「英語で何て言う?」コーナー、今回は日本の文化を外国の友人などに紹介する時に便利なキーワードです。

外国人の方と話す際には、お互いの国や地域の文化が話題になることは多いと思います。

そんな場合に備えて、今回紹介する単語やフレーズを覚えておくといいかもしれません。

日本の文化は「選ばれた」文化?

日本は、古代から中国の文化圏に属し、外国のものを積極的に取り入れながら、自国のものとうまく融合させて、独自の文化を育ててきました。

中国に大きな影響を受けはしたものの、支配下に入ることはなく、外国との交流をしなかった平安期、江戸期に日本独特の文化が特に成熟したと考えられています。

江戸末期に開国したとき、日本は「世界の中の日本」ということを強く意識するようになります。そして、日本の存在をアピールし、アイデンティティを確立する役割を文化や芸術に求めました。今、「日本の文化」とされている伝統的なものの多くは、明治期に「選ばれた」ものだと言われています。

では、日本の文化を「選んだ」人は誰なのでしょう?

その一人に、福沢諭吉がいます。

アメリカやヨーロッパを見てきた諭吉は、外国人が好みそうな、それでいて中国や朝鮮と一緒にされない日本独自の文化を選び、海外に紹介しました。その際、茶道や能などの芸術、相撲・柔道などのスポーツ、陶器・漆器などの伝統工芸が選ばれたと言われています。こうして、日本の文化は海外へ渡っていったのです。

ところで、「他の国と混同しない日本独自の文化」とは、一体何でしょうか?

茶道を取り上げて、探ってみたいと思います。

茶道で、お茶碗を回す意味を考えてみる

茶道でお茶を飲むときに、茶碗を左に2回半回していただきます。これはなぜなのでしょうか。実は、そこには日本の「思いやり」の文化が現れているのです。

まず、亭主(客をもてなす側)はお茶を立てるとき、客の方に茶碗の正面を向けて立てます。これは、相手に敬意をもち、茶碗の美しさを楽しんでもらおうとする気遣いです。

そして、客が茶をいただくときには、その想いに答えるよう茶碗を回し、亭主の方に正面を向けるのです。口に出さずとも相手を思いやり、尊敬し、お互いに「今」という時間を大切にする。そんな、思いやりと繊細さのある日本ならではの文化が、茶道には流れているのです。

それでは、茶道ついて英語で伝えてみましょう。

茶道は「tea ceremony」といいます。英文で説明すると、

「The ceremony involves inviting guests and making and offering them “maccha tea”.」

(客を招き、抹茶をたててもてなすお作法です。)

となります。

「involve」は「巻き込む」という意味ですが、「involve + ~ing」で、「~することを(必然的に)伴う」という意味になります。「もてなす」は「invite  guests」となります。

他の芸術についても英語で何といえばいいのか、それぞれ見ていきましょう!

華道「flower arrangement」

「Japanese unique art of flower arrangement.」

(日本独特のフラワーアレンジメントの技術です。)

書道「Shodo(calligraphy)」

「The art of writing aesthetically using “fude” and “sumi.”」

(筆と墨を使って、文字を美しく書く芸術です。)

筆は「Japanese brush」、墨は「Japanese-style black Indian ink」といいます。

ちなみに、墨を「Indian ink」というのは、ヨーロッパから見ると「東インドを通ってもたらされたインク」ということで「Indian ink」という説があるようです。墨は「Chinese ink」、「Japanese ink」、もしくは単純に「ink」でもOKです。

歌舞伎「Kabuki」

こちらは少し説明が難しいかもしれませんね。

「A highly-stylized traditional Japanese play. 」

(高度に様式化された伝統的な日本の演劇です。)

「Kabuki dramas are performed exclusively by males. Players who take the female roles are called onnagata.」

(歌舞伎は、男性だけで演じられます。女性役を演じる俳優は、女形といいます。)

歌舞伎が現在のように演劇の形になる以前、江戸時代初期には女性が演じていた時代もありましたが、幕府が女歌舞伎を禁止し、現在のような男性だけの形になったといいます。

能「Noh 」

「A classic masked drama. Performers dance and sing to the music of flutes and drums.」

(古典的な仮面劇です。役者は笛やつづみにあわせて踊り、うたいます。)

狂言「Kyogen」

「A traditional comedy acted between No plays.」

(狂言は、能と能の間に演じられる伝統的な喜劇です。)

次に、日本のスポーツについても見ていきましょう。

すもうの試合は「あ・うん」の呼吸で始まる

芸術と同じく、すもうにも日本ならではの文化を見ることができます。古くは神事であったことが多いに関係しているのかもしれません。

例えば「立合い」という独特なスタート。力士同士の言葉のない合意によって試合が開始するという、とても珍しいルールです。しかも、気が合わない場合はやり直しができます。相手の呼吸や気持ちを察しながら、すきを逃さない術は、柔道や剣道にも通じる日本独特のものと言えるでしょう。

国技「 the Japanese national sport」とされている、すもうのルールを英語で説明してみましょう。

「A wrestler loses when he touches the ground with any part of his body or when he steps out of the ring.」

(力士が倒れたり、土俵の外に出たりすると負けです。)

では、他のスポーツも見ていきましょう。

柔道「Judo」

「Contestants fight by throwing their opponents to the floor, or by pinning them on the floor.」

(相手を投げたり、押さえこんだりして技を競います。)

剣道「Kendo」

「Two contestants with protective armor and a bamboo sword fight by hitting or stabbing any specific part of the opponent’s body with the bamboo sword.

(二人の競技者が防具をつけて行い、竹刀で相手の定められた部位を攻撃します。)

弓道「Kyudo」

「A Japanese martial art of archery.」

(アーチェリーのような日本の武道です。)

空手「Karate」

「A martial art of unarmed self-defense. 」

(武器を持たない護身の術です。)

おまけ:日本のゲームについて

碁「Go」

「The game is played by two persons, one placing black and the other white stones in a board. The game is won by occupying the large portion.」

(盤に、2人で交互に黒と白の碁石を置き、盤目を占めることを競います。)

将棋「Shogi」

「The game is similar to chess. Each player with 20 “koma(pieces)” tries to checkmate the opponent’s king.」

(チェスに似たゲームです。20個のこまを進めあい、相手の王将をとることを競います。)

他にも、折り紙「origami(Japanese art of paper folding)」や、じゃんけん「janken(the game of “rock-scissors-paper”) 」などの昔からの遊びもありますね。

まとめ

いかかでしたか?

周辺の国々の文化と融合したり、世相の影響を受けたりしながら、「日本の文化」を支えてきた芸術やスポーツ。明治時代に整理され、定義され、選択され、しっかりと「現在」に繋がっています。

今、日本は空前の観光ブームです。外国から来る方は、日本の文化を以前より興味深く感じてくれているように思われます。

芸術やスポーツを通して、日本文化に流れる「和」の心や相手の事を察する「思いやり」を、英語で伝えられたら素敵ですよね。

それでは、次回をお楽しみに!

引用文献:アンカー大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 株式会社学研プラス