社会人であれば知っておきたい言葉が「PDCAサイクル」です。業務改善のために用いられる考え方で、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の頭文字をとって「PDCAサイクル」と呼ばれています。”Act”はこのサイクルの中の最後尾、つまり最も重要な項目です。

本記事では、この”act”について解説していきます。中学英語で習う英単語ですが、かなりたくさんの意味を持っているので、早速確認してみましょう。

“act”の意味

“act”の意味

”act”と聞いて、どのような日本語訳が思い浮かぶでしょうか?おそらく「行動する」と回答する人が多いかと思います。もちろん、正解です。しかし、「act=行動する」とだけ覚えてしまうと、他の意味で使われた時に、混乱してしまうかもしれません。まずは”act”がもつ意味を確認してみましょう。

動詞としての”act”

まずは馴染みのある動詞としての”act”を見てみます。「行動する」の他にどのような意味があるのでしょうか?

行動する、振る舞う

「行動する」と似た意味が「振る舞う」という意味です。主に”act like~”や”act 形容詞”で「〜のように振る舞う」という使い方をします。

Aさん
It might be a good idea to act surprised.
訳)驚いたふりをした方がよさそうですね。
Aさん
Don’t act like a child!
訳)子どもみたいに振る舞わないでください!

役目を果たす、役目を務める

“act as~”で「as以降の役目を果たす、務める」という意味があります。職種を表現することもできますし、「主語による効果」を表すこともできます。

Aさん
She acts as a lawyer.
訳)彼女は弁護士としての役目を務めています。(彼女は弁護士です。)
Aさん
Capital punishment could act as a deterrent.
訳)死刑には犯罪抑止力の効果があります。

(〜の役を)演じる

同様に”act as~”で「〜の役を演じる」という意味があります。「演じる

と「役目を果たす」の見分け方は文脈から判断するしかありませんが、役名などが続くので見分けることは難しくありません。

Aさん
I’m going to act as Peter Pan.
訳)ピーターパンの役を演じる予定です。

名詞としての”act”

動詞にもいろいろな意味があることが分かりましたね。それでは名詞では、どのような意味があるのでしょうか?

行為、言動

名詞でもやはり「行動」に関連する意味をもちます。

Aさん
We praised his brave act.
訳)私達は彼の勇敢な行動を褒めました。

ワンシーン、一幕

劇などの一幕も”act”を使って表現します。劇そのものは”play”でそのうちの一幕は”act”です。役者を英語で”actor”と言うので、「act=劇」と勘違いしないように気をつけましょう。

Aさん
I cried with the act of the play.
訳)劇のワンシーンで涙がこぼれました。

法令、条例

”act”の意外な意味として、「法令、条例」というものがあります。「独占禁止法」のように法律の名前によく使われるようです。ちなみに独占禁止法は”the Antitrust Act”となります。

Aさん
Every company has to obey the Antitrust Act.
訳)どの会社も独占禁止法に従わなければなりません。

語根”act”の意味

“act”という単語を他の単語の中で見かけたことはないでしょうか?react, actor, activate, actual…”act”を含む英単語はかなりの数存在します。なぜかと言うと、”act”が語根の1つだからです。 

語根とは?

英単語の多くは、細かく分解することができます。語根とは、英単語を細分化した時に最も核となる意味を持つ部分です。”reaction”を分解するとre-act-ionです。前から接頭辞、語根、接尾辞と言い、それぞれに意味があります。”reaction”はre(再び)act(行動する)ion(こと)から、「反応」という意味です。

語根”act”=「行う」

”reaction”の例で言ってしまいましたが、語根”act”の意味はそのまま「行う、行動する」です。そのため”act”を含む英単語のほとんどが、行動に関連する意味をもちます。

act”、”action”、”behave”の違いはある?

“act”、”action”、”behave”の違いはある?

”act”と近い意味を持つ英単語に”action”と”behave”があります。”action”は名詞で「行動」という意味、”behave”は動詞で「振る舞う」という意味です。”act”とこれらの英単語にはどのような違いがあるのでしょうか?

“act”と”action”の違い

“action”は語根”act”に名詞の性質を付与する接尾辞”-ion”がくっついた単語です。そのため、”action”は名詞の「行為、行動」という意味になりますが、前述の通り、”act”自身にも同様の意味がありましたよね。この2つの単語の違いはずばり、焦点が行動そのものにあるか、その行動の過程にあるかと、他者にも影響を及ぼすか否かです。

Aさん
Her act should be praised.
訳)彼女の行動は称賛されるべきです。
Aさん
Her action should be praised.
訳)彼女の行動は称賛されるべきです。

意味はどちらも同じですが、”act”は行動そのものに焦点が当てられ、”action”はそこまでの過程、またその行動からの結果にも焦点が当てられています。さらに”action”は複数の”act”から成り立つというイメージも持っておきましょう。

“act”と”behave”の違い

“behave”の意味は「振る舞う」です。”act”にも同様の意味がありました。それではこの2つの単語の違いは何でしょうか?

“act”で「振る舞う」の意味を取る場合、必ず後ろにどのように振る舞うのかの説明が続きます。”act like a child(子供のように振る舞う)”や”act smart(賢く振る舞う)”といった具合です。一方、”behave”も”act”のようにどのように振る舞うかの説明が続くこともありますが、”behave”だけで「行儀よく振る舞う」という意味を持ちます。つまり”behave”には、「行儀よく」というニュアンスがあり、”act”にはそのニュアンスがありません。

Aさん
I have to act.
訳)行動しなければなりません。(actの後ろに説明がなければ「振る舞う」の意味をとることができません。)

 

Aさん
I have to behave.
訳)行儀よくしなければなりません。

しかし、必ずしも”behave”がポジティブな意味を表すのではなく、後ろの説明次第でネガティブな意味を表すこともできます。

Aさん
He behaves badly.
訳)彼は素行が悪いです。

“behave”を”act”と言い換えることはできますが、”act”は必ずしも”behave”と言い換えることはできません。

まとめ

“act”は中学生で学ぶ比較的簡単な英単語ですが、非常に多くの意味を持っています。動詞としての意味は知っていたけれど、名詞の意味は知らなかったという人も多いのではないでしょうか?また、語根としての意味も持っているため、多くの英単語と関連性があり、”act”についてしっかり理解することは他の英単語を理解する上でも重要です。英単語を覚える際に、接頭辞、語根、接尾辞から覚えるというのも、効率的な学習方法と言えるでしょう。

もしここまで読んで英語を少しでも面白そうと思っていただけたなら、ぜひ”act”のような簡単な単語からでもいいので少しずつ勉強してみてください。Act now!(思い立ったら即行動!)してみましょう!