みなさん一度は、誰かから「グッジョブ!」と言われたり、また誰かに「グッジョブ!」と声をかけたりしたことがあるでしょう。
「グッジョブ」には、「お疲れ様!頑張ったね!」のような気持ちが込められていると、日本人なら誰もが疑わずに信じていますよね。
「グッジョブ」は、英語で”Good job!”と書き、日本語のカタカナ読みが定着して使われるようになった外来語です。
日常のさまざまな場面でよく耳にする「グッジョブ」ですが、英語ではどのような意味を持っているかご存知ですか?
今回は、意味を誤りやすいカタカナ言葉「グッジョブ」について、英語の”Good job!”が表す正しい意味と使い方、”Good job!と言い換えできる英語表現を紹介していきます。
「グッジョブ」の意味
「グッジョブ」は、賞賛を意味する英語”Good job”に由来したカタカナ言葉です。
仕事や勉強、試験など、何かを達成した功績や積み重ねてきた努力を讃えて、相手を褒めるときの決まり文句としてよく使われています。
「頑張ったね!」や「ご苦労様!」の気持ちを伝える日本語としても浸透しているので、職場や学校、家庭、仲間内で頻繁に耳にするフレーズですね。
しかし、「グッジョブ」が英語由来のカタカナ言葉だからといって、英会話で安易に”Good job”を多用するのは要注意です。
というのも、英語の”Good job”は、カタカナの「グッジョブ」のように誰にでも気軽に使える言葉ではないからです。
日本語の「グッジョブ」には、いろいろな意味が含まれています。
「がんばったね!」と、相手の成果や努力、能力を褒め讃えると同時に、「おつかれさまでした」と、相手を労う気持ちが込められています。
「グッジョブ」を「がんばったね!」「おつかれさま」と訳せるからといって、それがそのまま英語で”Good job!”に言い換えられるとは限らないのです。
”Good job!”の意味
”Good job!”は、英語で相手を褒めるときの定番表現ですが、日本語で使われている「グッジョブ」とは少し違ったニュアンスを持っています。
”Good job”は、辞書で以下のように定義されています。
used for praising someone for something they have done well
誰かが何かをうまくやったことを褒めるときに使う
”Good job”は直訳で、「良い仕事」ですが、「よくやった」「よくできました」のように、何かを達成したり成功したりしたときに、相手を褒める言葉として使われます。
”Good job!”を使ううえで注意したいポイントは、声をかける相手との関係性と、自分の置かれている状況です。
”Good job!”は、親が子どもに対して、教師が生徒に対して、仲の良い友だち同士でなど、比較的カジュアルな場面や間柄で使われるのが一般的です。
「良い出来だ!」「よくやった!」という、上から目線のニュアンスも含んでいるため、通常は社長から社員へ、上司から部下へのように、立場が上の者がかける言葉として認識されています。
職場の同僚に、英語で”Good job!”と言った場合、相手にとっては「よくやったな!」くらいの感覚で捉えられていると言っても過言ではないでしょう。
立場が同じ同僚やチームメイトならまだしも、先輩や上司に対して”Good job!”と言うのは、非常に失礼で、褒めたのにむしろ嫌味を言ってきたと誤解されないとも限りません。
したがって、自分よりも立場が上の人に対して”Good job”を使うのは、避けておくのが無難です。
特に上下関係を重んじるような堅い職場では、安易に”Good job!”と口にするのは禁物といえるでしょう。
とはいえ、たとえ上司と部下、先輩と後輩といえども、上下関係を気にしない常にフラットな関係を大切にしている職場もあります。
外資系企業や海外と取引の多い会社では、相手が社長や上司など目上の人であっても、”Good job!”と言って全く問題がないような職場もあるかもしれません。
アメリカ英語とイギリス英語で文化や習慣が違うように、相手の国籍や育ってきた環境、職場の雰囲気などによって、”Good job!”の受け止め方は異なります。
自分が置かれている状況に応じて、言葉を適切に使い分けることが重要なのです。
「おつかれさま」に”Good job!”は使えない
日本語のコミュニケーションに欠かせない「おつかれさま」は、挨拶から称賛、労い、メールの枕詞としてさまざまな意味を持っている言葉です。
使うシーンによっていろいろな解釈ができるので、英語ネイティブにとっては非常に難しい日本語といえるかもしれません。
たとえば、出勤時や休憩時に交わす「おつかれさま」と、仕事終わりの「おつかれさま」は意味合いが違いますし、終業時の「おつかれさま」は、「さようなら、また明日」とも言い換えられます。
そんな多義語ともいえる「おつかれさま」は、英語に直訳できないのが悩ましいところです。
「おつかれさま」は、場面によって意味が変わってくるため、英語で的確に表現するには、どういう意味を込めて、どのような場面で使うべきなのかをしっかり理解しておく必要があります。
状況によって異なる意味を持つ「おつかれさま」を、場面別に言い換えた英語表現を紹介します。
気軽な挨拶として声をかけるときの「おつかれさま」
|
仕事が終わって帰るときの「おつかれさま」
|
英語では、仕事やプライベートにかかわらず通常の帰り際の挨拶を交わします。
”See you tomorrow.”のような標準的な挨拶でも、業務の疲れを労う気持ちを十分に表現できます。
言葉通りの意味を込めて相手を労うときの「おつかれさま」
|
上記を日本語にするなら、「どうも、大変おつれさまでした」と、肩に手を添えて声をかけるような場合の表現ですね。
「おつかれさま」に代表される日本語の挨拶表現は、形式化されやすく、わたしたち日本人であってもその言葉の意味を理解できているとは限りません。
英語に言い換えるときは、言葉に込められた意味や意図、伝えたいメッセージを明確にして、はっきりと言語化することが大切です。
”Good job!”の例文
”Good job!”を使って相手を褒めるときは、相手の名前を呼んだり、具体的な内容をはっきりと伝えたり、また自分がどう感じているかをしっかり言葉にすることが重要です。
親が子どもを褒める場合の”Good job!”
訳)やったわね!こんなに上手に詩を書けるなんて思わなかった。
訳)50mも泳げるようになったの?やったね!
友人や同僚に対する褒め言葉の”Good job!”
訳)すばらしい仕事ぶりだったよ!これからも頑張って!
訳)やっと禁煙したんだね。頑張ったね!
自分や仲間を自画自賛するときの”Good job!”
訳)わたしたち、よく頑張ったよね!
訳)わたしたち、かなり頑張ったと思う!
”Good job!”の言い換え表現
英語で相手を褒めるときは、具体的な理由と自分の素直な気持ちを、はっきりと言葉にして伝えることがとても大切です。
とはいえ、いきなり具体的な理由や自分の気持ちを英語で説明するのは難しいですよね。
そんなときは、シンプルに感謝の意を述べるだけでも十分伝わります。
”Thank you for your hard work.”(一生懸命やってくれてありがとうございます)というフレーズを思い浮かべた方もいるかもしれませんが、残念ながらこの表現はあまりおすすめできません。
”Thank you”から始まるので、一見、普通に感謝を述べているように思われがちですが、じつは”Good job!”同様に、やや上から目線の表現になってしまうのです。
日本語に訳すと「ご苦労だったね」のようなニュアンスが含まれるため、目上の人には使わないようにしましょう。
相手の仕事や努力を讃えたいときに、褒め言葉として使える”Good job!”の言い換え表現を紹介します。
「素晴らしい!」の気持ちが一言で伝わる表現
- Great job!
- Excellent job!Good work!
- Great work!
- Excellent work!
- Well done!
- It was great.
”excellent”は”great”よりもさらに素晴らしいときに、「優秀」という意味合いを含んで使われます。
いずれの表現も、「素晴らしい仕事ぶりでした!」「良い仕事をしましたね!」「お見事でした!」などと訳されます。
“Thank you〜”から始まる感謝の表現
“Thank you”は、世界共通の感謝の言葉です。
他の言い方を覚えるのが難しい場合は、まず感謝の表現を覚えておくことおすすめします。
訳)あなたの素晴らしい仕事にとても感謝しています。
訳)貴重な時間をありがとうございました。
称賛や尊敬の気持ちを伝える表現
”really”や”always”を入れることで、より強調した言い回しになります。
心の底から感心したり感激したりした気持ちをしっかりと言葉にして、相手に伝えましょう。
訳)あなたの一生懸命な仕事ぶりには感心しました。
訳)あなたの仕事に対する勤勉な姿勢を尊敬しています。
まとめ
意味を誤りやすいカタカナ言葉「グッジョブ」について、英語”Good job!”の意味と正しい使い方、”Good job!の言い換え表現を紹介しました。
「グッジョブ」は、英語”Good job!”から由来したカタカナ言葉です。
「よくやった!」「頑張ったね!」など、相手の功績を讃えて褒めるときに使われています。
とても簡単で便利な一言ですが、英語では上から目線な印象を与え、失礼に当たる場合もあります。
日本語で使っているニュアンスのまま英語で言ってしまうと、思わぬ誤解を招いてしまうかもしれません。
「グッジョブ」のように聞き慣れたカタカナ言葉こそ、英語本来の意味をしっかりと理解して正しく使っていくことが大切ですね。
あわせて読みたいおすすめ関連記事: