日本語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語といった明確な「敬語」のルールがあります。相手との関係性や立場によって使う言葉が変わる、体系的な仕組みです。
一方で、英語には日本語のような厳格な敬語体系はありません。しかし、だからといって「敬意を示す表現がない」わけではありません。英語にも、相手を思いやり、配慮を伝えるための丁寧な言い回しが豊富にあります。
英語における丁寧さの基本は politeness(ポライトネス)。形式よりも、「相手に失礼にならないように」「気持ちよくコミュニケーションを取りたい」という姿勢が重視されます。
日本語のような形の敬語ではなく、英語は心の敬語。その考え方を理解すると、ビジネス英語はより自然になります。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 英語に厳密な敬語はないが「配慮(politeness)」が本質で、相手を思いやる姿勢が丁寧さを生む。
- 命令形を避け質問形や助動詞(could / would)を使い、断定を弱めることで柔らかく丁寧な表現になる。
- 受動態・現在完了・クッション言葉・理由付けを活用すると、自然で信頼されるビジネス英語が実現できる。
敬語を英語で伝えるコツ

英語ビジネスメールでは、「命令しない」「断定しすぎない」「相手を主語にしすぎない」が基本です。以下、実務でよく使うポイントを整理します。
敬称をつける
英語では、相手への敬意はまず呼びかけから始まります。
Mr. / Ms. + Last name
Dear Ms. Tanaka,
Dr. / Professor(肩書きがある場合)
Dear Dr. Sato,
Sir / Madam(相手が特定できない場合)
※ファーストネームで呼ぶ文化もありますが、初回メールやフォーマルな取引では姓+敬称が無難です。
命令形ではなく質問形を使う
日本では「Please〜」は丁寧だと習いますが、文法上は命令形です。ビジネスでは、より柔らかい質問形が好まれます。
× Please send the file.
○ Could you send the file?
さらに丁寧にするなら:
○ Could you send the file, please?
○ Would you be able to send the file by tomorrow?
なぜ「Could」「Would」が丁寧なのか?
過去形にすることで、現実から一歩引いた仮定のニュアンスになります。「できるなら…」という控えめさが生まれ、直接的な印象が和らぎます。
Can you confirm the schedule?(やや直接的)
Could you confirm the schedule?(より丁寧)
さらに丁寧:
Would you mind confirming the schedule?
(スケジュールをご確認いただいてもよろしいでしょうか。)
「Would you mind~」の後に、動詞を進行形にした動名詞「~ing」が直接続く場合は、「~していただけますか?」という依頼を示します。
「英会話で「would you mind~?」を使う際には続く語句に注意」(Weblio)
助動詞で柔らかくする
would / could / might などを使うと、断定を避けられます。
× We need your approval.
○ We would appreciate your approval.
× We will change the plan.
○ We would like to propose a change to the plan.
断言を避けることで、相手に選択の余地を与え、対話的な印象になります。
受動態を活用する
受動態は、責任の所在をぼかし、角を立てない便利な表現です。
× You sent the wrong file.
○ The wrong file was sent.
× You made a mistake.
○ An error was found in the document.
問題を「人」ではなく「事実」にフォーカスするのが、英語ビジネスの基本姿勢です。
理由や説明を加える
ビジネスコミュニケーションでは、理由を添えるのが自然です。説明があると、配慮のある印象になります。依頼・変更・お断りの際は、理由を一言添えましょう。
Could you submit the report by Friday
because we need to finalize the presentation?
プレゼン資料を最終確定する必要があるため、
金曜日までにレポートをご提出いただけますでしょうか。
現在完了形で丁寧に
現在完了形は「今につながる行為」を示し、柔らかな印象になります。迅速に対応している印象も与えられます。
× I forgot the attachment.
○ I have forgotten to attach the file.
× I received your feedback.
○ I have received your feedback. Thank you.
さらに上を目指す:ワンランク上の敬語英語

敬語の基本を押さえたら、次はさらに印象をよくする工夫です。
クッション言葉で柔らかく
日本語の「もしよろしければ…」「恐れ入りますが」などにあたる表現です。
I was wondering if you could review the document.
よろしければ資料をご確認いただけますでしょうか。When you have a moment, could you reply?
お時間のある際にご返信いただけますか。I’m afraid we cannot meet the deadline.
恐れ入りますが、期限に間に合いません。Unfortunately, the shipment has been delayed.
あいにく、出荷が遅れております。
フォーマルな単語を選ぶ
カジュアルすぎる語はビジネスでは避けます。フォーマルな単語に置き換えるだけで丁寧さが伝わります。
ask → inquire / request
help → assist
get → receive
need → require
buy → purchase
tell → inform
check → verify
give → provide
choose→ select
Would you assist us with this matter?
本件につきご支援いただけますでしょうか。We have received your inquiry.
お問い合わせを受領いたしました。
ただし、難しい単語を乱用する必要はありません。自然さとのバランスが大切です。
こんな場面で特に使える
- 海外クライアントとの初回連絡
- 上司・役員への報告
- 契約・見積・納期調整
- クレーム対応
- 断り・辞退メール
とくにトラブル対応や納期調整では、丁寧さが信頼に直結します。
まとめ:「相手を思いやる気持ち」
英語に日本語のような厳密な敬語体系はありません。しかし、だからこそ重要なのは「相手を尊重する姿勢」です。
命令しない。断定しすぎない。理由を添える。
ほんの少しの工夫で、丁寧さが伝わる表現になります。
ビジネスメールやメッセージ(Slack・Teams・Chatworkなどのビジネスチャットで使う短い英文)で一つずつ取り入れていけば、自然と「この人は丁寧で信頼できる」と感じてもらえるようになるでしょう。
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