子供が活発になったり、いろいろなことに興味を示すようになったりしてくると「そろそろ習い事でもさせてみようかな」と考え始めるご家庭も多いのではないでしょうか。ママ友に情報収集してみると教育に熱心なご家庭もあればまだ考えていないというご家庭もあり、余計に迷ってしまいますよね。本記事では子どもの習い事を始める時期を決めるポイントや年齢発達別おすすめの習い事について解説します。子供の習い事をいつから始めようか検討しているパパママはぜひ参考にしてください。
小学校入学前に習い事をしている幼児は約半数
習い事で参考になる統計データに、厚生労働省が毎年実施している「21世紀出生児縦断調査」があります。この調査は2001年(平成13年)に生まれた子供4万人を対象にしている追跡調査です。調査対象が2歳6カ月になった第3回調査から「習い事」に関する質問が含まれています。2歳6カ月では、習い事をしている子供の割合は13.9%でした。それ以降の子供の割合は23.4%(3歳6カ月)、38.3%(4歳6カ月)、56.6%(5歳6カ月)で、習い事をしている子供の数は年齢が上がるにつれて増加していました。就学後の7歳0カ月時点では75.7%の子供が習い事をしていました。
しかし、この調査は少し前の調査なので近年の状況は違うのではないかと思われる人もいるかもしれません。学研が2017年に行った「幼児の日常生活・学習に関する調査」でも習い事をしている子供の割合は、3歳で23.2%、4歳で39.5%、5歳では51.0%でした。「21世紀出生児縦断調査」と大体同じ結果であり、小学校入学前に習い事を始めている子供は約半数といえるでしょう。
人気の習い事は昔も今も変わらず、水泳、英語・英会話教室、体操教室、音楽教室(ピアノなど)です。
いつから始める?習い事を始める時期を決める4つのポイント
統計データは参考にはなるものの、実際に習い事を始めるタイミングを決めるのは難しいですよね。何を目安として決めたらよいか、4つのポイントをご紹介します。
1. 子供が興味関心をもったら
子供が習い事の内容に興味をもち始めた時がよいタイミングです。モチベーションが高く、習いに行くことを素直に受け入れることができるからです。子供の行動を観察していると、楽器の演奏を見て自分も弾きたいと言うようになった、音楽に合わせてずっと踊るようになった、英語の歌を口ずさむようになったなど、何かに集中して取り組んでいる様子が見られるようになってきます。このようなサインを見逃さずに習い始めることができると、子供は楽しく続けられます。
2. 検討しているスクール・教室の対象年齢になったら
集団でレッスンを実施する教室では、年齢別にコースが分けられていることがあります。例えば、英会話教室では1~2歳の親子コースや3~4歳コースなど、バレエ教室では3歳児から対象のコースなどです。その年齢になったら体験レッスンを受けてみることをおすすめします。子供が楽しくできていて続けられそうか実際に見て判断し、子供が興味をもつようであれば入会して継続しましょう。
3. 技能の習得に関する諸説の年齢を参考に
巷では「何々を始めるには何歳までがいい」といった説が溢れています。研究を基にして提唱されている説であれば、その年齢を参考にして習い事を始めてみるとよいでしょう。
例えば、絶対音感を身に付けるためには人間の耳が急激に発達する2~7歳の時期に訓練する必要があると言われています。そこからピアノなどの楽器を始めるのは2歳から7歳までの間がおすすめです。言語の習得については「臨界期仮説」が有名です。これは、ある一定の年齢(臨界期)を過ぎるとネイティブレベルで言語を習得することが難しくなるという仮説です。いろいろな研究がされていて、臨界期がいつなのかという議論は未だに続いています。7歳までという説もあれば、最終的に12~15歳が限度という説もあります。
日本人については日本語と英語の音には大きな違いがあるので、音の聞き分けを考慮すると早く習い始めた方がよいという点は見解が一致しています。
4. 将来的な学習や授業に備えて
小学校の教科に苦手意識があり授業についていけるか心配な場合は、その教科の授業が始まる前の学年のうちに習い事を始めることとよいでしょう。予習のように先に指導内容に慣れておけば、できなくて苦手意識がついてしまうのを防ぐことができるからです。公文や学研のような読み書き計算を学べる幼児教室、珠算や習字などの習い事は、昔から年長や就学のタイミングで始める子供が多いです。
また、現在の子育て世代が子供だった頃に比べて、学校教育で必修になった科目が増えています。小学校では2020年度から英語とプログラミング教育が、中学校では2012年度からダンスが必修化されました。これらの科目は独学での習得が難しく、教員も専門に学んだとも限りません。習い事なら専門知識を持った講師から効率よく学べるというメリットがあり、学校の授業を十分フォローアップできるでしょう。
習い事を始める際に考慮すべき2つの点
習い事を検討している際には次の2点も考慮して始めるタイミングかどうか判断するとよいでしょう。
1. 費用(月謝・教材費など)
習い事を始めると月謝がかかります。毎月の固定費となるので、無理なく払い続けることができるかよく検討しておきましょう。時短勤務をしていて給料が減っている、退職・転職の予定がある、下の子を出産予定があるなど、お金が関わるライフイベントが起こる際には、支出が難しくなることがあるからです。月謝を払うのが難しいと感じる時は、習い事を始める時期ではないかもしれません。また、月謝以外にも発表会にかかる費用、教材費、交通費などの追加費用もあります。臨時の出費にも対応できる収入・貯蓄があるか確認し、安心した状態で子供の習い事を始めましょう。
2. 通いやすさ
通うのを面倒に感じると、子供だけでなく保護者も大変ですよね。このため、通いやすい習い事にするという点も考慮すべきです。自宅から近い、レッスンスケジュールが都合よい、送迎バスが利用できるといった点が挙げられます。特に保護者が共働きの場合、送迎の負担は大きいです。仕事が休みの日にレッスンがある習い事にしたり、送迎が難しい場合はファミリーサポートを利用して送迎してもらったり、方法はあります。送迎については事前に夫婦間でよく話し合っておきましょう。
【年齢・発達別】おすすめの習い事
それでは何歳の時にどの習い事を始めるとよいのでしょうか。年齢と発達段階を考慮して、それぞれご紹介します。
【1歳~2歳】
まだ生活動作も言葉も自立していないため、親子で一緒に参加できる習い事が選択肢になります。
例:幼児教室での親子クラス、音楽教室でのリトミック、親子スイミングなど
【3歳~4歳】
この時期には、幼稚園に入園して集団生活に慣れてきます。指示の理解だけでなく、言葉の意味を理解して自分の考えを表現できるようになってきます。このため、集団でレッスンを受ける習い事は、クラスが3歳~4歳から設定されているものが多くあります。
例:水泳、バレエ、体操など、集団で学んで身体を動かすもの
【5歳~6歳】
この時期には身体が著しく成長してきます。身体の大きさだけでなく、聴力などの機能も発達します。社会性も身についてルールに従って遊べるようになり、スポーツを楽しむようになります。
例:音楽系(ピアノなど)、スポーツ系(サッカー、野球、武道など)
また、簡単な読み書きができるようになってきますので、就学に向けて習い事や英語を始めるのもよいでしょう。
まとめ
本記事では子供が習い事を始める時期について、いつ始めたらよいか考えるポイントについて説明しました。習い事を始める時期はそれぞれですが、小学校入学前後の時期に習い事を始める子供の割合が多くなっています。人気の習い事の一つである英語は、早く始めた方がメリットもあります。習い事をする目的や子供の発達段階に合わせて検討するとよいでしょう。
引用元: 厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/27-9c.html
引用元: 学研教育総合研究所「幼児白書Web版「幼児の日常生活・学習に関する調査」」
https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/k201708/chapter6/01.html