空に浮かぶ「雲」って不思議ですよね。

一見何の変哲も無い雲だとしても、あるときは綿菓子に、またあるときは誰かの顔に見えてくるなど、その時々によってさまざまな形に変わります。日本語ではこのように印象が千変万化する雲ですが、英語の場合はどうなのでしょう?

ということで、今回は「雲」に関する英語表現がテーマです。英語で雲を何と言うかという基本的なことから、雲にまつわる決まり文句とその由来、飛行機雲やうろこ雲などの〇〇雲の英語バージョンなど、いろいろな観点から雲についてご紹介していきます。

これを読んで、日英の雲の輪郭を一緒に掴みましょう!

「雲」は英語で何て言うの?

雲は英語で “cloud” です。発音記号は「klάʊd」で、カタカナで表すと「クラウド」となります。

カタカナ発音だと “crowd(群衆)” と区別が付かないですが、こちらの発音記号は「krάʊd」、LとRで発音が異なるので、しっかり区別していきましょう。

Aさん
Look at this cotton candy. It looks like a crowd.
訳)この綿あめ見てよ、「群衆」みたいじゃない?
Bさん
Your pronunciation is wrong. Not crowd but cloud.
訳)発音が違うよ、「crowd」じゃなくて「cloud」ね。

雲って数えられる?

 

日本語では「大きな雲が1つ」というように雲を1つひとつ数えることもありますが、「空が雲に覆われている」というように、わざわざ数えないことも多いですよね。

 

このように、日本語の場合「数えられる / 数えられない」という区別は曖昧ですが、英語には「可算名詞」「不可算名詞」という区別があり、たいていの名詞はどちらかに分類されます。

 

さて、では英語の cloud は数えられる、数えられない、どちらでしょう?

 

英語のcloudは数えられる、つまり可算名詞です。単数の場合は(a / one)cloud で、複数だと cloudsになります。

 

とはいえ、空に浮かんでいる雲を指す場合、1つを取り上げることは稀なので、一般的には clouds という複数形の方が良く使われます。

 

Aさん
How is the weather around you?
訳)そっちの天気はどう?
Bさん
There are many clouds in the sky.
訳)雲だらけだよー。

 

cloudy =雲でいっぱい

 

日本語では、空が雲でいっぱいな状態を「くもり」と呼び、音として非常に連想しやすい関係になっています。英語の場合もこれは同じで、雲が多い天気は “cloudy” と呼びますcloud に y を付けただけですね。

 

英語では単語の末尾に y を付けると「…でいっぱい」という状態を表すので、cloudy はそのまま「雲でいっぱい」という意味です。日本語に負けず劣らず、覚えやすい関係性ですね。

 

ちなみに、他の天気を表す単語も多くが y で終わっていて、それぞれが同じような関係を持っています。

天気を表す英単語 表す天気 元の単語との関係
sunny 晴れ 空が太陽(sun)の光でいっぱい
rainy 空が雨粒(rain)でいっぱい
snowy 空が雪の粒(snow)でいっぱい
windy 強風 空が風(wind)でいっぱい
stormy 空が嵐(storm)でいっぱい
foggy 濃霧 空が霧(fog)でいっぱい

「雲」の慣用表現 雲は良いもの?悪いもの?

 

「雲」の慣用表現 雲は良いもの?悪いもの?

 

雲というと、日本語では「雲にも乗ったような良い気持ち」という良いイメージのこともあれば、「雲をもつかむような話」という悪いイメージで使われることもあります。

 

英語の場合も同様で、雲はプラスのイメージとマイナスのイメージ、どちらの場合でも使われる単語です。

 

ここでは、雲を使った慣用表現や決まり文句について、一部を抜粋して紹介します。

on a cloud「とても幸せな気分」

 

on a cloud は、日本語に直訳すれば「1つの雲の上に乗って」ということ。世界的に有名なアルプスの某少女のように、雲の上に乗ることができたらとても幸せな気分に浸れそうですよね。

Aさん
How was a foot massage yesterday?
訳)昨日の足つぼマッサージどうだった?
Bさん
I felt like I was on a cloud.
訳)めちゃくちゃ良かったよ。

on cloud nine「最高の気分」

 

on cloud nine は「最高の気分」という意味を表す決まり文句です。

 

意味としては先ほどの on a cloud とほとんど同じです。

 

なぜ nine なのかというと、一説によればアメリカ気象庁による雲の分類が9種類あり、そのうち最上位、つまり9番目の雲が積乱雲だからだとされています。

 

積乱雲といえば、別名「入道雲」。雲は雲でも、空高いところをフワフワ漂う特上の入道雲に乗っていれば、気分は最高でしょうね。そのため、on cloud nine は on a cloud の上位互換バージョンと捉えておけば間違いありません。

Aさん
What’s up?
訳)調子はどう?
Bさん
I’m on cloud nine!
訳)最高の気分だよ!

a cloud on the horizon「嫌な予感がする」

 

さて、一括りに雲といっても、すべてが良い雲とは限りません。遠く地平線(horizon)の上に雲が立ち込めていたら、なんだか雨でもやってきそうですよね…。

 

英語圏でもそこは同じ。a cloud on the horizon といえば、「嫌な予感がする」という意味を表す決まり文句です。

Aさん
Our teacher was looking for you.
訳)先生が君のことを探していたよ。
Bさん
Really? There’s a cloud on the horizon…
訳)本当に?なんだか嫌な予感がするな…。

live in cloud cuckoo land「夢の世界に生きている」

 

cloud cuckoo land は直訳すると「雲とカッコーの国」です。古代ギリシャの書物に出てきた完全無欠の都市の名前が由来だとされています。

 

完全な世界なのだから良い意味だろうと思われますが、そこが真逆のネガティブな意味なのが面白いところ。そんな世界はあり得ないということで、理想や夢ばかりを追いかけている人に対して、皮肉的なニュアンスで使われます。日本語の「雲をもつかむような」に近い感覚ですね。

 

ちなみに、「カッコー」は英語の cuckoo をカタカナにしただけで、日本語では本来「閑古鳥」と呼びます。雲と閑古鳥に満ちた世界、確かにちょっと末恐ろしいですね。

Aさん
I wanna live without working.
訳)働かないで生きていきたい。
Bさん
You live in cloud cuckoo land.
訳)夢の世界に生きてんな

飛行機雲、いわし雲など、〇〇雲の英語での言い方は?

 

飛行機雲、いわし雲など、〇〇雲の英語での言い方は?

 

日本語には、その形や発生理由になぞらえて「飛行機雲」「うろこ雲」「いわし雲」などと、さまざまな「〇〇雲」が存在しますね。

 

しかし、これらの表現はあくまで比喩です。私たちには月にウサギがいるように見えますが、他の国ではワニやライオン、カニに見えるそうですが、雲の場合も同じです。ところ変われば、見える世界も変わるもの。

 

ということで、ここでは「〇〇雲」の中で代表的なものを取り上げ、英語で何と言うかをご紹介していきます。

飛行機雲=contrail

 

飛行機雲は英語だと “contrail” と呼びます。読み方は「コントレイル」。

 

「結露」を意味する condensation と「痕跡」を意味する trail が組み合わされた “condensation trail” が縮まって生まれた単語です。

 

日本語では生み出す主である飛行機に着目するところ、英語では成分に目を置いているところが面白いですね。

いわし雲=cirrocumulus


いわし雲、あるいは「うろこ雲」とも呼ばれる雲は英語で “cirrocumulus”と呼ばれます。

 

読み方は「シロキューミラス」です。見るからに難しそうな単語ですが、それもそのはず。気象学的な学術用語です。日本語でも「いわし雲 / うろこ雲」は通称で、正しくは「巻積雲」と呼びます。

 

英語には通称が無いかといえば、あります。それは ”mackerel sky”。雲でなく空(sky)ですが、ほとんど同じ様子を指しています。

 

ちなみに、mackerel は「鯖(さば)」。同じ魚でも、国が変われば種類も変わるんですね。

ひつじ雲=altocumulus

 

ひつじが群れになっているかのような「ひつじ雲」、英語では “altocumulus” と言います。読み方は「アルトゥキューミラス」。

 

いわし雲の場合と同様、学術的な言葉ですね。日本語でもひつじ雲は通称で、正しくは「高積雲」と呼ばれます。

 

ちなみに、英語でも通称として “sheep clouds” と呼ぶこともあるようです。言葉が違うのに、同じ雲に同じ動物を思い描くというのは、なんだか不思議な感じがしませんか?

まとめ

 

今回は理解がフワッとしてしまいがちな「雲」について詳しく確認してきました。

 

「雲= cloud」ということは比較的多くの人が知っているかもしれませんが、それを含めた慣用表現や〇〇雲という関連表現など、その他もすべて把握している人は少ないでしょう。

 

今回の内容を参考に、ぜひ英語での表現の幅を広げていってくださいね。

 

それでは、これからも楽しい英語学習を。

 

Let’s enjoy!!