日本のお休みと言えば盆と正月ですが、アメリカでそれに該当するのがクリスマスと感謝祭です。

とはいっても、クリスマスはなんとなくイメージがつくかもしれませんが、感謝祭は日本人にはピンと来ませんよね。

今回は、アメリカ文化を知るうえでとても大切な感謝祭について紹介します。

「感謝祭」って?

「感謝祭」って?

感謝祭は英語でThanksgiving(サンクスギビング)です。

アメリカでは毎年11月の第4木曜日に家族、友達、恋人など、大勢で集まって過ごします。実に96%のアメリカ人が感謝祭を祝います。

感謝祭の始まり

アメリカはヨーロッパから渡ってきた人たちが徐々に開拓していった、と言う話を歴史の授業で聞いたことがあるのではないのでしょうか。感謝祭もその歴史に関係しています。

1620年、自分たちのことをピルグリムと呼ぶキリスト教徒たちがイギリスからアメリカに入植しました。

しかし、イギリスで都会的な暮らしをしていた彼らはアメリカで食べ物を得るのに非常に苦労しました。持ってきた植物はアメリカで育たず、狩猟もしたことがないので食べ物を探すのが困難だったのです。その時に助けになってくれたのが、ネイティブアメリカンです。

ワンパノア族のネイティブアメリカンたちは、入植したピルグリム達にアメリカの国土に合った農業、魚や貝の取り方、狩猟の仕方を教えました。その結果、ピルグリムたちは次の年の秋には十分な食事ができるようになりました。

そして、秋に大きな収穫を得たことに感謝したピルグリムは助けてくれたワンパノア族を招いて、収穫の恵みに対する感謝の宴会を開きました

これが、感謝祭の始まりです。

感謝祭は全国の祝日!

そのあとも秋の収穫を祝い続けていたようですが、すぐに国民の祝日になったわけではありません。

法律が定める休日になったのは最初の感謝祭の宴から約200年後の1864年のこと、とある雑誌編集者の強い勧めでリンカーン大統領が定めました。それ以降、毎年大統領がその年の感謝祭を宣言しています。

ちなみに、日本はいろんな季節のお祝い事があって、祝日は多くの企業が休みになりますね。

一方、アメリカにも祝日はありますが、必ずしも休みになるとは限りません。それぞれの信条や、ビジネスの都合によって対応は様々です。しかし、感謝祭は別格です。

感謝祭当日と、翌日の金曜日、その後の週末を合わせた4日間は学校や会社が休みになります。会社や学校によっては1週間の大型連休としたり、州によってはお店もお休みにするよう定めているところもあります。

家族が集まり夕食を共にするのが習慣なので、帰省ラッシュが起こったり、交通機関が値上がりしたり、満席になるのもこの時期です。

「誰」に感謝を?

先に歴史を振り返ったように、もともと感謝祭は収穫に感謝をする日です。

元々はピルグリム達もキリスト教徒だったので、イギリス時代から収穫を神様に感謝する日がありました。同じように、ネイティブインディアン達にも収穫を感謝する習慣がありました。彼らにとって共通の土台だったんですね。

もちろん今でも、教会では行事が行われている場合が多くあります。ただ、一般家庭では宗教色が薄くなっており、家族や友達、健康に感謝しよう、という日になっています。

また、関係することとして、1988年にネイティブアメリカンが入植者たちを助けた功績が改めて認められるような式典もありました。大統領が毎年感謝祭を休日として宣言するときにも、彼らの役割が再度読み上げられます。

感謝祭の過ごし方

感謝祭の過ごし方

身近なところでいうと、日本のお正月のような過ごし方をします。日本でも親戚一同が集まって、おせちを食べ、駅伝を見ながら過ごすのが伝統ではないでしょうか。

同じように、感謝祭もメインは当日の夕食に親族や友人と集まって食事をしながら祝うことです。恋人を家族に紹介するようなタイミングでもあります。駅伝はありませんが、アメリカンフットボールの試合がありますよ。

連休が終わった後には、感謝祭をどうやって過ごしたかが職場や学校で話題になります。

ディナーの主役!

歴史上の最初の感謝祭には、トウモロコシ、クランベリー、かぼちゃ、貝や魚などアメリカで取れるおいしい食べ物が並んだといいます。また、招かれたネイティブインディアンはみんなで食べるために七面鳥と鹿肉を持ってきてくれました。

その伝統に倣って、今でもコーンブレッド、クランベリーソース、かぼちゃパイなどが食卓に並びます。中でも主役は七面鳥です。七面鳥は英語でTurkeyです。

この時期、食卓に並ぶ七面鳥の数は、なんと4600万羽にも上ります。

感謝祭のための夕食の準備はどこの家庭も力を入れます。スーパーには七面鳥の後ろ姿がぎっしり並んでいます。1匹はだいたい6キロから8キロくらいの重さですが、最近は小さいハーフサイズもありますよ。

家では中を開いて香味野菜で詰め物をし、オーブンに入れてじっくり焼きます、七面鳥を調理する役割は父親が担うことが多いのは特徴的です。アメリカ人はあまり料理をしない、と言う人もいますが、そんなことはありません。

「そんなに大きな七面鳥を一晩で食べるのか」と思われるかもしれませんが安心してください。日本のお正月のおせちと同じように、同じメニューを4日間食べ続けるのがセオリーです。

なかの香味野菜はStuffingと呼ばれ、取り出していただきます。食べ終わった七面鳥のガラはスープなどにして、最後までおいしく消費します。

七面鳥に恩赦

最近になって感謝祭の始まりにPresidential Pardonといって大統領が七面鳥に恩赦を与えることが行事になりました。

毎年大統領の住むホワイトハウスには感謝祭用の七面鳥が送られますが、大統領がホワイトハウスに送られてきたうちの1羽の七面鳥に「恩赦」を与え、その七面鳥は一生食べられずに暮らすことができます。

元々はリンカーン大統領の息子が食卓に並ぶ予定の七面鳥を調理されないように恩赦したのが始まりと言われています。

その後、ケネディ大統領が送られてきた七面鳥を食べなかったところから、次々に大統領たちが送られた七面鳥を食べずに動物園などに送り、1989年、ブッシュ大統領がホワイトハウスの行事として始めました。

次の日は買い物へ走る!

サンクスギビングが明けると今度はクリスマスの準備です。プレゼントについて考えなければいけません。

というわけで、サンクスギビングの次の金曜日はブラックフライデーと呼ばれ、大々的なセールが行われます。ブラックフライデーセールは日本でも大型のショッピングモールやデパートなどで聞くようになってきましたね。

ホビー商品から大きな電化製品まで破格の値段になるので、値段の大きいものはブラックフライデーに買うという家庭も多いです。

店の前には日本の初売りのように、デパートや大型のスーパーマーケットの前に長蛇の列ができます。夜中からテントを張って並ぶ人もいて年々お店もオープンの時間を早めたりしています。もちろん、最近はネット購入も一般的です。

ちなみに、続く月曜日はサイバーマンデーと呼ばれ、ブラックフライデーの売れ残りをオンラインでさらに大特価で売りつくす日になっています。最近はブラックフライデー中にも「サイバーマンデーまで待ってみる?」というような声も聞かれます。

各国の祝日事情

各国の祝日事情

アメリカ以外の国ではどうでしょうか?

カナダでは10月の第2月曜日に感謝祭が行われます。他の国でも秋には収穫を祝ったり、おいしいビールを飲んだり、ワインの解禁日があったりしますね。

ネイティブとのフリートークの時に、各国の国民の休日や祝祭について聞いてみると楽しそうですね。