突然ですが、皆さん日々何かに「祈り」をささげていますか?

多くの日本人は無宗教と言われているので、自覚的に祈る機会は少ないかもしれません。しかし、よくよく考えると「幸運を祈る」であるとか「健闘を祈る」などといったように、日常の中では意外と多くの場面で祈りが出てきます。これらの表現、英語で上手く言えますか?

ということで、今回のテーマは「祈る」です。

英語で「祈る」を表す表現について、単純な動詞から決まり文句まで幅広く解説していきます。それでは、早速始めていきましょう!

「祈る」は英語で何て言う?

「祈る」は英語で何て言う?

「祈る」を表す英語は “pray” と “make a wish” の2種類です。

それぞれに若干ニュアンスが異なるので、詳しく確認していきましょう。

祈る①:pray

「祈る」の意味で最も有名な英語は “pray” です。発音は「プレイ(préɪ)」で、しっかりRを発音しないと「play(pléɪ)」と聞き間違えられてしまうので注意しましょう。

祈りの内容を表す場合は、それが名詞であれば “pray for 名詞” とし、文であれば “pray that 文” とします。

Aさん
My mother prays for my father’s safe return home every day.
訳)母は父が無事に帰ってくることを毎日祈っています。
Aさん
I prayed that my grandmother would recover from her illness.
訳)私は祖母の病気がよくなるように祈りました。

ただし、pray が表すのは神に対する祈りです。

”pray to God” と明示されることもありますが、単にpray と言うだけでも対象は神だと思って間違いありません。両手を合わせて目をつむり、天を仰ぐ。そんな動作がしっくり来るような本格的な祈りを表す際に使われます。

そのため、pray は日常的に使うには少々大げさな表現だと言えます。

Aさん
I’ll pray that you will pass the entrance examination.
訳)あなたが入試に受かるよう神様に祈っているよ。
Bさん
You’re exaggerating!
訳)そんな大げさな!

 

祈る②:make a wish

“make a wish” も「祈る」という意味を表します。とはいえ、pray のような神に対する祈りではなく、もっとカジュアルに「願い事をする」ニュアンスで使われます。流れ星を見たときにお願いするようなイメージです。

そのため、「pray を使うのは少し重いかな」と思われるシチュエーションでの祈りには make a wish を使うのが適切です。

Aさん
Let’s make a wish upon a star.
訳)星にお祈り(願い事)をしましょう。

「幸運を祈る」「健闘を祈る」を表す英語表現

「幸運を祈る」「健闘を祈る」を表す英語表現

「祈る」という動作を表すのは pray と make a wish ですが、決まり文句である「幸運を祈る」「健闘を祈る」などの場合はその限りではありません。

ここからは、祈りに関連した定型表現について確認していきましょう。

good luck

「幸運を祈る」「健闘を祈る」という意味で最もよく使われるのは “good luck” という表現です。日本でも「グッドラック」というカタカナ英語で浸透しているので、聞いたことがある人も多いでしょう。

luck は「運」という意味なので、good luck は文字通り「良運(幸運)」ということ。もともとは “I wish you good luck(あなたに幸運がありますように)」” と言っていたのが縮まって good luck となりました。

good luck は、主にカジュアルな会話で相手を応援したりエールを送ったりする際、「頑張って」に近いニュアンスで使われます。

Aさん
I’m having a job interview today.
訳)今日就活の面接なんだ。
Bさん
Really? Good luck!
訳)そうなんだ、頑張ってね!

 

しかし、good luck は言い方や文脈によっては「(無理だと思うけどせいぜい)頑張ってね」という皮肉のニュアンスを帯びることもあります。応援のつもりで言う場合は、皮肉と取られないように表情や言い方には気をつけるようにしましょう。

Aさん
I will take over Japan someday.
訳)いつか日本を征服してやるぜ。
Bさん
Good luck with that.
訳)せいぜい頑張って。

 

stay lucky

すでに起きている幸運が続くよう祈る場合は “stay lucky” と言いましょう。

stay は「とどまる」、lucky は「幸運(な状態)」なので、stay lucky を直訳すると「引き続き幸運な状態にありますように」という意味になります。

Aさん
I won the first game and the second game. Next, the final.
訳)1回戦と2回戦は勝てた、次が最後だ。
Bさん
I’m sure you can also win the final game, stay lucky!
訳)決勝もきっと勝てるよ、幸運を祈ってる!

 

best of luck

“best of luck” も相手の幸運や健闘を祈る際によく使われる表現です。

best は good の最上級なので、best of luck は good luck の上位互換のようなもの。そのため、good luck にあったような皮肉のニュアンスは無く、常に相手を鼓舞するプラスの表現として使われます。

Aさん
I heard you’re moving to a new city, best of luck!
訳)新しい町に引っ越すんだってね、頑張って!
Bさん
Thank you!
訳)ありがとう!

 

また、似た表現に “lots of luck” というのもあります。こちらは「たくさんの運」ということなので、日本語の「幸多からんことを」とほぼ同じ意味です。

best of luck と lots of luck、いずれの場合も “wishing you ~” を付けると丁寧な言い方となります。

Aさん
Congratulations on your wedding. Wishing you lots of luck!
訳)結婚おめでとう。あなたたちに幸多からんことを!

fingers crossed

“fingers crossed” は「幸運(健闘)を祈る」という意味で使われる口語表現です。

fingers crossed を直訳すると「交差した指」ですが、これはキリスト教圏の魔除けを表すジェスチャーに由来しています。中指と人差し指を交差させることで十字架に見立てており、そこから神への祈り(pray)を表すようになりました。

Aさん
I’ll make a presentation to my boss about a new product tomorrow.
訳)明日、新商品に関するプレゼンを上司にするんだ。
Bさん
Oh, I’ll keep my fingers crossed.
訳)うわ、上手くいくように祈ってるよ。

 

break a leg

“break a leg” は直訳すると「足を折る」ですが、スラング的に「幸運(健闘)を祈る」という意味を表します。

なぜ break a leg などという物騒な表現が祈りを表すようになったのかというと、もともとは舞台で仲間を鼓舞する表現で、あえて不吉なことを言って「その反対が起こるように」という願掛けとして使われていたようです。good luck が皮肉の意味になるのと好対照ですね。

そのような背景から、break a leg は主にパフォーマンスの成否を問うシチュエーションで使われます。漠然としたお祈りに使うのは不自然なので注意しましょう。

Aさん
I’ll take an audition for the main character of the movie next week.
訳)来週、その映画の主役のオーディションを受けるの。
Bさん
For real? Break a leg!
訳)まじ?君ならいけるよ!

 

まとめ

今回は、「祈る」を表す英語表現について確認してきました。

動詞として「祈る」に相当するのは pray と make a wish ですが、「幸運を祈る」「健闘を祈る」といった意味で相手を応援したい場合は、その他さまざまな決まり文句が存在します。

今回ご紹介したことを参考に、英語でも場面に即した祈りを表していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!