英語の勉強をしていると、「せっかくなら、教科書には出てこない自然な英語を知りたい」と思うことがあります。そんなときにおすすめしたいのが、オーストラリア発のアニメ Bluey(ブルーイ)。

6歳のBlueyと妹Bingo、そしてパパのBandit、ママのChilliの4人家族を中心に、毎日のような出来事が描かれるアニメです。Blueyの公式サイトでも、Blueyは「何より家族とゲームをすることが大好きな子」と紹介されています。

ところが、英語版を親目線で観ていると、単に「子ども向けだから英語がわかりやすい」という以上に、ハッとさせられることがあります。それは、「こんなふうに子どもと話せたらいいな」と思う親子のやりとりが、あちこちに出てくること。

今回は、英語学習者としても面白い「親の声がけ」「親子の会話」「親の行動」に注目して、Blueyから学べる子育てを考えてみます。

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • 子どもの遊びに本気で付き合う:パパのBanditのように遊びの世界に入り込むことが、親子のコミュニケーションになります。”Let’s play!”などの自然な英語も身につきます。
  • 正す前に理解し、具体的にほめる:子どもの想像や感情をまず受け止め、”You kept trying.”のように行動を具体的に言葉にして伝えることが大切です。
  • 親も完璧でなくていい:選択肢を渡す、一緒に家事をする、親自身も人生を楽しむ。Blueyの家族は、完璧さより「一緒にやっていく」姿を見せてくれます。

まず、子どもの「遊び」に本気で付き合う

まず、子どもの『遊び』に本気で付き合う

Blueyを観ていて最初に驚くのが、パパのBanditの遊びへの入り込み方です。

子どもが「これやろう!」と言えば、「はいはい、また始まった……」ではなく、かなりの確率でその世界に入っていきます。

タクシーの運転手になったり、ホテルのスタッフになったり、ロボットになったり・・・Banditは、仕事や家事、睡眠不足がある中で、残ったエネルギーを使って娘たちとのゲームを考えているパパです。ここで大事なのは、「子どもの遊びを大切にする」ということ。

親からすると、「そんなことして何になるの?」と思うような遊びでも、子どもにとっては大事な学びの時間です。そして英語版を観ていると、遊びの中の英語は教科書英語よりずっと生き生きしています。

たとえば、

“Let’s play!”
(遊ぼう!)

“Your turn.”
(あなたの番だよ)

“My turn!”
(私の番!)

“Come on!”
(おいで/さあ!)

といった短い表現が、何度も自然に登場します。何より、「遊び=子どもの時間」ではなく、

「遊び=親子のコミュニケーション」と考えられるようになるのが、Blueyの面白いところです。

「正しくしなさい」より、まず子どもの世界を見る

『正しくしなさい』より、まず子どもの世界を見る

Blueyの子どもたちは、とにかく想像力が豊か。普通の日常が、すぐに壮大なゲームに変わります。大人からすると、「何をしているの?」ということも少なくありません。
でも親たちは、いきなり現実に引き戻すのではなく、その世界を一度受け止めます。

たとえば子どもが床に寝転がって、「ここは宇宙なんだよ!」と言ったとします。親としては、「早く起きて着替えなさい」と言いたくなる。もちろん、時間によってはそう言わなければいけない。

でも、いつも大人の都合だけで子どもの世界を終わらせてしまうと、子どもが「自分の発想を受け止めてもらえた」という経験は減ってしまいます。

Blueyから学びたいのは、「正す前に、理解する」という姿勢です。

これはアメリカの子育て支援にも通じる考え方です。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、子ども主導の遊びについて、親が子どもの行動を真似したり、言葉にして描写したり、子どもの気持ちを反映して返したりすることを勧めています。また、遊びの中では質問や指示、批判を減らし、子どもがリードできる時間をつくることを提案しています。
参考:CDC “Tips for Child-led Play”

つまり、「何してるの?」と質問攻めにするより、“You’re building a big tower!”「大きなタワーを作ってるね」と、子どもがしていることをそのまま言葉にしてあげる。

これは英語の勉強としても、とても参考になります。

「すごい!」だけではなく、具体的にほめる

子どもをほめるとき、つい、”Good job!”だけになってしまいませんか?Blueyを観ていると、子どもの行動をよく見ている親の言葉が印象に残ります。

たとえば、“You did it!”「できたね!」、“I love the way you…”「あなたの〇〇するところ、好きだな」というように、「何がよかったのか」を具体的に伝えています。

子どもが何をしたのかを具体的に伝えることで、子ども自身が「自分のどんな行動を認めてもらえたのか」を理解しやすくなるとされています。

たとえば、「えらい!」だけではなく、「最後までやってみたね」「妹に貸してあげたね」「自分で考えて決めたね」と伝えること。

英語なら、“You kept trying.”「何度も挑戦したね」、“You figured it out.”「自分で答えを見つけたね」など。

こういう短い英語は、親子の日常でも使いやすい表現です。

「失敗しないように」ではなく、「やってみる」を応援する

Blueyには、子どもがうまくできないことに挑戦する場面がたくさんあります。

その中でも印象的なのが “Bike”。うまく自転車に乗れない子どもたちが、それぞれ苦戦しながらも、周囲の姿を見たり、何度も挑戦したりしながら前に進んでいきます。

ここで大人が、「こうやるんだよ!」と全部答えを教えてしまったら、子ども自身が「できた!」と感じる機会はなくなってしまいます。必要なのは、「答え」ではなく「もう少しやってみるための支え」なのかもしれません。

英語なら、“Give it a try.”「やってみよう」、“You can do it.”「できるよ」、“Take your time.”「ゆっくりでいいよ」など。

大人は「早く、早く」となりがちですが、子どもの時間は大人の時間とは違います。急がなくてもいい場面では、「自分のペースでやっていい」というメッセージを渡してあげると、それだけでも子どもの安心感は変わるのではないでしょうか。

子どもに「選ばせる」ことも、のびのび育てる一部

のびのび育てるというと、「好きなことを何でもやらせる」というイメージがあります。でも、実際には「選択肢を渡す」という方法もあります。

たとえば、「赤と青、どっちがいい?」「今やる?それとも5分後にする?」のように、親がすべて決めるのではなく、子どもに小さなことを自分で選ばせます。

英語なら、“Which one do you want?”「どっちがいい?」、“You choose.”「あなたが選んでいいよ」、“Do you want A or B?”「AとB、どっちがいい?」など。

このあたりは英語学習にも非常に使いやすい表現です。

「嫌だったね」と、感情を否定しない

Blueyを観ていると、子どもが悲しんだり、怒ったり、悔しがったりする場面もたくさんあります。そこで大切なのが、「そんなことで泣かないの」と感情そのものを消そうとしないこと。

子どもが泣いているなら、「悲しかったんだね」「嫌だったんだね」と、その気持ちをまず受け止める。

英語なら、“I know.”「わかってるよ」、“That was hard.”「大変だったね」、“You’re upset.”
「嫌だったんだね/怒ってるんだね」、“It’s okay to be sad.”「悲しくてもいいんだよ」など。

日本語では「大丈夫?」と声をかける場面でも、英語では相手の状態をそのまま言葉にしてあげることがあります。もちろん英語圏の家庭がすべて同じコミュニケーションをするわけではありません。

「感情を消す」のではなく、「感情があることを認めたうえで、次に進む」という考え方を番組内では大切にしているようです。

親だって完璧じゃない

Blueyの親たちが魅力的なのは、「理想の親」だからではありません。むしろ、かなり人間らしい。BanditもChilliも疲れます。

イライラすることもある。子どもに振り回されることもある。そして、ときには親自身が間違えます。

ここが私はBlueyの大きな魅力だと思っています。子育てをしていると、「もっと優しくしなきゃ」「もっと子どもの話を聞かなきゃ」「怒っちゃいけない」と、自分自身に厳しくなってしまいます。

でも、毎日ずっと理想的な親でいるなんて無理です。Blueyの親たちは、完璧な育児を見せるというより、「今日も家族として一緒にやっていく」という姿を見せてくれます。

Chilliの公式プロフィールにも、彼女は子どもたちに世界のことや困難との向き合い方を教える一方で、家の中が大騒ぎになれば冷静さを保ち、遊ぶときには自分も思い切り遊ぶ人物として描かれています。

そして、親が子どもに何かを教えるだけではありません。

子どもと一緒に笑い、子どもからも影響を受け、親自身も変わっていく。そこに家族の面白さがあります。

家事も「子どもの生活」の一部にする

Blueyを観ていると、家族の生活が「遊び」と「教育」にきれいに分かれていないことにも気づきます。食事をする。片付ける。出かける。そうした普通の生活そのものが、子どもたちの学びになっています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のPositive Parenting Tipsでも、幼児期の子どもに簡単な家事を手伝わせることが勧められています

英語なら、“Can you help me?”「手伝ってくれる?」、“Let’s clean up together.”「一緒に片付けよう」など。

「やりなさい」と命令するだけではなく「一緒にやろう」と声をかけるだけでも親子の空気が少し柔らかくなります。

「子どものため」だけではなく、親も人生を楽しむ

『子どものため』だけではなく、親も人生を楽しむ

Chilliを見ていて感じるのが、彼女が「ママ」という役割だけで生きていないことです。スポーツをしたり、友人と過ごしたり、自分自身の時間を持ったりする。これは意外と大切なポイントではないでしょうか。

「良い親になるには、すべてを子どもに捧げなければいけない」と思ってしまうと、親はどんどん疲れてしまいます。子どもにとっても、親が自分の人生を楽しんでいる姿を見ることは悪いことではありません。

家族の中に、「親も一人の人間」という余白がある。それも、Blueyの家庭の心地よさにつながっているように感じます。

よくある質問

Blueyは英語学習にどう役立ちますか?

“Your turn.”や”Give it a try.”など、親子の日常で使える短く自然な英語表現が繰り返し登場します。教科書には出てこない生きた会話に触れながら、声がけのフレーズも身につけられます。

Blueyから学べる子育てのポイントは何ですか?

子どもの遊びに本気で付き合うこと、正す前にまず理解すること、感情を否定せずに受け止めることなどです。親自身も完璧を目指さず、子どもと一緒に人生を楽しむ姿勢が描かれています。

子どもを英語でほめるときのコツはありますか?

“Good job!”だけでなく、”You kept trying.”(何度も挑戦したね)のように、何がよかったのかを具体的に伝えるのがコツです。子どもが自分のどの行動を認めてもらえたのか理解しやすくなります。

のびのび育てるとは、「放っておく」ことではない

Blueyを英語版で観ていると、英語表現以上に心に残るものがあります。それは、「子どもを一人の人間として見る」ということです。もちろん、Blueyはオーストラリアの作品なので、「これがアメリカ式の子育て」というわけではありません。国が違っても、子育ては、子どもを育てるだけの時間ではなく、親も子どもと一緒に人生を楽しむ時間なのだということは世界共通なのではないでしょうか。今日、子どもが「一緒に遊ぼう!」と言ってきたら。忙しいからとすぐ断る前に、ほんの5分だけでも、“Sure. What are we playing?”「いいよ。何して遊ぶ?」と答えてみましょう。
その5分が、子どもにとっては何年経っても覚えている「親との時間」になるかもしれません。

 

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Ayana1225 英語翻訳者・コンテンツライター / Translator & Content Writer
翻訳とライティングを専門とするフリーランス。早稲田大学院修了後、百貨店での実務経験や海外生活を通じて英語力を磨き、企業向け翻訳やPRコンテンツ制作を多数手がけている。TOEIC915点、英検準1級を保持。