霊に連れ去られないように、仮面をかぶったり火を焚いたりして身を守ったのです。
つまり「仮装」には、恐怖から自分を守るという宗教的・魔除けの意味がありました。
アメリカではこの伝統が移民によって受け継がれ、やがて「怖いものを楽しむ」文化として発展していきます。
お化け屋敷やゾンビメイクなど、ホラー映画の影響も大きく、ハロウィンは「恐怖を笑い飛ばす日」という位置づけになりました。
日本のハロウィンが「かわいい」理由
日本でハロウィンが広まったのは1990年代以降、主にテーマパークや商業イベントを通じてでした。
日本では宗教的な背景よりも、季節のイベントとしての楽しさや見た目の華やかさが注目されました。
そのため、怖さよりも「かわいい」「写真映え」「みんなで楽しむ」といったポジティブな要素が中心になったのです。
また、日本には古くから「節分」や「お盆」など、死者や霊を敬いながら“静かに受け入れる”文化があります。
そのため、「霊を怖がる」よりも「おばけをかわいく擬人化する」発想が自然に受け入れられました。
アニメやキャラクター文化の影響もあり、かぼちゃのジャック・オ・ランタンも笑顔で描かれることが多くなりました。
子どもに伝えるときの視点
外国のハロウィンをそのまま取り入れると、小さな子どもたちは「怖い」「泣いてしまう」ことがあります。
しかし、日本式の“かわいいハロウィン”は、そうした恐怖心をやわらげ、子どもたちが安心して行事に参加できる工夫になっています。
保育現場では、次のような伝え方を意識するとよいでしょう。
- 「外国では悪霊から身を守るために仮装していたんだよ」
- 「日本では、そのお祭りをみんなで楽しくまねしているんだよ」
- 「怖いというより、“みんなでありがとうを言う日”として楽しもう」
このように文化の違いを伝えることで、子どもたちは「世界の行事を理解する目」を育てながら、安心してハロウィンを楽しむことができます。
教育的な意義
日本のハロウィンは、もともとの宗教的行事を離れて「季節を感じる異文化体験」として根付いています。
保育や英語教育の場では、怖さよりも「色」「音」「言葉のやりとり」を通して、子どもたちが文化を楽しむきっかけになります。
たとえば、
- “Thank you!” “You look nice!” などのやさしい英語表現を使う
- 海外の文化を知りつつ、「日本ではこう工夫しているね」と違いを話す
- 絵本や歌を通して、異なる文化を温かく紹介する
こうしたアプローチは、単なる行事遊びにとどまらず、「多様な文化を尊重する力」や「言葉で気持ちを伝える力」を育てる学びにつながります。
日本のハロウィンは、恐怖を避ける文化の中で生まれた「安心して楽しむ形」へと変化しました。
それは、子どもたちにとっても大切な“やさしい異文化体験”の入り口です。
保育士や家庭の大人がその違いを理解して伝えることで、「怖い」ではなく「知るって楽しい」と感じられるハロウィンを育むことができます。
「怖い」より「かわいい」をキーワードに!

ハロウィンのキャラクターも、ちょっと表現を変えるだけでぐっとやさしくなります。
英語でも、 “scary(怖い)”ではなく、 “cute(かわいい)”や“funny(おもしろい)”を使ってみましょう。
やさしい英語フレーズ例
- “Look! A cute ghost!”
(見て!かわいいおばけだよ) - “It’s a friendly witch.”
(仲良しの魔女さんだよ) - “The pumpkin is smiling.”
(かぼちゃさんが笑ってるね) - “Let’s say Boo! Just for fun!”
(ブーって言ってみよう、遊びのつもりでね!)
“Boo!” も「おどかす言葉」ではなく、「ハロウィンのあいさつ」として伝えると、子どもたちも安心して口にできます。
やさしい英語絵本で「温かいハロウィン」を感じよう
怖い場面がなく、ハロウィンの楽しさをやさしく描いた英語絵本を選ぶのもポイントです。
読み聞かせのときは、「What color is the pumpkin? (かぼちゃの色は何色?)」など、英語の問いかけを交えながら進めると自然な英語体験になります。
“Room on the Broom”(Julia Donaldson)
魔女と動物たちの友情を描いたお話。怖くない“やさしい魔女”が登場します。“Is there room for me?” (ぼくものれる?)などの繰り返し表現が楽しい!
“Five Little Pumpkins”
かぼちゃたちが並んで会話するかわいいリズム絵本。歌のように読むと、自然に英語のリズムが身につきます。
“Happy Halloween, Curious George”
おさるのジョージが仮装やお菓子集めを楽しむお話。身近で安心できる内容です。
怖くない英語ソングで盛り上がろう!
音楽は、ハロウィンの雰囲気を楽しく変えてくれる魔法のツールです。
保育園でも人気のやさしい、おすすめハロウィン英語ソング英語を紹介します。
“Knock, Knock, Trick or Treat?” (Super Simple Songs)
やさしいメロディとかわいいアニメーションが特徴。おばけや魔女も笑顔で登場します。
“Go Away, Spooky Monster”
“Go away, spooky monster, go away!”と歌いながら、子どもたちが怖さを自分で追い払うことで、安心感が生まれます。
“Pumpkin, Pumpkin”
簡単な繰り返しで、小さな子でもすぐ覚えられます。“Pumpkin, pumpkin, round and fat!” (まるくてぷっくりかぼちゃさん)
保育士がしている安心の工夫
保育現場では、「怖さを想像させない」環境づくりも大切にしています。
工夫の例
- 部屋を暗くしすぎない(明るい照明でカラフルな飾りを)
- おばけの顔は笑顔にする(かわいい目・ピンクのほっぺなど)
- “Let’s pretend!” (ごっこしよう)と伝えて、「遊び」だと明確にする
- 英語の仮装ショーでは、 “I’m a pumpkin!” “I’m a fairy!”など自分で役を選ばせて表現の楽しさを大切にする
まとめ
最後に伝えたいのは、ハロウィンの本当の楽しさは「お菓子」だけでなく、“Thank you!” (ありがとう)や“You look great!” (すてきだね!)などのポジティブな英語で交流することです。
怖がりな子でも、優しい英語のやりとりを通して、「英語=楽しい」「ハロウィン=みんなで笑う日」と感じられ、ハロウィンは「ありがとうを伝える日」になれば素敵ですね。
保育士さんの工夫で、英語のハロウィンが「こわい日」から「笑顔の日」に変わります。
これはご家庭でもすぐに実践できるアイデアですね。
やさしい英語と優しい気持ちで、今年のハロウィンを楽しみましょう!
