年度の締めくくりなどに行われる発表会。
子どもたちが日々の成長を見せる大切な場ですが、そこに“English Performance(英語発表)”の要素を取り入れることで、言葉への興味と自信を大きく育てることができます。
英語劇・スピーチのねらい

「完璧な発音」より「伝える楽しさ」
英語発表というと、「ちゃんと発音できるかな」「間違えないかな」と心配になる先生や保護者の方も多いでしょう。しかし、小さな子どもたちにとって大切なのは、 “正しさ”よりも“伝える意欲”。
英語を使って表現する経験そのものが、ことばへの興味と自信を育てます。
たとえば「The Very Hungry Caterpillar(はらぺこあおむし)」のような物語を題材にすれば、繰り返しのフレーズが多く、自然にセリフが身につきます。
「I’m hungry! 」「I like apples! 」といった簡単なセリフでも、気持ちをこめて言うことで、伝える力を育てることができます。
題材選びは「日常語+子どもが親しめるストーリー」
英語劇を行うときは、子どもが意味を理解できる題材を選ぶことが大切です。以下のような作品やテーマがおすすめです。
- 絵本劇:「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See? 」「The Very Hungry Caterpillar」など
- 季節の物語:「The Snowman」「Easter Bunny」「Santa’s Workshop」など
- オリジナル短劇:「At the Zoo(どうぶつえんで)」「Let’s Go Shopping(おかいものごっこ)」など
どれも、日常生活で使う英語表現が多く、遊びの延長で練習できる内容です。
練習の工夫:「動き」「音」「リズム」で自然に覚える
文字や意味だけで覚えようとすると、子どもにとっては難しく感じてしまいます。英語劇の練習は、次のように「体を使って」覚えるのがコツです。
- 動きをつけて覚える
セリフと一緒にジェスチャーを加えると、意味が分かりやすく記憶にも残ります。
例:「Open the door! 」→実際にドアを開けるポーズをする。 - リズムを感じる
英語は音のリズムが大切です。BGMに合わせてリズム練習をしたり、セリフをラップ調で言ってみたりすることで、英語のテンポを自然に体で覚えられます。 - 音読より“コーラス練習”を多く
個別に発表する前に、みんなで声をそろえてセリフを言う「チャンツ練習」を多めに行うと、安心感を持って声が出せます。
英語スピーチに挑戦!小さな自己紹介から始めよう
劇だけでなく、ひとりずつの短いスピーチも人気です。はじめは簡単な自己紹介からで十分です。
- Hello! My name is Sora.
- I’m five years old.
- I like apples and dinosaurs!
- Thank you!
これを舞台の上で言えるようになるだけでも、子どもたちは大きな達成感を味わいます。
発表前には、鏡を見ながら表情練習をしたり、マイクを持って練習ごっこをするのも効果的です。
発表会にも使える!英語の歌&チャンツ集
~リズムで楽しむ”English Performance”の世界~
英語劇やスピーチの練習で大切なのは、「声を出すことが楽しい!」という気持ちです。そんなときに役立つのが、英語の歌やチャンツ(リズム遊び)。
子どもたちはメロディーやリズムに乗ることで、自然と英語の音やリズムを体で覚えていきます。
導入・オープニングにぴったり!あいさつソング
英語劇や発表会のはじまりには、会場の雰囲気を明るくする「Hello Song」が定番です。
英語のリズムや発音練習にもなり、ステージのウォーミングアップに最適です。
おすすめ曲をいくつか紹介しましょう。
“Hello Song”(Super Simple Songs)
“Hello! Hello! How are you?” の繰り返しで、簡単なあいさつ表現が自然に身につきます。
“Good morning to You”(伝統曲)
優しいメロディーで、保護者へのあいさつにも使えます。
チャンツ例:
- “Hello, hello, clap your hands!
- Hello, hello, jump and dance!”
ポイント:
歌詞の動作を取り入れ、体を動かしながら行うことで緊張をほぐします。
劇やスピーチに使える!表現チャンツ集
短いリズム表現は、劇中のセリフ練習にも活用できます。
言葉+動作の組み合わせで、英語のイントネーションが自然に身につきます。
(1)気持ちのチャンツ
- “I’m happy, I’m happy, yes I am!
- I’m sad, I’m sad, oh no, oh no!”
感情表現を表情と一緒に練習することで、スピーチにも生かせます。
(2)動作のチャンツ
- “Walk, walk, walk to school!
- Run, run, run—so cool!”
身体表現の多い年少クラスにぴったり。リズムに合わせて行進するだけでも舞台が華やぎます。
(3)ありがとうチャンツ
- “Thank you, thank you, thank you so much!
- You’re welcome, you’re welcome, nice to touch!”
発表会の締めくくりに入れると、英語で感謝を伝える良い練習になります。
季節のテーマソング:行事発表にも活用!
保育園行事に合わせた英語ソングを取り入れると、発表会全体に一体感が生まれます。
| 季節 | おすすめ曲 | 活用シーン |
|---|---|---|
| 春 | “If You’re Happy and You Know It” | 新入園・歓迎会のオープニングに |
| 夏 | “The Wheels on the Bus” | 乗り物劇・おでかけテーマに |
| 秋 | “Five Little Pumpkins” | ハロウィン劇・英語遊びに |
| 冬 | “We Wish You a Merry Christmas” | クリスマス発表会のフィナーレに |
ポイント:
歌の途中にセリフを加えたり、動作をつけたりすることで、劇と歌の融合ができます。
- “The Wheels on the Bus go round and round”
→ステージ上でバスの動きを演じる - “We Wish You a Merry Christmas”
→ 手作りキャンドルや帽子を持って登場する。
本番での演出と保護者への伝え方

英語劇を行うときは、日本語のナレーションを少し添えることで、保護者にも内容が伝わりやすくなります。
たとえば「Now, the animals are coming to the zoo! (どうぶつたちが動物園にやってきます)」のように、英語と日本語を交互に使うことで、英語初心者の子どもたちも安心して参加できます。
保護者には、「英語の正確さより、子どもたちが伝えようとする姿を見守ってください」と一言添えておくと、温かい雰囲気で発表を迎えられます。
保護者との協働:家庭でのサポートが自信を育てる
発表会の成功には、家庭との連携も欠かせません。家庭での関わりが、子どもの意欲を大きく高めます。
- セリフ練習を“英語あそび”に変える
おうちで「Let’s practice together! 」と言いながら、親子でまねっこ遊びをするだけでも、自然に声が出ます。 - 英語を褒めるポイントを伝える
「発音上手だね」よりも「よく声が出てたね」「笑顔が素敵だったね」と“伝えようとした姿勢”を褒めることで、英語への自信が定着します。 - おうちでミニステージを作る
家族の前で練習したり、スマホで動画を撮って本人に見せたりすることで、表現力が磨かれます。
こうした家庭での“温かい応援”が、子どもたちの本番での輝きを支えます。
発表後の発展:英語あそびにつなげよう
発表会が終わったあとも、英語活動を一過性で終わらせずに、「楽しかったからまたやりたい!」という流れを作ることが大切です。
- 劇の世界を再現するごっこ遊び
「The Zoo again! 」と題して、発表した劇を遊びとして再演する。登場キャラクターを増やしたり、子どもが自分でセリフを考えたりすると、創造力が伸びます。 - 英語絵本や歌に広げる
劇で使った物語を英語絵本で再確認したり、劇中の英語フレーズをチャンツや歌にして遊んだりすると、言葉が定着します。 - 国際理解活動へ発展させる
劇のテーマを外国の文化や習慣に結びつけるのもおすすめです。たとえば「Easter Bunny」を題材にしたなら、イースターの由来や海外の祝い方を紹介するなど、英語と文化をつなげる体験に発展させることができます。
まとめ
英語劇やスピーチは、子どもたちが「英語で伝えたい!」という気持ちを実感できる大切な活動です。
完璧を目指すのではなく、「自分の声で伝えられた!」という経験を積み重ねることが、将来の英語学習への意欲につながります。
発表会を“English Performance”に変えることで、子どもたちの舞台が世界へと少しずつ広がっていくのです。
